第30話 疑惑

 ヴァロワレアンとの再会の日から後、私は訓練など聖務をこなす日々を送っていた。


 今は訓練の合間の休憩時間、私は一人ため息をつく。


 私は相変わらず聖騎士流のやり方では団の誰にも勝てずにいた。


 あの街……トラードであったであろう惨劇のことを忘れたわけではない……


 動く死者の群れを操って街一つをあのような有様にし、完全武装した聖兵団を退けた謎の男、レインフォルト=アーデルハイム……


 ヴァロワレアンが隠しているであろう更なる秘密……


 なぜ教会はこの事件の原因を疫病と偽りトラードの街の名を地図から消し、立ち入り禁止にしたのか……


 気になることはいくらでもあった。


 しかし、それらは今や私の手に負えることではないように思えていた。


 教会が組織ぐるみで関与している……


 それは確かだった。


 そこで私はある考えに思い至る。


 "もしかして、レインフォルト=アーデルハイムは今も生きているのではないか"

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