第23話 年明け
年が明けてから学校も再開して、特進コースの方は張りつめたような雰囲気が未だ抜けていない。
間もなく大学共通テストが始まるせいかもしれないと考えている。
何となくせわしない日々を過ごしていたはずなのにすごいあっという間に過ぎて行ったような気がする。
それにしても一月に入ってから寒いし、タイツも毎日履いているので冷え込んでいる。
そんな寒さなのにまだ雪が降らないところが変だなと思ったりしているところ。
「
『えっとね~、進学系の英語の方なんだけどね』
「そっちね」
LINE通話をしながらテスト勉強を終えてから伸びをして、一階のリビングへコートを着て降りて行く。
これ以上机に向かっているとおかしくなりそうだ。
わたしは授業を聞きながらテスト範囲のことを若干不安になっていた。
後期のなかで中間以降となると、かなり範囲が広くなるから。
「
「わかった。空気を吸いに行ってくる」
そう言って夕方の街並みを歩いていると、部活帰りの中学生と何度かすれ違うことがあった。
「あれ?
「
「あら。かなり大人になってきたね。そろそろ卒業でしょ?」
「三月に卒業します。大学も決まって、いまはテストに集中しています」
森嶋先生は三年生の担任で陸上部の顧問として教えたりしているけど、実際は国語の先生で中高大と陸上一筋だった経験から教えているんだよね。
久しぶりに会ったけれど、あまり印象が変わらないんだなと思っていた。
「大学に進学するんだね」
「はい。今度の四月から
「そうだね。学ぶことは良いことだと思う」
「はい」
「あなたらしく進めば、道を切り拓くことができるからね。それに卒業生でも世界に行く子が多かったわね」
それは同級生のなかでフィギュアスケートをしている
特に星宮さんは大きな国際大会へ出場することになっているみたいで、幸田さんもインターハイに出たりと大活躍しているんだよね。
「あ、他の板橋先生とかって」
「皆さん異動されてるの。私が最後の先生なの。まだ定年までいるつもりだから」
森嶋先生は学年主任をしていたベテランの先生でずっと一緒に進路のことを気にかけてくれていた。
「また大学に入ったら報告しますね」
「はい。ありがとう。また元気な姿を見せてね」
先生と話してからはすぐに再び歩き始めて、ダンススクールに入って久しぶりの体験レッスンをしてみることにしたんだ。
入ったのはジャズのレッスン、わたしはとても楽しくて思わず体が大きく動いてしまった。
それでも先生が嬉しそうにこっちを見ていた。
三年生は期末テストの返却が終われば自由登校期間になり、卒業まで登校日以外は自宅で過ごすことになる。
その期間を使って普通にディズニーランドへ向かったりするなども計画してる子もいたりする。
テストはほとんどが九十点台と聞いて驚いてしまって、特に手ごたえがあった日本史は満点でびっくりして手が震えてしまった。
日菜も良い点数だったみたいで嬉しそうにピースサインをしているのが見える。
自由登校期間に入ってから教習所は電車で十分くらいの駅の近くにあって普通に通いやすい場所だなと思う。
「それじゃあ、瀬倉さんは技能教習ですね」
「はい。わかりました」
今日から予約を入れてもらって二月の初めから乗れるように事務のお姉さんが予約をしてくれたんだ。
技能教習の最初のシュミレーターでは上手くいくのに、車に乗ると全然勝手が違う。
クラッチとアクセルを繋げる感じが伝わらなくて、キレる一歩手前でとどまっていたけどダメダメすぎて即復習することになったんだよね。
正直いってこのまま免許取れるのかって思ったりしながら、教習所は毎日学科で行ったりしていたんだ。
『え、半クラがわからないの?』
「マジでわけがわからないよ!
『美琴がキレてるってことはだいぶだね。がんばりなさい、このままだと仮免までの道のりは長いな』
奏さんは楽しそうに話していることが少しムカつくけど、仕方がないと思っているところがある。
大学生のうちに免許は取っておいた方が良いというのは本当かもしれない。
いとこのはる
「それはそうだけど……仮免まで遠いよ」
『それより美琴、二月って暇なの?』
「うん、だいぶね……登校日が六日しかない。卒業式込みで」
『ああ~。それじゃあ、俺祝日が休みだから、どこかに行く?』
「あ、うん。いいね」
『
「神田の本屋さんだっけ?」
『そこ。すみだ水族館にも行きたいって』
「いいね。そこも行こうよ」
わたしはついつい食い気味で言ってしまったような気がする。
『いいよね。美琴も花音も行きたいなら行こうか』
「うん」
受験の前日に会ったとき以来になるし、年が明けてからは初めてになるんだ。
「あと、バレンタインのお菓子。あげるよ」
『良いの? まだ早いじゃん?』
「十四日、奏さんは仕事でしょ? 早めに渡しておけば良いかなって」
『なるほどね。わかった。楽しみにしておくよ』
わたしはすぐに笑顔で話していることが大きいと話しているかもしれない。
「ふふ、楽しみにしててね」
『うん』
そう言ってLINE通話を終えると、奏さんと行くときにどの服装で行こうかと考えていた。
歩きやすい方が良いし、足を冷やしたくないからズボンで行こうという事だけは決めている。
「どんなのが良いのかな~」
それから教習所とか行ったりするなかであっという間にその日がやってきてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます