第43話 「十三峠」
デルフリ村からシュヴァルツヴァルトを抜けるには十三峠を越えなければいけない。そこにはかつて砦があって、侵入者を塞いでいた。
「ボロボロですね」
要塞というより単なる瓦礫、古代遺跡の残骸かと思うくらい見事なまでに破壊し尽くされている。辺りを見回して完全に一から作り直しかないと思っているとライデンが声をあげた。
「フリージアさま!!危ない」
ゴーン!!
頭にゴムボールのような物が当たったような感触がして、振り返ると身長3メートルはありそうなオーガが金棒を持ったままのけぞっていた。
よく見るとのけぞっているオーガ以外に、剣士風のオーガと大将風のオーガだいた。
次の瞬間、剣士風のオーガが目の前から消えたかと思うとお腹に何かがあたった。
がキン!!
「なんと?このサザンの剣が折れるとは」
その光景を見ていた大将風のオーガは目を剥き出して私を睨んでいる。そして
「俺がやる!!」
そう言って何やら蒼いイナズマを纏った黒い物体を私に投げつけできた。当然、避けることすら出来なかったわたしは、その攻撃の直撃を受けた。
轟音と凄まじい爆風がわたしを直撃したんだけど、効果はゼロ。
「やったか?」
爆風が収まったところで無疵のわたしを見つけたオーガは
「ば…化け物」
「失礼ね。お返しだよ」
『ファイヤーボール』
残念なことにわたしの攻撃を彼らは避けたのだけれど、彼らの後方で轟音が地響きとともに唸りを上げ、大きなキノコ雲が攻撃が着弾したあたりから発生したしていた。
その光景を見た三人は、言葉を失い呆然としていた。その跡地には直径約10キロのクレーターと直径50キロ焼け野原が出来上がっていたのだった。
こうしてオーガ達は、私に対して降伏をしてきたのだった。
あれから数日、私は土魔法を駆使して、13峠の要塞を完成させた。ただ、このままだとあのオークキングクラスがくると持たないだろうとわかっているが、ここには石と土しかない。だから、これらでたかさ40mの城壁だけを作った。
あえて大きな作らずに、人が通れるサイズの小さな門を作っておいた。ここには後で鉄製の扉を取り付け予定だ。
しかも、通用門も迷路にしている。
そんな状況で、投降してきたオーガたちはこの城門の内側に入ることの許可を王様から取り付けることができた。
それは、オーガたちがこの城門を守ることと食糧は自給自足で賄うという約束ができたからであった。更にエルフたちも同じ条件でこの地へ住むことになったのだった。
当初は村の人たちも不安がっていたのだが、彼らの存在で近隣の森の魔物退治をしてくれたり、食料品の交換が始まったことから村自体も潤ったのだった。
因みにオーガもエルフも私が治療したことから、私に対して忠誠を誓ったのだった。
しばらくして、シュヴァルツヴァルトで散り散りになっていたエルフとオーガの仲間たちが13峠へ集まってきたのだった。しかし、門の内側の町では収容できなくなり、シュヴァルツヴァルト側へも出城を築き、町ができ始めていたのだった。
こうして私たちの役目も終り、王都クラリスへ戻ることになった。
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