幽刻のワイルドハント

　矛盾した気質をもつ十四歳の少年アトラは、幼いころに妖精を探しに行ったまま行方知れずとなったレジーのことが、ずっと頭から離れないでいた。
　ペラーと称される魔術師の家柄でありながら、いつしか空想を否定するようになり、次第に暗くなる心と髪色。
　ある日、昔話を聞いた途端にトラウマが甦って塞ぎ込んでしまったアトラは、考古学者の娘フラガリアから、心を晴らすために想い出の地へ行こうと提案される。
　墓場で出会った影占い師を名乗るジャドとその仲間たちも加わり、ムーアと呼ばれる荒野へ足を踏み入れていく。
　だが一行を待ち受けていたのは、追い求める妖精などではなく、亡霊の軍団ワイルドハントだった……。