第14話 「王子様と私」

そこに現れたのは、王子様と上流貴族、ローズマリー家のクラウス様、そして、同じく上流貴族のポートランド家のレオン様。クラウス様は、王子様のお相手とあって、中性的な顔立ちのBL小説に出てきそうな美少年。レオン様は、バリバリのイケメン。そんな3人が何でここに来たの?と疑問符を浮かべ見ているとオリバーソースの顔が青ざめている。


「何故?王子様がここに」


「この間、治療して頂いたお礼に来た」


という訳で私の家の召使い達は、バタついている。お父様もお母様も顔面蒼白になっている。


「これは、これは王子様、わざわざ、このようなむさ苦しいところまで…」


あれ?話が止まった。


お父様を見ると


うそ?


固まっている?


どうやらお父様は話始めた所で、王子様と視線があって、緊張のあまり固まってしまったのだった。その横でお母様?えっ?何、お父様にファイトなんて意味のない励ましをやっているのよ。


その光景を見た王子様もボー然としている。当たり前よね。と思っていたらクラウス様は私の方を睨んでいる。私何か悪いことをしたかな~?その横でレオン様もじっとこちらを見ている。すると、さっきまで青ざめていたはずのオリバーが剣を抜いた。


「まだ、話はおわっていない」


剣を抜いて構えている。


「あの~」


「命乞いをしても許さん」


「王子様の前でその危ないものは収めた方がいいと思うんですけど」


オリバーはチラリと王子様の方を見たが、直ぐに刀を私に向けた。完全に常軌を逸脱している。それは血眼になった目からもはっきりとわかる。


「今からでも遅くない。俺の妾になるのだったら許してやってもいいが」


「お断りします」


「貴様!!」


そう言った瞬間、彼は剣を振り下ろした。


『テレポーテーション』


「ん?あれ?」


私を見失った彼は慌てている。当然なんだけど、私はどこにいるかというと彼の後ろへテレポーテーションした。しかし、ほんとに間抜けというかいつまで私が後ろにいることを気付かないんだ?この男は、あっ?王子様とレオン様は笑っている。しかし、クラウス様はまだにらんでいる。私、何をしたんだろう?


「きーさーま!!」


ようやく、私を見つけたオリバーは再び剣を振揚げた。


『アジリティー』


『アボイド』


私は呪文を唱えて、彼の剣を避けていた。


「くそ!!くそ!!」


ひらり、ひらりと剣をかわす。


「なぜ?どうして?あたらない?」


「くそ!!くそ!!」


しかし、一応彼の剣もそれなりの腕を持つ、だからだろう、私をうまく壁際へ追い詰めていったのだった。


「そこを動くなよ。今すぐに楽にしてやる」


剣を持った相手に動くなと言われて、はいそうですか、殺されるおバカさんではないので、そろそろ、反撃に出ることにしよう。魔法で簡単に消滅することは可能なんだけど、それはさすがにできない。すると、彼と私の間には、さっきの魔法で、気絶している護衛の人がいる。これを使おう。私は、少し位置をずらして、倒れている護衛の刀の先が彼と一直線になるようにした。これで、この刀を踏んだらてこの原理でさやの先が彼のあごに当たるはず。


「いい子だ!!ようやく覚悟を決めたようだな。これで最後だ」


剣を振り下ろすために彼は一歩前に出てきた。今だ!!私は刀の反対側を思いっきり踏んだ。


「はぅ!!」


次の瞬間、苦悶の表情を浮かべていた。しかし、誤算だったのは、彼が思った以上に踏み込んできていた点だった。彼は、剣を落とし、両手で股間を抑えている。そう、あごに当たるはずのさやが、股間を直撃していたのだった。


「ーーー!!!」


黙ってうずくまる彼、外野にいた王子様が


「いたそう…」


そんな声が聞こえてきたので、私は終わりにしようと


「オリバーソースさん、私との婚約を一方的に破棄したあなたとよりを戻す気は一切ありませんし、妾なんかになるつもりはありませんので、本日はお帰りください」


「ぐ…」


これで終わりだろう。そう思った私は、王子さまたちのもとへ向かった。


「王子様、お見苦しいところをお見せいたしました」


すると王子様が叫んだ。


「あぶない!!」


振り返るとそこには剣を振り上げたオリバーの姿があった。


『バイヤー』


がん!!


「この!!この!!この!!この!!」


バリヤーが効いているのに何でも剣を振り下ろす彼を見て呆れた。


「うるさい!!寝てろ!!」


「うぐ…」


そんな彼を一撃で黙らせたのは、ほかならぬレオン様だった。


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