第15話 「オリバーの逆襲」
しばらくして、目を覚ましたオリバーは、王子様を見ていた。まだ、抵抗しようとしているように見える。すると王子様は、彼の目の前に行って
「オリバーソースとか言ったな、貴様に二つの選択肢を与えてやる。一つは死だ。そして、もう一つは、フリージアは、聖女でも何でもなかったということを認めて、謝罪をした上でこの場を去るかだ」
つまり、彼には、選択肢がないと思っていたら、私の耳元で
「あいつらの記憶を消せますか?」
レオン様の言葉にびっくりした私は、思わずうなずいてしまった。
「あっ」
言葉を漏らした私を見て、ふーんとしてやったり顔をしている。こいつ結構腹黒?そんなことを思っていると、その横では顔面を真っ赤にして震えているオリバーの姿があった。よっぽど、プライドが傷ついたのだろう。私を睨みつけている。護衛達はそんな彼を必死に諭していた。それもそのはず、ここで王子様に殺されても何も言えない。彼は必死にこらえながらも、怒声のまま謝ってきた。
「ご~め~ん~な~さ~い~!!」
頭一つ下げずに睨んだまま放ったこの言葉に、王子様も剣を抜いたのだった。
「謝るときは、態度でもちゃんと誠意をみせないとな」
「ぐ…」
王子様の言葉に頭を下げた時だった。
「普通は土下座だろう」
「土下座して謝れ!!」
この世界で女にしかも貴族の男子が土下座をすること自体、決してあってはいけないことだ。しかし、それをしないと死が待っている。そんな絶対不可避の状態に、彼は震えながら膝を力なく落としていった。そして、私の前で土下座をして謝ったのだった。
「誠に申し訳ございませんでした。私の勘違いでした」
ここで私の出番だ
『メモリーイレイザー』
『オーバーライト』
何ごともなかったかのように立ち上がった彼
「いやー誠に申し訳ありません。私の勘違いでした」
笑顔で屋敷から出て行ったのだった。すると、レオン様が
「君は記憶操作もできるのかね」
「さぁ?何のことでしょう?」
とぼけている私を完全に疑っている眼で見ていた。そんな会話を見てかどうか知らないけど、王子様が
「レオンと何を話している」
「オリバーソースの態度が急に変わったんで、王子様が何かしたのではと話していただけだよな」
こいつ、こんな時に無茶ぶりしてきて、本当に腹黒だ。
「ええ…そうよ」
「そうか…」
意味が解らない会話が取り交わされたんだけど、ま…これで一件落着と思った瞬間、扉がいきなり開いた。そこには、王女様が立っていたのだった。
「あなたがお兄さまをたぶらかした。フリジーアね!!」
ややこしいのが入ってきた。
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