第15話

「勝手に女性の部屋、覗いちゃだめですよ?」


雪見さんは、男性の目の前に座り込んだ。


「違う、俺じゃない」


「カメラ置いてありました。でも、穴開けようとした途中みたいでしたね」


「俺じゃない!」


「未遂ですかね」


「くっ、くそ!違う!」


足を挫かせてしまったようで、なかなか立てない。


「実はですね、彼女…取り憑かれてます」


「は…」


「だから、眠れません。彼女は眠れないので、作業できませんよ?」


「俺じゃ、ない」


「諦めて下さい。早くここを出た方がいい。彼女に取り憑いたものが、あなたを積極的に追い出そうとする前に」


「…なにを、言って…」


「では、失礼しました」


え?わからないんだけど。私も外に出る。


「依頼者のところに戻りましょうか」


「…はい」


いったいどうなってる?


「確認したところ、やはりあなたに取り憑いているもののようです」


「そうなんですか?」


「はい。ですが、もう大丈夫です。追い出しました」


「そうなんですか!ありがとうございました」


「今日からよく眠れるでしょう」


「ありがとう…ございます!助かります」


「いえ」


「こちら、少ないですが…」


「ありがとうございました」


報酬を頂けたようだ。


「あの、よかったら、コーヒーを…飲んでいただけますか?お菓子もあって…」


「楓さん、時間あります?」


「え、はい」


「じゃあ、頂きます!コーヒーって苦いのは飲めないんですけど、それでも大丈夫ですか?」


「あ、甘くしましょうか」


「ありがとうございます!」


えーいいのこれ?

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