第39話 「敗北」
私との闘い?に敗北したクラリス様達、私のヒールで気絶した人たちもようやく目を覚ました時は大変だった。
「この偽聖女め!!」
『ウィンドカッター!!』
白い刃となった空気の塊が私に向かって飛んできたんだけど、さっきも攻撃を受けてなんともなかったので、無視をしてクラシス様に近づいていくとウィンドカッターは思った通り、私に当たった途端パリンと割れて消えた。
「ま…魔法が効かない」
「それよりクラリス様をお守りしろ!」
彼らは我を忘れて私に飛びついてきて、口々に自壊の呪文を唱えたが何も起きなかった。逆にそのことが彼らを呆然とさせていた。
「あの~重いんですけど…」
「す…すみません」
そんなことがあって、クラリス様達20名はその場で力なく佇んでいる。私は急がないといけないんだけど、そんな彼らを放置する訳にはいかないと何となく思ったので、クラリス様に声をかけた。
「あの~クラリス様」
どうにもならない状況をようやく悟ったのか
「我々の負けだ」
クラリス様の言葉が一体何を意味するのかはよく分からなかった。
「フリージア殿、一思いに我々を殺してほしい」
「は?…今…なんておっしゃいました?」
「一思いに殺してほしいと」
パチ―ン!!
私は思いっきりクラリス様の頬をビンタした。
「何を言っているのです?私は治療師ですよ。この私に人殺しをしろですって~。私を馬鹿にしているんですか?」
「…」
するとクラリス様はうつむいて黙り込んでしまった。するとあちらこちらからすすり泣く声がしだした。なぜ泣くんだ?この人たちは?
「どうしたんですか?」
すると、一人が答えを教えてくれた。
「俺たちは教会の命令を失敗した。それは死を意味する。本来なら自壊をしてでも相手を倒さないといけないのだ」
―――うーん…この人たちの頭の中はおかしい。これは私の直感だ。ちなみに私の記憶には教会のことは全く残っていない。
「あの~、別に教会の命令に失敗しても生きていていいんじゃないの?」
「何を言っているんだ?」
「そうだそうだ」
「でも、それだとあなたたちは、教会の命令で掃除をしている時に、掃除に失敗したら死なないといけないのですか?」
私の質問が悪かったのだろうか?彼らは目が点になっている。
「あの~例えが悪かったようね。なぜ、教会の命令であなたたちは死なないといけないの?」
再びみんなは目が点になっている。つまり、私の考え方は彼らの概念としてないと思った方がいい。そう思っていると
「教会の命令は絶対だ。命令に失敗したらそれは死を意味する。これが絶対普遍の原理だ」
話が振出しに戻った。こんなわけのわからない脳みそが筋肉でできている人たちを話をするだけ無駄なのだろうか?
ん?そうだ。
「でも~、命令に失敗したとしてあなた方が死んで誰が徳するのかな?」
「~!!」
おおっ!!みんなが一斉に反応した。これは話が通じたかもと思っているとみんなでひそひそと話をしている。すると、一人が手を挙げて質問をしてきた。
「フリージア殿、今の質問の意味がよくわかならいのですが」
私は思わずずっこけそうになった。ここまで頭が筋肉でできているの?本当に…
「ですから、今回の件で話をするわね。あなたたちは私を殺すこと、これが今回、教会があなたたちに出した命令です。そして、あなたたちはその命令に失敗しました。教会の命令通りに死んだ場合、一体誰が徳をするでしょうか?質問の意味わかった」
「はい。わかりました」
そこまでいい返事がきたんだけど、その後、みんなぶつぶつと何やら考えている。中には指を数えているんだけど、あなたは一体何を数えているの?すると別の人は頭をがりがりと描いて
「だぁああああ!!」
急に叫びだした。そんな人がいたかと思うと頭から煙が出ている人もいる。この人たちの脳みそはどこまで筋肉でできているんだ?いつまでたっても答えがでそうにないので、
「答えが分かった人」
誰一人として手を上げない。あのクラリス様すらわかっていないようだ。
「じゃぁ~答えを言うね。答えは、私です」
「えええ~!!」
みんな一斉に驚きの声を上げたのに私は本当にびっくりしたんだけど、
「なんでそうなるんですか?」
そんな質問が来るとは思ってもみなかった。頭痛がしてきたんだけど説明をしないと
「何故かというと、ここであなたたちが死ぬと教会側としては、私を殺す為の戦力、ここでは、騎士たちが減るということになります。つまり、戦力が減るということは私は殺される確率が減ることになります。わかった?」
すると数人は未だに頭から煙を出しているようだけど、クラリス様は理解できたようだ。
「フリージア殿、あなたの言っていることはわかりました。しかし、教会騎士団が暗殺をする場合は、失敗は死を意味します。本来なら自壊をして死ぬのですが、それもできません。という訳で私たちは帰るところがない」
「私が死んだことにしたら?」
「それは無理です」
「そうね。王様が許さないもんね。じゃぁ…あなたたちが死んだことにして、晴れて自由の身というのは?」
すると全員がざわざわと話をしている。
「それも無理です」
「なぜ?」
「教会の教えは、私たちの心の支えです。これをなしに生きるのは、それに我々は教会から抜ける時には死ぬように魔法をかけられている。これは、騎士団へ入団した時に自壊ができるようになる魔法と一緒にがかけられる魔法だ」
ということは、あの時見た気味の悪い黒い魔傷のことかしら、それならヒールで全部取り外したはずだけど、念のためにもう一度よく見てみよう。
「ちょっとまって?これからもう一度、あなたの体を確認するから」
『マジック エグザミネーション』
私は彼の体を再度診察してみた。すると、心臓に細い糸が巻き付いていて、その糸は魔力がたまっている器官と脳とつながっていた。これはヒールでは治せそうにない。つまり完治の光を使って一気に破壊するしかなさそうだ。
「これから皆さんからその死ぬ魔法を解除します」
「それは無理だ。魔法解除のキャンセレーションは効かないと聞いている」
「だれがそんな魔法を使うと言った?」
「え?いったい何を使うのですか?」
「じゃぁ…これからやりますので、皆さんはじっとしておいてください」
「本当にそんなことできるのか?」
「ふふーん…任せて」
私はみんなを集めて、魔法をかける準備をした。それは、みんなの状態を確認した。すると予想通りみんなに同じ魔傷があった。やっぱり…私は大きく深呼吸をした。
「では、これから始めます」
『完治の光!!』
呪文を唱えた途端、私は金色の光の中に包まれた。その光は徐々に広がっていき、ここにいる全員を包み込んだ。
『完治の光!!!フルバーストーーー!!』
この魔法によって、騎士様達は気をうなっていた。そして、あの魔傷は消えてなくなっていた。もちろん、みんなは、生きている。
「これでよし」
するとクラリス様をはじめとするすべての騎士は、行くところがなくなったので、私の部下となると言い出したのだった。因みに、この時、教会本部で一人の男が死にかけていたそうだけど、そんなことは、今の私は知る由もなかった。
この後、私の一の部下、ライデンを見た彼らの反応は、硬直そのものだった。
因みに騎士たちは全員独身で身寄りのない人たちだった。
こうしてエターナル平に到着が遅れた私は、マーリン様の怒られたんだけど、騎士団を見せたら上機嫌になった。
この日の魔法の練習はアイスニードルだった。この日の師匠は、ライデン、
『アイスニードル』
すると氷の槍が多数できた。
『シュート』
一気に目標に着弾した。その様子を見た騎士たちは言葉を失った。それほどの数の槍が目標を攻撃していたのだった。
「凄い…」
「ありえない」
「では、我が主。試してください」
「わかりました。やります」
はじめて水系?氷系の魔法に戸惑いつつイメージを浮かべて
『アイスニードル!!』
すると無数の氷の槍ができたんだけど、ライデンが作ったのと大きさが違った。ライデンが作った分は、長さ10センチほどの普通の槍先のような感じだったんだけど、私のはサイズがばらばらで、小さいので長さ1m一番大きいのは直径3メートル長さ10メートルというのもあった。
「待て!!」
マーリン様がそう叫んだ時に私はすでに次の呪文を言っていた。
『シュート』
当然、目標物はおろか、その周辺を破壊し尽くしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます