第12話 離婚訴訟案件
「………………………………銀行口座の残高も確認することをお勧めします。」
梶山弁護士からの、衝撃的な『お勧め』。
しばらくあ然としていた父だが、何か思い当たることでもあるのかもう一度スマホを操作して、しばらく画面を睨みつけていた後に低い声で唸り始めた。
「………………………………馬鹿な!なんて事を?」
あ〜、ヤッパリね。あの
何かブツブツと唸るように呟きながらテーブルを叩き始めた馬鹿父親。
物に当たるなよ!そのテーブル、高そうだぞ?
一体、いくら使い込まれたんだろうね。
毎日、限度額いっぱいまでカードで引き出されてたのかな?
父が手にしていたスマホの通知画面が表示されて震え始めた。
「もしかして、奥様からの通話ですか?」
「………………………………そのようだ。」
「よければ、スピーカーにして通話していただけますか。状況によっては、お役に立てますよ?ここまで酷いと、離婚訴訟案件ですから。」
梶山さん?どこまで調べたのかな?まだ何か酷いお話が出てくるのかな?
ノロノロと操作して、スピーカーからかなり慌てた声で聞きたくもないあの声が聞こえてきた。
『あなた、何故かカードが使えなくなっていて食事代が払えないのよ。今から電話代わるから、支払いを保証するって話して貰えないかしら?』
前置き抜きで、何を言い出すんだよ!
「………………………………食事代くらい、現金で払って来い。いくらなんだ?」
『お友達の分もあるから、持ち合わせでは払えないのよ、お願いっ!』
「だから、いくらなんだ!」
『………………………………全部で四十万円よ、お願いっ!』
「………………………………そのお友達に払ってもらうんだな。切るぞ。」
返事も聞かずに通話を切断した、父。
すぐさま掛け直しが来たようだけど、父は電源を切ってしまったようだ。
「もう一つ二つ、大サービスでお教え出来ることが有りますが、お聞きになりますか?
一つは涼さんにも、関係あるお話です。」
茫然自失といった感じの父だったけど、梶山弁護士の方を向いて頷いた後に僕の方を見たので、無視してあげた。
僕が梶山弁護士に頷いて合図をすると、鞄から大きな封筒を取り出して何枚かの画像を印刷した用紙をテーブルに並べ始めた。
「
………………………………制服姿の沙希が中年男性と腕を組んで歩いている姿と、ホテルに入る後ろ姿とホテルから半ば抱き合うように出てくる何枚かのプリントされた画像。
しかも、違う男性との物も。
それも、全部制服姿で、他にも何組もあるし!
梶山さん、いつの間に、そんな物用意したんですか?
あれ?でもこの制服、なんか違うような気がするぞ?
「梶山さん、この制服、沙希の学校のとは微妙に違うような気がするので良く似た別人では?」
「いえ、間違いなく沙希さんです。中等部の制服を同級生から手に入れて、売春する時に着ているようです。高校生と中学生では、『収入』が段違いのようですからね。」
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