第28話

「見つけました」


「え、どこ?」


「こちらは気づかないふりしましょう。今から壊します」


「…わ!」


右手を握ると、容易く壊れた。思ったよりもろかったみたい…


「なんか落ちてきた」


地面に落ちた小型カメラを見ると、粉々。やりすぎた。


「わぉ、楓さんすげー」


「木の上にありました。登ってつけたんです。おそらく気がついたと思うから、犯人はやってきます」


「じゃ、どっか隠れないと」


「はい」


小一時間すると、誰かやってきた。学ランの中学生?バラバラのカメラを見つけて呆然としてる。


「こんにちは、どうしたの?」


「あ…」


私を見て逃げようとした。


「おっと、すみません」


雪見さんがすかさず立ち塞がりガード。


「あ…」


「寺のものですが、呪っているのはあなたですよね?」


「…ご、ごめんなさい!」


土下座…


「え、いやいや!ちょい待って!話聞きたいだけ」


「え」


「ベンチで話しましょう」


雪見さんはその子を連れて呪いのベンチへ。


「呪いの言葉を述べていましたが、あれの意味はなんですか?」


「…カップルが、楽しそうにしてるのが嫌で。僕は、勉強してるのに、遊んでる人が憎い」


「…えーと、つまりー、俺らカップルだと思った?」


「はい」


「まじー?へー?」


「雪見さん。仕事中ですよ。つまり、あなたは、怖がるカップルにいたずらするのが楽しかった」


「ごめんなさい…」


「楓さん、腕組みしながら説教すか」


「違います。いたずらのつもりでも、それが大きくなると、本当に呪われてしまう可能性もあります」


「え…」


「あなたの、憎いと思う気持ちが、相手に伝わってしまったら、よくないです。だから、今すぐ辞めなさい」


「…はい」


「やっぱ説教じゃないすか!」


「だからそんなつもりないです」

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