第18話 夜の電話
家に帰るといとこの
明日香姉ちゃんは今年の春に結婚していまはお腹に赤ちゃんがいると報告してくれたんだ。
「赤ちゃんの性別ってわかってるの?」
「そうだよ。性別はまだはっきりしていないんだけどね」
「初めてだな。年下の子が生まれるの」
わたしはそれに少しだけびっくりしたけどうれしくなった。
親戚で一番年下だったので年が少し離れていても年が近い子ができるのはうれしい。
「そうだね。
「うん! うれしい。何かプレゼントしたいなぁ、生まれたらになるけど」
それを聞いて明日香姉ちゃんが嬉しそうに笑ってうなずいている。
父さんが脱稿してストレス発散のように料理を結構作っていたので、とても楽しかったなと思っているところだと感じている。
「でも、叔父さんの料理おいしいですね」
「ありがとう。明日香、それと信也くんも」
「ありがとうございます。ご飯、おいしかったです」
「うん、俺の趣味だからね。美紅さんも苦手だし、在宅の仕事だからね」
夕飯の後は父さんと母さんが明日香姉ちゃんと雄一さんたちを送るみたいだ。
「それじゃあ、美琴。先に風呂に入ってて。俺たちは駅まで送るから」
「わかった。バイバイ、明日香姉ちゃん」
「うん、また来れるときに行くからね」
玄関が閉じたときにすぐに風呂場へ直行してすぐに体を温めることにした。
「はぁ……温かい。この時期から良い感じかも」
わたしはタオルで水気を拭いて、髪をヘアドライヤーで髪を梳かしてすぐに部屋へと向かう。
勉強は小テストが近いのでそれを勉強しておきたいと考えていた。
『小テストの範囲、教えてほしい~』
そのときに
『ありがとう。助かった!』
『いいよ』
『明日の学食、おごる』
『OK』
そのなかでスタンプが送られてきたのを見てすぐに勉強を再び始める。
秋の虫も九月まで鳴いていたのにもう聞こえてこないのに気がついたのはついこの前だった。
「あ、日本史の小テストもあるんだ。急がないと」
わたしはすぐにサッチェルバッグのなかから日本史の問題集かノートを確認していくんだけど、これはさすがに忘れていたのか学校のロッカーに置かれてあるのが確実だと思ったときだった。
そのときに着信が入ったバイブレーションが聞こえて、スマホのロック画面には
「もしもし、奏さん? どうしたの」
『美琴、ごめんね。寝てた?』
時刻は午後九時半を回って勉強もひと段落してきたところで、まだ両親は帰って来ていないのが不思議だと思っている。
とても楽しそうな気持ちで話しているのが見えたりしているんだ。
奏さんの声がとても優しく聞こえてきて、心臓が高鳴ってきているのがわかる。
「ううん。小テストの勉強してた」
『そっか。そろそろ試験だもんね』
「そうだよ。奏さんも受験のとき、緊張した?」
わたしはイヤホンをつけてすぐに勉強机の物をバッグに詰め込んでベッドに横になる。
そのときに奏さんの方は水の音と食器が重なる特有の音が聞こえてきて、皿洗いをしているのかもしれない。
奏さんの受験の話を聞きたいと思って質問をしてみたと話しているみたいだった。
そう言うと奏さんは懐かしそうに語っていることがあって、とても楽しそうなことをしているという。
『俺は火事場の馬鹿力で通った感じだけどね』
「奏さん、本番に強そうだよね」
『あはははっ、そうかな~。でも、美琴も強そうだよ』
「そんなことないよ」
『少しだけ話す?』
「うん、少しだけ」
奏さんとこうして話すことは慣れているスピーカーにしてベッドの枕元に置いた。
部屋の電気もサイドテーブルの照明だけにして、スマホ画面を下にしてスピーカーで話をしていく。
「ねぇ、奏さん」
『何?』
「春休みにどこか行きたい」
『卒業旅行みたいな感じ?』
「そう。泊まりがけで四月に行きたいなって思うくらい」
それを聞いて奏さんは少しだけ驚いたのか、少し沈黙が流れてから声が聞こえてきた。
『うん……四月一日とかは? そこだったら、俺も問題はないし。春休みに有休を使うつもりだから』
三月三十一日はまだ自分が高校生だし、そのことをわかっているからその日にしたのかもしれない。
「気を使わせて、ごめん。その日だったらいいと思う」
『そんなことないよ。俺は四月の方が動きやすいんだ。春休みだし、一応引継ぎが三月下旬にあるからね』
「そっか」
奏さんは前に勤務していた写真スタジオと同じ会社で学校写真などの部署にいる。
その繁忙期のピークが三月からということで、そのスケジュールを思浮かべて納得したので仕方がないと思う。
そう言うとガサゴソと物音が聞こえているので、スマホの奥で何かをしているのかもしれない。
「奏さんはいつ修学旅行に行くの?」
『え、今度楓嶺館の修学旅行に行くよ、海外でびっくりしたんだけどね』
「マジ?」
『うん、行先がオーストラリアだって、びっくりした』
「すごいなぁ……修学旅行。うちのときも普通に良いホテルだったし。すごいよね」
『俺のときよりもグレードアップしてるんだよね』
次第に眠気が襲ってきていて、それを我慢して話をしていくんだ。
だんだんと眠くなってきて、思わず目を閉じてしまったんだ。
次第に記憶がおぼろげになってきて、最後に聞こえてきたのもあやふやだ。
『おやすみなさい、美琴』
でも、奏さんの声だったことはわかった。
目を開けると、カーテンの隙間から太陽の光が射し込んでいるのが見えた。
「ヤバ、寝落ちしてた」
いわゆる寝落ち通話をしたことにドキドキしている。
わたしはしばらく布団のなかでもぞもぞして、スマホのロック画面を見ると午前六時四十五分と表示されている。
もう起きないといけない時間なので起き上がって、スマホの再起動する。
わたしはLINEにスタンプを送ってすぐに学校へ行く支度をする。
充電をしながら寝ていたのでそれは100%になっているので、大丈夫だと考えているんだよね。
すぐに支度をして一階に荷物を持って行くことにしたんだ。
洗面所で父さんにばったりと会って、昨日はあの後に車を家に置いて居酒屋に行っていたと聞いた。
「あれ? 母さんは」
「まだ寝てる……休みみたいだから」
久しぶりだったようだから、別に止める気はない。
「そっか。それじゃあ、ご飯はできてる?」
「適当にトーストを焼いたのだったらできる。あとは用意してない」
「わかった」
わたしはトーストをトースターで焼いている間に、ジャムとマーガリンを探してインスタントのコンソメスープを取り出してお湯を注いだ。
それからリビングのテーブルに置いてご飯を食べることにしたんだ。
食べているといつものように明るい曲調でアイドルの曲が流れながら、天気キャスターのお姉さんが外で今日の天気を伝えている。
わたしはその間に流れている映画のCMを見て、間もなく公開なんだなと考えている。
「あ、美琴。そろそろ時間じゃない?」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
学校に向かうと、日菜が社会の小テストは知っているみたいだったのでホッとした。
それから小テストはどちらも手ごたえを感じたので期待していたい。
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