第7話 意識しちゃうじゃないですか!
「ところで、君、名前、教えてくれるかな?」
「涼、阿賀先涼です。さんずいに京都の京で『りょう』です。」
「涼君ね!私は柚香。龍ケ崎柚香よ、よろしくね?じゃぁ、先ず君んちに行こうか、ナビお願いね。」
「表通り出てから最初のコンビニを左に入ってすぐ右のマンションです。専用駐車場があるので、敷地入ったら右奥の1番に止めて下さい。」
走り始めて、ホンの何十秒かで駐車場に止められたので、
「………………………………ホントにすぐじゃない?しかも、ここ、高級マンションじゃぁ?」
「そうでもないですよ?それなりに、古いし。管理人常駐で二十四時間サービス有って、かろうじてオートロック付いてるくらいですよ?」
着いたはいいけど、雨脚はますます強くなってきた。
「……………………十分に高級マンションだわね。雨、止みそうにないね?」
「………………………………そうですね?」
「濡れたままだと風邪ひくから、行っちゃおうか!」
「えっ?」
レジ袋を手に取り運転席を降りた柚香さんは、助手席側に回ってドアを開けたと思ったら僕の手を引いて半ば無理矢理降ろして、また走り始めた。
玄関口に入り、オートロック前で、
「あ〜あ、ずぶ濡れだね!」
「誰のせいですかっ!」
「いや、何と無く君と手を繋いで雨の中走るのが楽しくてさ!」
暗証番号を打ち込みながら、
「っ、いや、僕も楽しくて少し嬉しかったですけど?」
「ふふっ、そっか〜?」
エレベーターに乗り込み、最上階の十二階のボタンを押したら、
「へぇ〜、最上階なんだ?」
「ええ、景色も良いし、夜景なんか自慢したくなるくらい綺麗ですよ。」
「やった〜、じゃぁ夜まで居るのは決定ね!涼君、女の子誘うのお上手。もう一押ししてくれたら、朝まで居ることに……」
最後の一言は良く聞こえなかったので、
「えっ、何ですか今のは?」
思わず柚香さんを見下ろすと、ずぶ濡れな、透けて見えてしまった豊かなお胸が、自然と目に入って目のやり場に困ってしまうんですけど!
「ん、何でもないよ、ココかな?」
視線に気づいたのか、エレベーターを降りて、いつの間にか手を繋いだまま通路を歩きながら、ソッポを向いてしまった柚香さん。
「…………………そうです…………………」
「なんか、ドキドキするね?」
「っ、そんな事言われると意識しちゃうじゃないですか!まるで、ラブホの部屋に入る直前みたいな事、言わないで下さいっ!」
「………………………………………………」
「………………………………………………」
気不味いっ!
墓穴を、これ以上無い大穴を掘ってしまったかも、しれない。
ドアを開け、柚香さんを招き入れ、緊張しながらロックを掛けドアチェーンを掛ける。
何を話せばいいのかわからなくなって、ずぶ濡れのまま立ち竦む僕たち二人。
「………………………………寒いね。シャワー貸してもらえるかな?」
かなり間を置いてから、柚香さんに尋ねられた。
「………………………………あの〜、訳あってガス使ってないんです。」
「………………………………じゃぁさ、着替えたいから何か貸してもらえる?」
「………………………………僕のスウェットで良ければ?」
全部言い終える前から、濡れたシャツを脱ぎ始めた柚香さん。
思わず固まって、視線を逸らせなくなって。
「あれ?もしかして、こんな事は初めてなのかな?」
ブラジャーを外してスカートも足元に落としながら。
「………………………………あの〜、目のやり場に困るんですけど?」
「うふふっ、もしかして、涼君、ホントに『初めて』なのかな?」
もう、緊張し過ぎて、声も出せずに、首をブンブンと縦に振り続けていたら、
「大丈夫!私も『初めて』だから。ほらっ、涼君も早く脱いで風邪ひいちゃうよ!二人でベッドで
柚香さんはショーツに手を掛けて片足を上げて脱ぎながら、僕に促した。
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