第4話 卒業からの
部屋でくつろいでいると、珍しく早く帰って来た父に突然、呼び出された。
卒業式翌日の、夕方。
リビングのテーブルには険しい顔つきの、父。
父の隣には、父からは見えないような角度から、なんとも言えないようないやらしい顔つきで僕を見下す継母。
向かいに座り、何事かと思いながら、話し出すのを、待った。
「……………………なんという事をしてくれたんだ!」
………………………………全く理由が分からずに黙っているとテーブルをたたきながら父が、
「義妹を襲って犯すなど、許されざる事だぞ!しかも、何度も!」
「…………………………………………沙希さんに、何かあったのですか?」
本気で理由がわからずに、思わず敬語で話しかけてしまった。
沙希さんは、去年末に父が再婚して出来た同い年の義妹で、全寮制のお嬢様学校に合格してつい先程から入寮する為に引越していなくなっていた。
「っ、とぼけるなっ!さっき、沙希さんが電話で全て話してくれたぞ。お前に無理矢理犯されるから家を出たくて全寮制の学校を選んだとな。」
ぶっちゃけ、俺、童貞だしと思いながら真面目に心当たりが無いので答えられずに黙っていると、いきなりテーブル越しに殴り飛ばされて椅子から転げ落ちてしまった。
力が入る体勢からでは無かったのと、ある程度予想できてたから受け流したのでそれほどダメージはないものの、精神的に耐えられなくて起き上がれなかった。
最初の一言目からおかしいと思ったので、『義妹を襲って』の前からスマホのボイスレコーダーを起動しておいたんだが、うまく録音出来ただろうか?
おかしいと思い始めたのは、父が再婚した後に継母と義妹と一緒に暮らし始めた翌日からだった。
父が再婚相手を優先するのはわからないでもないけど、夫婦で僕を見下げるような態度を取るのは明らかにおかしかったから。
明らかに何か間違った事をされていることに気がついてはいたが、それが具体的に何かを伝えられないでいたまま、今日を迎えてこうなったようだ。
「高校卒業までは金の面倒は見てやるから、すぐに出ていけ!駅前のマンションを空けてある。大学入学金までは出してやるから、行きたければ奨学金でも使って通うんだぞ、わかったか!生活費は振り込んでやるから、以後こちらに連絡などしないようにな。」
わかるわけもないけど、話しても無駄なようなので鍵を受け取ろうとしたら、父から鍵を奪い取った継母から投げつけるように渡された。
「最低なあなたにはもったいない部屋だけど、仕方ないわね。早く卒業して明け渡してちょうだいね?」
最低なのはお前だろうと思いながら、口には出さずにリビングを出て、荷物をまとめるために自分の部屋に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます