第10話 お嬢様って
「……………………では、基本方針はそのようにして、話を進めさせていただきます。」
話しているのは、弁護士の梶山さん。
場所は、お迎えの大型ミニバンの、車内。
車に乗り込む時に、運転手さんに見覚えが有ったので、誰かな〜と思案していたら、打ち合わせが終わった時に突然思い出して叫んでしまった。
「あっ、運転手さん、あの時の『腹パン』のお兄さんだ!」
「………………………………政!どういうことかな?」
へえ〜、あのお兄さんは、政さんっていうのか。
「……………………………………………」
「政、答えられないなら涼君に聞くよ?涼君、どういう事?」
「あ〜、一ヶ月位前かな?家に帰る途中で呼び止められて、『お嬢様に近づくな!』と脅すように言われて、無視していたら腹パンされたんだよね。」
「………………………………政!後でじっくりと話を聞くから、覚悟しておくように。涼君、大丈夫だったの?」
「うん!全然堪えなかったから腹パンで逆襲したら蹲ってしまったので、そのまま放っといて帰ってきちゃった。政さん、あの時大丈夫だった?あの〜、『お嬢様』って、もしかして、柚香さんの事だよね?」
「………………………………そうだけど、政の腹パン食らって大丈夫なんて、涼君はホントは強いのかな?」
「強いかどうかは、喧嘩とかしたこと無いからわからないな。まあ、母には鍛えられたけど。」
「………………………………この話は、後にするわね。丁度一時間経ったわね。梶山さん、涼君のお父様に連絡取って呼び出して頂戴。」
柚香さんが指示出しした後に梶山さんが何か書類を柚香さんに渡して、その書類に目を通した彼女が怖い顔をしていたんだけど、何が書いてあったんだろうか。
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