第42話 「デルフリ村」

「これより近衛第一師団はデルフリ村へ向かう!!」


王子様の号令により行軍が始まった。その隊列を市民も見送っていた。今回も私が参加することになっているため、聖女様という応援が聞こえてきたりする。


そして場外へ出た後、名もなき騎士団と合流した。話は遡るのだけど、今回の討伐作戦への参加することを彼らに伝えた時、全員、異論なし。聖女様の護衛ができれば本望ですと言ってくれた。更にこの合流の時にライデンも合流させたんだけど、不思議なことに誰も気付いていなかった。

行軍して2日、目的地であるデルフリ村に到着した。その惨状を未だに怪我人はそのままでいるので、私は治療を始めた。


***


デルフリ村に来て3日、村人の治療も一段落、崩壊した山側の城門も応急処置を終わったところだった。


「これでようやく目途が立ったわね」


「そのようです」


クラリスが私の補佐をしてくれた。一方、名もなき騎士団は、村の周囲の調査。ライデンには山脈の向こう側の調査を指示していた。一段落した私が背伸びをしているとクラリスが話しかけてきた。


「ぼちぼち情報が来きます」


するとライデンが現れた。


「我が主、フリージア様、戻ってまいりました」


「ライデン。お疲れ様です」


「有難きねぎらいのお言葉」


相変わらずイケメンのライデンは、丁重に礼を示している。そして、シュヴァルツヴァルトの状況の説明を始めた。


「シュヴァルツヴァルトの中では魔物たちが覇権争いをしております。中でも、オーガキングとオークキングとドラゴニュートキングなど、15の勢力がこの地域の覇権を争っており、そこから逃げた魔物がオンジ山脈を越えてきているようです」


「そう…ありがとう」


「いえ…私は仕事をしたまで…はっ」


いつもと違う魔力を感じた。しかもかなりの数だ。


「ライデン!!」


「はっ!!直ちに」


ライデンを直ぐに向かわせた。するとクラリスが入ってきた。


「フリージア様、峠からエルフが多数逃げてきてます」


私達はすぐに街道に向かった。そして、そこには、エルフがこちらに向かっている。ほとんどが女性と子供、その数は50名ほど、彼らは私たちに気付くを前方に弓を構えた人々が出てきたて、矢を放ってきた。それをライデンは瞬時に消し去った。


それを見たエルフたちは戸惑っている。そこへ王子様が声を上げた。


「われわれは、あなたたちと戦う気はありません。このままシュヴァルツヴァルトへお戻りください」


すると一人のエルフが


「我々は、シュヴァルツヴァルトを追われた身だ。戻る故郷もない。ここを通してもらわなければ、戦うしかないのだ」


彼らは再び武器を構えた。


「まって!!わかったわ」


「フリージア様!!」


「あなたたちを一時受け入れます」


「どういうことですか?」


「説明はあと!!あなたたちは早く私たちの後ろへ逃げて!!」


戸惑うエルフたちを名もなき騎士団が誘導する。そして…


「ライデン!!クラリス!!来るわよ!!」


「「はっ!!」」


バキバキ!!と木々を粉砕して現れたのは、巨大なハイオークキング…


「ぐぉおおおおお!!」


「なんと!!」


「こいつだ!!村を荒らした奴は!!」


私たちの後ろでは避難を開始している。


「聖女様も早く避難を!!」


「私はいい!!はやくエルフたちを避難させなさい!」


「はっ!!」


怒涛の勢いでその巨体を揺らして迫ってくるハイオークキング


「どうするの?」


私が二人に聞くと


「我らにお任せを」


「じゃ…ここで待っているわ」


「御意」


次の瞬間、ハイオークキングは二人によって討ち取られたのだった。それを後ろで見ていた、王子様は夢でも見たかのように呆然としている。流石に今回は私の出番はなしだったんだけど、まぁ、これでよしとして、この後どうするかが問題だった。


それは、50名のエルフたちだ。エルフたちは下手に魔力を持っていたりするから村を乗っ取られるのではないのかという心配をする村人もいる。100名程しかいないでデルフリ村において、50名もの人口増加は大問題となる。

真っ先に目の前で問題になるのは、衣食住の食事と住むところ。デルフリ村は辺境の村とあって、家も少ない。

更に問題になったのは食事だ。50名分の食料の確保は厳しい。流石に魔法で食料はできないんだけど、何とかしないと


エルフの長の名前はクーサリオン、弓を使い手でらしい。齢はなんと二百云十歳だとか…彼ら曰く、シュヴァルツヴァルト内では、魔物たちが勢力争いをしているという。これは、ライデンの報告通りなんだけど、実は、その原因は、オンジ山脈の向こう側で発生した超新星的魔力を感知した魔王達が暗躍しているという。


うーん…なんとなく、嫌な予感…ひょっとして、原因って私じゃないわよね…と思っているとライデンは目をそらした。そして、真面目なクラリスも目をそらした。と言ことは超新星的魔力というのは私のことらしい。現在は、その魔力を外に出さないようにしているから、問題ないとおもっているとクーサリオンが


「聖女様!!何卒、我らを配下にしていただきたい」


「でも…あなたたちは、そこにいる女性と子供たちを守るために残るべきです」


「聖女様…我らというのはここいいる一族全員のことですぞ」


「はいーー?」


声が思わず裏返ったんだけど、


「すみません。それは王様の許可を頂かないと」


こうして私は王都へ現状の報告と食糧支援をお願いした。


***


再び彼らの話から、オンジ山脈の 十三峠を越えてきたそうだ。そこにはかつての出城が残っているようだが、この間倒したハイオークキングが者も見事に破壊したらしい。


「とりあえず、峠の砦の再建が急務ね」


「それと…峠を乗り越えてきた魔物退治も」


やることが多すぎるんだけど、とりあえず、魔物退治は、近衛第一師団におねがいして、私と名もなき騎士団は、十三#峠へ向かうことになった。


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