カフェ

第11話

「あのー、今何してます?」


この間の仕事から、もう3週間も経ってる。


「家にいます」


「今から仕事、できますか?」


「はい」


「えーと、場所はですね〜なんか、駅前なんですけどごちゃごちゃしてて。たぶん楓さんの家から近いかな…」


ごちゃごちゃ言ってる。


「お店ですよね?」


「カフェ…ってなんすかね」


「軽食とかお茶とか飲めるとこです」


「まじすか。へー」


「駅まで行きます」


「はい。俺今から行ってもちょい遅れるかもなんで、飯食ってからでいーすよ」


「約束の時間は?」


「えーと、夜7時」


「わかりました。では6時30分には集合で」


「はい」


私が決めちゃった。ま、いいか。


伊織いおりくん、仕事行くことになった」


「え…今から?」


同居してる、彼氏の伊織くんはちょっと嫌そうにした。


「ご飯食べてから」


「なんだ!よかった!」


今度はご機嫌に。でも顔は無表情なんだけど。


「何着て行こうかな。シャツじゃなくてラフなのでいいかも」


「え…例えば、パジャマでも?」


「だめでしょそれ。うーん、普通にTシャツに、黒のボトムスかな」


「…カエさんかわいいから、ナンパされないように」


「ないから」


ラフって、どんなのかな。そもそも2つに髪を結んで行く必要あるかな?


「いやいや。カエさんの綺麗な目に吸い込まれてしまいそうだよ、俺は…」


「伊織くんの目、綺麗だよ?」


「…カエさん、ありがとう…照れる」


緑色の目をした伊織くんは、目を伏せた。私の目はブルーで、母親譲りだ。

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