第2章 夏休み

第6話 ライブ

 夏休みに入ってから日菜ひなの軽音部のフェスがスタートしたの。

 それは『School Live 2022 Summer』と書かれた張り紙がライブハウスに貼られていて、わたしはすぐにその該当する部屋に入ろうとしたときだった。


 後ろから抱きしめられて、それが誰かわかったんだ。


美琴みこと、久しぶりだね」

「か、かなでさん⁉ バレるって、困るのはお互い様だよ」

「ああ、美琴は早めに来てほしくってね」

「え? どういう事、それ」

「今日はとても楽しみだった。美琴に会えるし、触れられる」


 奏さんがとても嬉しそうに話してくれているのがわかった。

 ぎゅっとされてたのが解放されて、すぐにバックステージの楽屋みたいなところに連れていかれてしまった。


 薄暗いけど、楽屋はとても明るくてびっくりしてしまったんだ。

 そこには『リンネ』のメンバーがそこに集まっていた。


 ボーカルのじゅんさんとキーボードの翔也しょうやさん、ドラムの加島かしまさんこっちに来たのが見えた。


「え、美琴ちゃん……どうしたの?」

「奏と何か……」

「アイツらつきあってるんだよ。今年から……」


 そのときに空気が凍り付いたような感じがしたんだよね。

 いとこでギターの和真かずま兄ちゃんが暴露したとたん、驚きのあまり言葉を失っているのが見えた。


「え、マジで? え、いくつなの」

「まだ十七だよね……奏、マジか」

「でも、まあ、奏もまだ二十四だぜ? 俺らとつきあうのは無理かもしれんけど……和真も日菜ちゃんといい感じな関係じゃん? ほぼ全員彼女持ちか既婚者になってるよな」


 それを聞いて純さんが加島さんに何か話題を振ってみたいんだよね。

 それを聞いて何となく反応が少しだけ拒絶されたような感じがした。


 年の差もあるし、自分が高校生ってことが強いのかもしれないなと思った。

 まだこれから理解してくれるかはわからないけどね。


「うん。というか加島、子どもいつ生まれるの?」

「ああ、二人目ね。来月の終わり」

「よし、またかわいい服を探すわ」

「ありがとう。純、お前の娘もう中学生なの?」

「来年な」


 この五人組は『School Live』の主催者で立ち上げメンバーの一人で、毎回行うときには大トリを飾っているのがリンネだ。


「あ、そう言えば美琴は先に戻った方がいいね」

「うん。わたし、日菜の楽屋に行ってくるよ」

 わたしは日菜のいる楽屋に戻ると、笑顔で見送っているのが見えた。

「あ、日菜」

「おはよう! 美琴、今日が一時休止前のライブなんだ~!」


 日菜たちは揃いの黒いシャツにズボンかスカートを履いているのがわかった。みんなが襟元につけているのは白いネクタイかリボンをしているのが見えた。


「そうなんだ! 寂しくなるな~、みんな」

「そうなんだよ。あとは文化祭と卒業前のライブかな」


 それから日菜たちの出番が来るまでライブを待つことにした。


 ライブは多摩地域内の高校生と大学生が多くて、そのなかでも高校生では結城ゆうき女学院のルチアと楓嶺館ふうれいかんのハイドレンジアという二つのバンドの盛り上がりがすごいと感じていたの。


 特に楓嶺館のツインボーカルのハモりがとてもすごいなと思って、一年生のバンドのようでとてもすごいなと思っているところだ。

 さらにギターとかドラムの音がきれいな音を出すなと思っていたところだ。


「すごいね。ハイドレンジア、レベルが高くない?」

「音が激しく体に響いてきた」

「これからがとても楽しみだね……今度のことが大きいと思ってるよ」


 それから大学生のバンドが歌を歌い始めているような感じだったけど、さっきとは打って変わって大人な雰囲気の曲が印象的な感じだ。これがSchool Liveの面白いところだったの。


「され、続いてのバンドは受験のため、一時活動休止をする結城女学院のルチアです! 今日は思い入れのある曲を引っ提げてきています」

「日菜! がんばれ!」


 それから歓声が上がってルチアのメンバーが準備を始めているなかで、メンバーのなかですごい演技をしているのがわかっているのが見えたりしていたの。

 それを見て高揚感を感じていたのが考えていた。

 そのときにみんなが話して、みんなが話しているのがわかった。


 ドラムの音が聞こえてきてから聞き慣れたメロディーが聞こえてきたのがわかった。このバンドのオリジナル曲ですごい人気のあるものだったんだ。


 笑顔で手拍子が起きてから楽しいことをしているのがわかったんだ。

 みんながもうルチアに魅せられているのが空気でわかる。


「すごい……」


 それからカバー曲を二曲終えてアンコールは大トリが来た後に行うことにしたんだ。



 大トリはこのライブの主催者でもあるリンネだったんだ。

 最初に流れてきたのはすごい印象的なギターのリフレインから入っていく。


 そのなかでやっぱりこの熱狂はすごいなと感じていた。

 でも、その熱が冷めぬうちにすごいことがあったんだ。


「え~、ルチアのメンバーとセッションをします。拍手で迎えてください」


 それをボーカルの純さんが話してからすぐに大きな拍手が聞こえてきたんだ。


「がんばれ!」


 そのなかでみんなが笑顔でギターとかベースの音を確認して、それで一曲最初で最後のセッションが始まったんだ。


 それはルチアが得意としていたボカロ『ロキ』だったんだ。

 ベースは掛け合うように弾いているのが感じていたの。

 そのときに河野こうのさんの声と純さんの声が交互に掛け合っていく。


 次に日菜と奏さんがハモりで加わるというすごい状況だった。

 ベースとかギター、ドラムのリズムが手拍子にも狂わないことがすごい練習をしてきたんだなと考えていたんだ。


 それからもすごく楽しそうな顔をしているのがわかった。

 客席には中学生が来ているのか、とても幼い顔立ちの子がいたんだ。

 その子も楽しんでいる姿がわかったりしたんだ。


「ありがとうございました! 最後にルチアのボーカルから一言」


 そう言いながら最後に話をしているのがわかったんだ。

 河野さんはとても泣きそうな顔で何かを話しているのが見えた。


「えっと。ルチアはメンバーが三年生のため、受験などに専念するために一度お休みします。高校三年間ですごい濃い時間を過ごせました。復活するまで待っていてください。ありがとうございました」


 わたしはそれを聞いて拍手をして、ありがとうと伝えていたんだ。



「あ~楽しかったぁ」

「日菜、めちゃくちゃ盛り上がりすぎて、歌詞を飛びそうになったよね」

「それは言わないで! あれはとても楽しかったんだって」


 軽音部のメンバーと別れた日菜と一緒に歩いて行くことにした。

 その後ろをリンネのメンバーが歩いているのが見えて、奏さんと並んで歩いて行くことにしたんだ。


 今日はオフな格好をしていて、左に二連の銀色のフープピアスをしているのが見えた。

 それがとても大人に見えてしまう。


 すると奏さんが改札前まで送ってくれたんだ。

 ほんとは帰もっと一緒にいたいけれど、時間はそれを許してくれない。


「あ、美琴。来てくれてありがとうね」

「ううん。わたしはとても楽しかった」


 やりきったような彼の表情はとても晴れ晴れとしている。

 それだけこのライブを楽しんでいるんだなと感じた。

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