第26話

最寄駅から、たらたら歩く。今日はどうしてか、昼間集合だ。


「なんか、ベンチが呪われてるとか?」


「どういう意味ですか?」


「さぁ?」


「どんな依頼ですか?」


「それが、依頼つーか、噂というか?」


「え?」


「そう言う話、よく聞くから」


「で、呪いってどういう?」


「わかりません。呪われてるだけ言われてます」


なにもわかんないのに行くの?


「報酬は?」


「ない」


「でもやるんですね」


「…ほっとくと、酷いことになるかもしれないから」


「なるほど…」


早いうちに対策ということだ。


「公園のベンチが、呪われることってあるんですか?」


「わかりません」


何もわからないまま仕事してるのか。雪見さん、それでいいの?


「あ。あれだ」


「…なんの変哲もないです」


普通の木製ベンチ。2人がけ。


「…そうですね。楓さん、座ってみますか?」


「え、座るとなにかあるんですか?」


「さぁ」


「何か見えてます?」


「なんにも」


とりあえず、2人で座る。何も起きない。


「呪いということは、ここでなにか起きたということですよね?ここのベンチと特定してるから」


「そうですね…でも、何が起きる?」


「うーん、例えば、病気になるとか?でも、それなら呪いとは言い切れませんよね」


「じゃあ、ベンチにケツくっつくとか!いや、立てるなぁ」


「そういうのは違うのでは?」

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