第5章 最後の三か月
第21話 インフルエンザ
季節は十二月も半ば、入学の手続きを終えて大学から事前学習の小論文のレポートなどの書き方のテキストを勉強時間にこなしたりしている。
父さんからは免許の教習を受けに行くのを勧めてきてくれた。
早めに取っておいた方が良いという方針だと思うし、それに大学の間に取っておいた方が良いみたい。
ちなみに車種はマニュアル車を家で使っているので、運転できるようにしてほしいと言われてしまった。
一度教習所に資料を取りに行って二度聞きされてしまったくらいだ。
女子でマニュアル車を取る人は珍しいようで、わたしはそれでもいいと話したので受付のお姉さんは料金表とパンフレットをくれたんだ。
自主登校期間に入る一月から普通に通うようになるかもしれないけど、学科だけは受けに行けるようにすぐに入校を決めたんだ。
「
父さんはそう言ってくれたけど、上手くいくかはわからないと思う。
バイトも少しずつ増やし始めて、貯金をして少しずつ必要なものを買いに行くために備えている。
それと大学の入学式で着るためのクーポンをもらったので、これで入学式のスーツを買いに行こうと考えた。
わたしは大学の科目を見て面白そうな科目があった。
入学する学科にはガーデニングを勉強することができるし、他にも面白そうな勉強ができそうな感じがする。
「日菜は建築士になるの?」
「そのつもり。建物を見るのが昔から好きだったから」
「そうか」
日菜は軽音楽の活動にはまだ参加していない、バンドのメンバーでまだ大学受験が終わっていないみたい。
冬休みまで残り一週間ほどとなったある日。
受験は一般がこれからというのに空気は何となく受験が終わったムードが強い。
ほとんどが年内に進路を決定しているせいかもしれないけどね。
その他にも看護学校の入試に向けて勉強をしている子もいたりするくらいだ。
ダッフルコートも着ることができるので、わたしは学校指定のコートを着て通学するようになった。
マフラーと手袋(スマホ対応用)もつけてタイツを履いた完全防寒をしているくらい。
授業は試験対策のような科目もあれば定期テストに向けての対策をしていたりまちまちだ。
でも、ときどき小テストがあったりするので、それに向けて勉強したりしないといけない。
なぜかテスト前なのに寝ている人も多いけど、成績を上げないのかという気持ちになったりしてしまう。
これから大学でも数学とかを勉強することがあるって言うのは、はる
「それでは今日はここまでにしますね」
「ありがとうございました!」
「あ~、終わったぁ。お昼は何にする?」
「ね、冬休みは何をするの?」
「うちは大阪のじいちゃん家に行くよ」
「良いな! それ」
クラスメイトの会話を聞いている中で、少しだけボーッとしていた。
朝起きてから何となく体がだるかったけど、別に月一であることがあるので登校してしまったけどヤバいかもしれない。
三時間目になってから頭が痛くなってきてるし、なかなか集中することができないかもしれない。
信じられないくらいにひどくなってきている。
寒気が少しだけ気になるけど、先生に言いづらくて昼休みに来てしまった。
次の授業を考えると家庭科で浴衣の仕上げをしないといけない時期になっている。
三年生の家庭科では浴衣を作っているんだけど、自分で選んだ布地を使っているんだけど自分はシンプルな白地に赤い模様が書かれている布を選んでいる。
さすがにこんな体で家庭科を受けることができなさそうだと感じている。
「美琴? 大丈夫じゃないよね、保健室」
「うん……行く」
わたしはすぐに日菜と一緒に歩いて保健室へと行くことにした。
保健室は渡り廊下を渡って別棟の二階にあるため、辛抱しないといけないので我慢して歩いて行く。
「ありがとう、日菜……」
「良いの。というか、大丈夫じゃないってのは見えてたから」
保健室に行くと、椅子に座って体温を計ってみることにした。
日菜はすぐに教室へ行ったので、姿はない。
「はいはい。三年の
「わかりました……早退で」
「うん、で、とりあえず親御さんに迎えに来てもらう? 辛そうだし」
「はい。いまなら父が家で仕事をしてるので」
「わかったよ、しばらくベッドで休んでていいから」
「はい」
わたしは少し水分補給をしてからベッドに横になった。
髪を下ろしてから制服を緩めて寝ることにしたんだけど、意外と楽な感じがした。
すぐに先生の声が聞こえてきて、担任の先生にも連絡をして父さんに迎えに来てもらうことになった。
それだと父さんが車に乗って来ると考えていた。
その後にユッキー先生と日菜が荷物を持ってきてくれて、ホッとしてからすぐにボーッとしてしまう。
「瀬倉、大丈夫じゃなさそうだな。スマホも持ってきたから、親御さんと連絡は」
それからすぐに父さんがこっちに来てくれた。
しかも予想通り車で来ているんだけど、冬休みの荷物も多めに持ち帰ることにした。
「明らかにインフルかもしれないので、一応……」
「はい。わかりました」
父さんは普通に荷物を持って行くと、誰も父さんの正体に気がつかないですぐに駐車場に向かう。
「それじゃあ、とりあえず
車を走らせながら申し訳なさそうに話す父さんの声が聞こえる。
車に乗ってすぐに病院へと向かうみたいで、わたしは一度目を閉じて寝ることにした。
案の定病院に行ったら、インフルエンザで流行っているタイプになって出席停止になった。
しかも、そのままに冬休みに突入してしまったので日菜がLINEで心配してくれた。
わたしはすぐに部屋で部屋着に着替えてからご飯を部屋に持ってきてくれた。
「美琴にはおじやにしておいたよ。食べ終わったら、薬を飲んでね」
「うん、ありがとう。父さん」
「大丈夫だ、
そう言うとベッドで起き上がっているわたしの頭を撫でてくれた。
何となく子どもの頃に戻ったような感じがする。
ひんやりとした手が気持ち良くて、おじやを食べてから薬を飲んで寝ることにした。
奏さんにはLINEでインフルになったことを伝えた。
『ゆっくり休んで、また元気になったらどこかに行こう』
そうメッセージが来てすぐに寝ることにした。
熱は夜にピークを迎えてから食欲もあまりないからか、ご飯もおかゆかおじやのどっちかになるくらいに落ち込んでいる。
体調が悪くなると食欲も体力も減る体質で病み上がりで体力を戻すのはとても大変だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます