第22話 示談
「……………………………慰謝料、ですか?」
「そうです。回収出来ますから。」
何故に?僕に。
「何の分の慰謝料ですか?」
梶山さんの言葉が、良くわからない。
「涼さんは、義妹さんに『強姦魔』扱いされて、その件を周囲に拡散されてますね。名誉棄損が成立します。」
「あの〜、僕の周囲では、誰もそんな事を真に受けたりはしてませんでしたけど。父親以外ですが。」
そう。僕の周囲であの母娘の虚言を真に受けたのは、僕の父親だけ。
「義妹さんの周囲では、そうではありませんから。慰謝料と示談書を取る事が重要になります。涼さんの将来の為には、必要な事です。」
「そうですね、お任せします。」
「では、こちらの依頼書にサインを。」
………………………………用意のいい事で。
ざっと目を通して、日付とサインを記入。
梶山さんに返すと、
「では、こちらが回収した示談書です。涼さんのサインを頂ければ、依頼完了です。」
………………………………ナニガナンダカヨクワカラナイ?
「………………………………いつの間に、動いたんですか?」
「全部、代理人を通しました。逆恨みされないように手を打ってあります。」
示談書に目を通しながら、いくつか質問を。
「金額の二千万円って、多くないですか?それに、接触禁止はわかりますが破った場合のペナルティが高すぎませんか?」
「接触禁止については、気にすることは無いと思われます。あの母娘はもう、『物理的』に接触出来ないでしょうから。金額は、最初から吹っかけてますから、こちらの希望金額で示談してきました。」
「先程、『慰謝料を回収』したと聞こえましたが、もう梶山さんの手元に有るって事ですかね?」
「その通りです。それに、私の弁護士費用は先方払いですから、全額涼さんにお渡しします。」
問題なさそうなので、父にも目を通してもらってからサインして梶山さんに返した。
「では、慰謝料は僕の銀行口座をお教えしますので振込でお願いします。」
「承知しました。」
僕の傍らの柚香さんが、さっきから何かを言いたそうだったので、
「柚香さんお待たせっ!どうしたのかな?」
「……………………………涼君、あのね?」
モジモジしだしたけど、どうしたのかな?
「何かな?」
「あのね、もし良かったらなんだけど、私の事、お父様にきちんと紹介して欲しいな〜って?
多分だけど、第一印象は最悪だったろうから。」
………………………………そうだった!
でも、僕達の関係を何て説明すればいいんだろうか?
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