第3話 連絡先、ゲット!
ん〜、『夕方から大雨の予報に変わったから見切り品の値下げ時間を繰り上げる』か〜
タイムカードを切り、手早く仕事着に着替え、業務連絡ノートを確認する。
私がこのスーパーで働き始めて、はや二ヶ月。
格安スーパーを名乗るだけあって時給も格安だけど、シフトの融通が効くのと働きやすさで結構お気に入りの職場になりつつある。
何よりも気に入ったのは、『保証人』が必要なかった事。諸事情で家族には絶対にお許しが貰えないから。
というより、保証人の名前を書いてもらえたら、多分だけど採用取り消しになるから。
ぶっちゃけ、『本名』書くのも憚られたし。
今でも、良く採用されたな〜とは思う。
別にどうしてもお金が欲しいわけではないんだけど、『働いてみたかった』のよね。
普段の生活では絶対に出会わない交わることすら無い人々との、『出会いと会話』。
仕事は、ぶっちゃけ楽しい。
勿論、いや〜な『お客様』もいるけど、そんな『お客様』はいつの間にか見掛けなくなります。他のお店に鞍替えしたのでしょうか?
何故でしょうかね?
そんなこんなで始まった、楽しい楽しい学生生活。
でも、彼氏作ってイチャラブしたかったのに何故かうまく行かないの!
同級生が次々とカップル誕生していくのに、何故か売れ残る私。なんで?どうして!
『私、条件は悪くない』と思うんだけど?
容姿、普通だな。チビで巨乳(身体が小さいから胸が目立つだけなん)だけど。
家族、ん〜、ちょっと……………………
性格、良いと思うんだけど………………
誰が邪魔してるのよっ!
何がいけないの?
そんなこんなで、今日も元気にレジ打ち中!
客層から、お仕事中の出会いは絶望的?
と、思っていたら一人だけ気になる『男子』が。
初めて見掛けたのは、同僚のお局様から会計時にお説教されてた時。
激安のカップ麺5個だけカゴに入れてきて、コレだけじゃ身体壊すだのカロリーも足りないだの、まあ本気で心配したのだろうけどね。
カップ麺と同じ値段で茹で麺19円✕6と卵6個入りパック100円とカット野菜50円✕2と納豆3個入り45円2パックを無理矢理買わされてたっけ。
思わず大笑いしてしまって、謝り倒したのが初めての会話だったのよね。
彼はお局様に鍋も丼も無いと文句を言ったけど、お局様は従業員控室から退職者が置いていった食器いくつかと使いかけの醤油と白出汁のボトルを持ってきて無理矢理彼に押し付けて、
『これで自炊しなさい!何?ガスコンロが無い?お湯沸かせるんでしょ?茹で麺なんだから丼で湯がいて出汁と醤油で食べな!卵と納豆とカット野菜乗っけて!』
最近では食生活改善のお陰か、ぽっちゃり気味だった彼はスリムなイケメンになりつつある。
少し前の出来事を思い出していたら、あっ、今日もキタッ!
今日こそは、連絡先、ゲットするぞっ!
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