第14話 新たな従者は暴かれる
「ウリュウ一族……? 聞いたこともないな」
カラスの言葉に、細い茶髪をなびかせてその美しい人物は振り向いた。
ここはアルカタ世界で邪悪な民と言われる闇族の王が住む城だ。怪訝そうな顔でそう尋ねているこの茶髪で緑色した垂れ目の人物こそ、この邪悪な闇族の王ミズミである。
「俺も聞かないね。誰それ?」
同じ様に疑問を口にするのは、しゃがめば髪が床につくほどの長髪をした身長もある男だ。黒く艶のある長髪から角のように飛び出した長い耳に大きな口、これはこの闇族の中でも喰族という凄まじい食欲を持つ一族の特徴だった。
そんな男の目の前で、王を見上げながら話をするのは、鳥にしては大きくて、骨のような脚を手のように器用に動かす黒いカラスのような魔物のおじいさんだ。
「代々闇族王に使える一族ですじゃ。代替わりの時に一度大陸を去り、また新たな王が誕生した時に、また新しい一族の者が参られるのです」
「へぇ〜、じーちゃんみたいなもんか」
カラスの説明に無邪気に微笑んで長身の男が言うと、その言葉にカラスの方は縮こまって首を振っていた。
「とんでもない! ワシら闇烏よりもずっと高貴な一族ですじゃ。この城を守る結界も、王を守る様々な仕組みも、全て彼らウリュウ一族の呪術によって編み出されております。それだけ腕前も素晴らしい一族なのです」
その説明に、城の仕組みなど何一つ理解していない長身の男は、しゃがんだままの体制で呑気に城を見回していた。
「そんな仕組み、この城にあったんだ?」
一方で表情が険しくなるのは美しき闇族王である。
「この城の扉も、王の証を持つものか、お前たち闇烏にしか最初開かなかったな……。あの仕組みがウリュウ一族のものだというのか」
「その通りですじゃ。さすがはミズミ様。お気づきでしたか」
本気で感心する年老いたカラスに、茶髪の隙間から目を細めて王は口の端を歪めた。
「確かに、鬼族が使うような簡易的な魔法とは訳が違うな。それだけ呪術とやらの腕がいいということか。……ともすると……そいつは殺るのに時間がかかりそうだな」
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