第18話 「ビンセント家と聖女の日常」

ロイド=ビンセントは溜息をついていた。ドラボール家に行かせたオリバー


「フリージアは聖女ではなかったので、妾にするのは辞めました。グレースに大切にしたいですから」


俺はドラボール家の娘を妾にして来いと指示したはず、しかも俺から反論されない為に娘のグレースのことも絡めて報告しやがって、


「お父様、聖女でなければ、あんな中流の娘を我が夫の妾にするなんて、私のプライドが許しませんわ」


そうだろ。俺がそう育てたんだから、オリバーって奴、変な所だけ頭が回る使えない奴だ。例え聖女でなくてもあの女、マーリンの弟子になっていると言うことは、相当な魔力を持っているに違いない。魔導士コーエンもあの日強力な魔力を感じていたと聞く、少なくとも魔力を持つ者には違いない、自分の地位を保つ為、魔力を持つ者はいくらいても足りないことはない。はっきり言って欲しかったが遅かったか。

するとコーエンが部屋にやって来たので話を聞くことにした。


「ロイド様、報告がございます」


「どうした、コーエン」


「ドラボール家でまた強力な魔力を感知した」


「なに?」


また、ドラボール家か、あそこに何があるというのだ。


「それでその魔力源はどうなった」


「今回は二つの魔力を感知、一つはあのドラボール家の娘と思うが、もう一つはよくわからん」


「それはどういうことだ?」


「もう一つの魔力は、マーリンの家で消えた。多分、そこで魔力を消している」


「するとマーリンの所には、強力な魔力を持った者が二人いるということだな」


「その通り」


王宮筆頭魔導士の力が増えることは、あまり好ましくない。ただ、マーリンは権力欲がないことが唯一の救いだが、油断は禁物だ。などとロイドが頭を抱えている横で、コーエンは


「ロイド様、これは、マーリンに謀反の疑いを掛けさせる絶好の機会なのでは」


その言葉を聞いて、はっと気が付く、ドラボール家も併せて葬り去ることができることに


「コーエン、ドラボール家を見張るように」


「はっ!!」



***


フン!!


「あと10回」


「くー腹筋がバリバリに痛い!」


王様は必死に体を鍛えていた。トレーニングの後はシャワーを浴びて清潔にしていた。


鏡に映る自分の姿を見て、


「もうちょっとだな」


一人納得をしている。そして、最近は自分が設立した孤児院へ向かった。


「王様~!!」


「おお!!みんな元気だったかな」


「はーい」


かわいい女の子たちの声がした。そして、管理をしている女性が現れ


「もう…みんな王様のことが大好きで」


「ほほほ…そうか」


「王様…いい匂いがする」


「そうか…そうか」


「また、一緒にお風呂に入りたい」


などと、無邪気な声がしていたのだった。


よしよし、これで王女と仲良く出来るかも


一方、王女様はというと


「聖女様はお兄さまに手を出さないって約束をされた。お兄さまはわたしのものよ」



一方、王子様はというと


フリージアは俺に興味がないとは、と落ち込んでいたのだった


***


この話は、私がドラボール家から出た時に起きた暴動騒ぎの時まで遡る。

あの時、雷が落ちたと言っても、私が無意識の内に召喚をした為に発生した時空の歪みから出た雷なんだけど、その事によって、一人の死者も出ていないのだ。

更にそこに集まった人たちの病が治っていたのだった。そんで持って、その場にいた人々はその記憶がないと来ている。謎だらけの奇跡がおきていた。


そして、こう呼ばれた 『聖女様の奇跡』



***


あの日から3日、エターナル平へ来ています。ということで、今日は、土の魔法を使うそうです。マーリン様が見守る中、私の横には、ライデンがいて、魔法も調整方法なども教えてくれた。まずは、マーリン様が手本を見せてくれた。


『いでよ!!ゴーレム!!』


すると人間と同じ大きさのゴーレムができて、のっしのしと歩き始めたのだった。そして、対象物を破壊したのだった。


「どうじゃ?では、マーリンやって見ろ。ライデン、大丈夫だろうな?」


「はっ!!大丈夫…だと思います」


「なんじゃ、そのためは?」


「我が主の魔力はとてつもなく強大ですので」


こうして私の番となった。


『いでよ!!ゴーレム!!』


そのゴーレムを見たマーリン様とライデンは驚いていた。


「なんじゃあれは?」


「フリージア様、大きすぎます」


そこには、身長18メートルの巨大な像が3体立っていて、それぞれ、弓を持っていたのだった。詳しく説明しよう。その巨大なゴーレムは人型なのだが、スカートをはいている。しかも、足にはルーズソックスのようなものをはいているのだ


「行け―ゴーレム!!」


そういうとルーズソックスの下部から空気が出て、ホバーリングをして高速で進んでいく。そして、3体は連携して目標を土の矢で打ち抜いたのだった。


「こんなものでてきてら」


「やばすぎます…」


するとマーリン様は私に向かって


「失敗じゃ…もっと修練しろ」


まだ、私には土魔法は早すぎたようです。


因みに、火の魔法については、かなり上達をしました。この間は、30キロ四方を吹き飛ばしたんだけど、今回は、100m四方を吹き飛ばせるように小型化に成功したんだけど、マーリン様からは


「まだまだじゃ」


ということでした。






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