第19話 「うぎゃぁああああ!!!」
目の前に現れたのはオリバーソースは、足を引きずっていた。
「やあ…フリージア、君が聖女様として働いていると聞いて、ここへ来たんだ」
しかし、私の目には引きずっている足から黒い悪意だらけの魔力が見えていていた。うーむ。もう一度彼を見ると痛そうにしている。けど、ここでわかっているのは私が聖女として働いていることは言わない方がいい。直感的にそう感じた。もともと、詐欺師にしか思えていなかったし、元婚約者といわれても何の感情もわいてこない。だから、治す必要はないと思っている。しかし、そこへドクターワトソンが
「フリージア様、この人はビンセント伯爵の方です。無碍にできないので、しかも、伯爵からのダイレクトオファーですぞ、この通りだ」
ということで今に至っている。因みにドクターワトソンには
「そんな重要なお客さんでしたら一緒にいてください」
そう言って、一緒にいてもらっている。はっきり言って怪しいとしか言いようがないこの状態、絶対に何か裏がある。特にあの足から湧き出てくる悪意、それだけでも鳥肌が立ってくる。
丁度その頃、ロイドはコーエンと話していた。
「コーエン、あの技は」
「トロイジャンのことですかな。あれは、ヒールを掛けるとかけた人に魔毒素を注入する技でございます。魔毒素にかかると魔力が徐々に弱まっていき、最後には魔力が使えなくなります」
「そうか…ということは、今頃は」
「運が良ければ、マーリンも魔力を失うかもしれません」
「コーエン、お主も悪よのう」
ははははは!!
高笑いがこだましていたのだった。
一方、話は、治療室に戻る。
とりあえず、彼の足を見ることにした。ひどい傷に化膿しているような感じなのだが、これは魔法で治すわけにはいかない。
「これはひどい魔傷ですな」
「魔傷?ですか?」
「そうじゃ。あれは、厄介な傷じゃ。治癒魔法は使わない方がいい」
「どうしてですか?」
「魔傷は、魔力を宿しておるのじゃ、下手に魔法で治すとひどいことになるときがあるのじゃ」
「そうですか。だとしたら、どうします?」
「とりあえず、聖水で洗い流してみよう」
「わかりました」
傷口に聖水を掛けるとじゅわわとなって、泡を吹きだした。
「う~!!」
「静かにしなさい!!男でしょ!!」
「フリージアは聖女なんだろう。治癒魔法でパパッと治せなるだろ!!」
「残念でした。私は、ここの治療師の一人でしかありません。ドクターワトソン。オキシドールを」
トクトクと傷口にかける
傷口でじゅわわわと泡立って、消毒を始める。もちろん、激痛を伴っていたせいか、オリバーソースは再び声を上げた。
「うぁああああ!!」
よっぽど痛かったのか涙目になっていて、時折私を睨んでいるが、これも治療の為なんだから、逆恨みされる覚えはないんですけど、あの目は絶対に逆恨みをしている。こういう人って結構に根に持つから、きっちりとここで恐怖を受けとけておかないと、私はドクターワトソンへ目配せをした。
そのことを悟ったドクターワトソンは、あるものを取りに行った。
「これで消毒完了!!さてと、後は、ハイポーションを使いますから」
そういうとドクターワトソンは、ハイポーションが入った例の物をもって治療室に戻ってきて、私に手渡した。それを見たオリバーソースは、怯えて声を上げた。
「フ…フリージア…それは?どういことだ?」
何故かというと私が手にしているのは超特大注射器だったからだった。
「あっ!!これ~?見てわかりませんか?注射器っていうんですよ」
私は注射器をオリバーソースの目の前でどうよこれって感じで見えビラかした。
「…そんなことは、わかっている!!そ…それを…ど…どどどど…どうする気だ!!」
「そんな分かり切ったことを聞きます?もちろんこれは、オリバーソース様のお尻に注射するためのものですよ。ね~。ドクターワトソン」
私は思わずドクターワトソンへ向かってウィンクをすると、当然ですと言わんばかり
「その通りじゃ!!この注射器でハイポーションをうつことでこの足の魔傷はいえるのじゃ」
がたっと動いたオリバーソースは椅子から転げ落ち、首を左右に振りながら足をじたばたさせ後ずさりを始めた。
「うそだ~!!そんなデカい注射器って?い…嫌だ~!!」
「何言っているの。男がこのくらい!!我慢しなさい!!」
傷で動けないはずの彼なんだけど、必死に抵抗してくる。
「いや…嫌だ…いやだ…」
「おーい!!誰か来てくれ」
「ドクターワトソンどうしましたか?」
「こいつを抑えてくれ」
こうしてオリバーソースは男たちに押さえら他のだった。
「や…やめてくれー!!」
「いい加減にあきらめなさい」
オリバーソースのズボンは脱がされ、お尻が丸出しになった。そこへ、大きな注射針が徐々に近づいてきていた。
「観念しなさい!!それじゃ~♡!!注射をうつわよ♡」
「た…助けてくれ~!!」
ブスリ!!
「うぎぁあああああああ!!」
こうして、オリバーソースの治療は終わったのだった。
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