第5話 結果と打ち上げ

 そして、三学年の全クラスの合唱が終わった。

 音楽の先生から結果を言われる時間まで、気が気でなくて心臓がドキドキしてきたんだ。


『呼ばれたクラスの実行委員、伴奏者、指揮者の方は壇上に上がってください。まずは一年生から発表します』


 その言葉に比例するようにざわめきが会場内のホールに広がり始めている。

 いまから結果発表が一年生から順に発表されていく。

 自然と徐々に静かになって、シンと静寂に包まれてクラスが言われるのを待った。


『優秀賞、五組』

「キャアアアア!」


 客席の一番前の方が叫んでいるのが聞こえて、みんなが拍手をしているのが見えた。

 わたしは心臓がドキドキしているのが感じていた。

 いい結果になってほしいと考えていた。

 それから二年の結果を発表してから、最後の三年生の結果を話すことになっているんだよね。


 実は三年生は特進クラスが三学年合同で一緒、いつものように最優秀賞を受賞しているの。

 それを越えれるかがわからないけれど、子どもの頃には


『続いて三年生……まずは指揮者賞、一組、赤坂あかさかみずきさん』

「おめでとう! 赤坂さん」

 呼ばれた人は舞台に上がることになっている。

『続いて伴奏者賞、四組、佐藤恵美めぐみさん』

「佐藤さん! 三年連続じゃん」

「おめでとう」


 佐藤さんはこれで三年連続の伴奏者賞を取ったことになる。

 それはとてもすごくて、偉業だと言われるんじゃないかって考えている。

 そのまま舞台へ歩き始めたときに一番緊張する場面に入る。

 静まり返っている会場、みんなが祈っている。


『続いて優秀賞は二クラス、最優秀賞は一クラス。そして、学校長賞が三年生が獲得するクラスがいますので発表いたします』

「キャアアアア!」

 それを聞いてみんなが叫んでいるのがわかる。

「えっ、二クラス?」

「どういうこと?」

『優秀賞、一組』


 それを聞いてわたしたちは驚いてしまった。

 あんな完成度の高い一組、そして常勝軍団の特進コースの十組が優秀賞になった。

 ということは……という空気が聞こえてきた。


『最優秀賞、十組』

「えっ……どういうこと⁉」

「怖い怖い怖い」


『学校長賞』


 それを聞いたとき、わたしは日菜とギュッと手を握っている。

 心臓がドキドキしてしまって、目を閉じてしまっている。

 自分たちが一番だと思える合唱を歌えた。



『――四組、呼ばれたクラスは代表者、舞台へ上がるように』



 言われた瞬間、みんなが叫んで席を立って喜んでしまった。


「キャアアアア! やった」

「マジで⁉ やったよ」

「あの特進コースを超えたんだよ!」


 毎回三年生の最優秀賞は人数の少ない三学年合同の特進コースに奪われていた。

 それを超えて学校長賞をもらえることができてうれしい。

 というか実行委員のメンバーが号泣してしまって、先生が引き気味な顔をしているのがわかった。


「泣いてる。伊藤いとうさん」

「あ。うれしいもんね」


 それをカメラに収める奏さんは優しい表情を見ていた。

 学校長賞を取って、帰る前に舞台前で三列になって写真を撮ってもらったの。

 教室で写真を撮ってからみんなが笑顔で下校時間になってから、みんなが打ち上げに行こうということになった。


「駅前のカラオケさ、パーティールーム予約取れたから。みんなで行こう、一クラス分はできるんだよね」

「良いの⁉」

「割り勘で一人いくらか後でクラスLINEに流すから」

「行こう! 打ち上げ」


 これからみんなで打ち上げに近所のカラオケ店へ行って、苦情が出ないように気をつけながら楽しんだ。

 日菜と隣になってデンモクに曲を入れて行って、ボカロからK-POPやJ-POPまでと幅広く歌うことになっているんだよね。


 それからいま流行の曲とかの中にみんなが懐かしい曲もあるんだよね。

 特に軽音でコーラスをしている日菜に関してはノリノリでいろんな曲を歌っているのを見て、盛り上がってきて市ノ瀬いちのせさんはK-POPが好きでずっとそれを歌っていたんだ。


 わたしも知っている曲は合の手を入れたり、自分でも歌ったりするときがとても楽しいんだ。

 たまに選曲をミスった人が歌えない物を歌える人が話していることがあったりするんだろうなと感じる。


 それからみんなの進学するのかしないのかを聞いている人もいたんだよね。

 市ノ瀬さんは乃木学苑女子大学への進学を希望しているみたいで、ずっと女子校の生活することになるみたいだ。


「大丈夫なの? 社会出てからの市ノ瀬さん」

「大丈夫じゃないと思う。うち、フィギュアスケートでしか男子に会わないし」

「そうだよね」


 それから再び好きな曲を入れて得点を競うときに軽音の子がバトルをしていたりしていたんだ。

 打ち上げがお開きになったのは午後七時を過ぎ、かなでさんとばったりと会ったんだ。

 カラオケで四時間弱歌っていたのかもしれないと思うと、かなり時間の流れが速いなと思っているんだよね。


美琴みこと、お疲れ様、すごかったよ」

「ありがとう。奏さん、とてもきれいに聞こえた?」

「うん、カメラでも撮っていたんだけど、あれは直に聞いていないといけないなと思った」


 奏さんとは駅で別れると、すぐに家に戻ることにした。

 うれしい気持ちが倍になってきたんだよね。

  

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