第14話 お泊り

「………………………………梶山さん、あの母娘は、父と結婚してどうするつもりだったんでしょうか?」


「あくまでも想像ですが、まず涼さんを亡き者にしてからお父様に手を掛けたでしょう。」


「………………………………どういう事ですか?どんな意味があるのですか?」


「遺産相続の、順位ですね。涼さんがお亡くなりになると、相続の第1順位はお父様です。義理母娘ではありません。」


「…………………………………………」


なんとなく、わかってしまった。


「その後にお父様がお亡くなりになると、相続人は配偶者とお子様です。お父様、義娘さんと養子縁組されましたか?」


「………………………………いや、断った。」


「明日朝一番で、戸籍の確認をお勧めします。恐らく無断で養子縁組されてると予測できます。保険金殺人する詐欺師の常套手段ですから。」


あ〜、犯罪者の心理なんてわかりたくもないけど、ホントになにを考えればこんな事が出来るんだろうか。


「さてお父様、依頼をお受けしますよ。離婚成立で依頼料50万円、養子縁組されてた場合の解消はサービスします。横領された財産を取り戻した金額の3割を成功報酬と言う事でいかがですか?」


「………………………………お願いしたいが、出来るのですか?」


「出来なければ、離婚裁判になりますが、その場合は実費が追加されます。依頼料は成功報酬に充当しますので、失敗した時には依頼料と実費のみ負担していただく条件となります。横領金額の取り戻しは、やってみないとですかね。」


「その条件で、お願いします。」


「では、明日までに書面で用意しますのでご等連絡しますね。戸籍謄本は私が職権で取得できますので取っておきますね。早速動きますのでこれにて失礼します。」


あっという間もなく、梶山さんは立ち去ってしまった。


ボケたように黙り込む、父親。


柚香さんと顔を見合わせる。

どうしようかと思案していると、


「お父様、うちの者に送らせますので、また改めて涼さんの事は話し合いましょう。よろしいですね?」


そうだった。僕の事で父を呼び出したんだった。

何も解決してないしっ!

いつの間にか、トンデモ話になってたけど。


「政!お父様をお送りして。」


部屋の隅に控えていた政さんに、半ば引きずられるように連れられていく、父。


残された僕と柚香さん。


「さあ、私達も行きましょうか!」


「えっ、何処へ?」


「お風呂入りたいから、この上の部屋を取ってあるの。早く行こ?」


いつの間に取ったのかな?スマホを差し出して、このホテルの予約確定画面を見せてくる柚香さん。


何でそんなに嬉しそうなんですか!

えっ、一緒に入ろうってどういう事ですか?

お風呂だけで済むんですか?

済むわけないでしょってなんなんですかっ!

そんなに引っ張らないで下さいっ。何処からそんな力が出てくるんですかっ。





作者より


全然ラブコメでは無くなってきました。

収拾がつきません。

梶山さんが暴走しました。

ラストのオチを変えようか悩んでます。

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