第18話

真夏になった。


「楓さん、今なにしてます?」


「家で涼んでました」


「仕事です。海なんです」


「え?」


「はぁ…まじで、嫌なんです」


「…なぜですか?」


「とにかく!今から教える海に来てください。飯食いました?」


「はい。もう、夜ですから」


何着てこうかな。海だし…半袖にショートパンツ?いいのかな?足元はスリッパで…

もうなんでもいい!


「あ、楓さん」


駅で待ち合わせた。なぜかもういる。

お金は先週お寺に行ってもらった。けっこうもらっちゃったけど、よかったのかな。


「早いですね」


「他の仕事あって、その帰りなんです」


「え…他の?キャバクラ以外に?」


「いやいや拝み屋の方」


「拝み屋ってなんですか?」


「えー!俺らやってるじゃん!」


「…ん?これが?拝んでませんよ」


「いーんです!それで、さっきまで住職と仕事してたんです」


「…私と以外にも仕事してたんですか?」


「もちろんです。で、楓さんは、見えないんでしたよね」


「はぁ、そうです」


「羨ましい!海にはうようよいるんですよ〜?まじ嫌になる」


「…そうだったんですね」


「えーと、今から海の家に行くんですけど、夏の時期はそこに住んでるらしいんです。で、なんか、夜中に海の方が光るらしいです」


「くらげ?」


「いやぁ、それがなんか違うみたいです。遠くてよく見えないそうですが、毎日光って怖いとか」


「…え、私、怖いのはちょっと」


「いやいや、たぶん楓さんなら大丈夫」


「どういうことです?」


「たぶん、どんなものでも動かせる」


「霊を…?」


「はい」


「嫌です」


「いやいや、依頼ですよ?」

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