第24話 「伝説の始まり」

私が出陣した時、前線は既に撤退を開始していた。というより敗走していた。


近衛師団に守られた私、白を基調とした鎧を身に纏って馬に乗っている。本来なら空を飛ん行ってもいいのですが、それは、マーリン様に禁止されているから、あえてに馬に乗って行軍している。


私の出陣風景を見た人々は、口々に王子様頑張ってくださいと言っている。ということに私は、期待されていない。しかし、誰かが私を見つけて


「あれは噂の聖女さまでは?」


「聖女様が出陣されるぞー」


場内の指揮が上がって近衛師団の指揮も上がった。


街を出ていしばらくして、私は、呪文を唱えた。


『レンジディフェンス』


私の体が金色の光が輝きだし、行軍している軍を全て包んだ。この状態で中継基地まで、途中で発見した負傷者を治療しつつ行軍を進めていくとライデンが戻ってきた。


「ライデンどうでしたか?」


「敵は、3万、悪魔ギゼルとガゼルの仕業だが、あの低位悪魔ごときにしては規模が大きすぎる。多分、上位魔人がついている可能性がある」


「で?前線は?」


「既に壊滅してます」


「では?マーリン様は?」


「マーリン殿は前線基地まで撤退を開始されています」


「そうですか。それでは、行軍を早く進めましょう」


「フリージア様、私に提案があります」


「ライデン、なんでしょうか」


「マーリン様の撤退の手助けとして、前線でひと暴れをしてこようかと」


「わかりました。敵の進軍を遅らせいただけますか?」


「御意」


この後、ライデンの活躍で、敵軍は1万の兵力を失った。


「いったい何が起きているといのだ」


「わかりませぬ。弱き人間どもの抵抗がこれほどとは」


「しかし、せっかく中位悪魔へ昇進できるチャンス、それに上位悪魔様の力も借りているのだ。ここで失敗する訳にはいかぬ」


しかし、所詮は魔物、ライデンの攻撃で軍団は混乱をきたしていた。



話はフリージアの行軍に戻る。


私たちの軍勢は、前線基地に近づいていた。すると、兵士がやって来た。


「フリージア様、魔物近づいてきております。その数」


私は兵士の報告を遮って前にでた。


「わかりました。私が前に出ます」


「フリージア様が?」


「わざわざ危険な」


「大丈夫、だいじょーぶ。このくらい…え?」


私が前に出て、迫ってくる魔物を見て驚いた。コヨーテとか、ゴブリンと言ったたぐいのものがうじゃうじゃといる


「こんなにいたの?」


「その数、1000」


「えー!!うそーーー!!」


奇声を上げて私たちに向かってくる魔物達の中には魔法を使えるものもいるようでファイヤーボールやエナジーボール、更に、ウィンドカッターが飛んできて私に着弾した。


「あれ?」


直撃したはずの魔法攻撃による損傷はゼロ。ライデンが言った通り防御は万全。ということは、負けることないよね。


「今度は、私の番だよ」


『エナジーボール』


私の手には野球のボールくらいのエナジーボールができていた。それを見たライデンが叫んだ。


「フリージア様、その技は禁止されているのでは?」


「え?」


ライデンの言葉は既に遅く、エナジーボールは既に発射されていた。すると、ライデンが


「みんな伏せろー!」


『多重障壁』


『バリアー!!』


大慌てで二つの魔法をかけた次の瞬間、私が放ったエナジーボールが魔物たちの中心に着弾した。


ピカー!!!



轟音とともに地鳴りがやってきて、軽い地震が起きたと思ったら、目の前には大きなキノコ雲ができていて、さっきまであった森が20キロ四方にわたってなくなっていた。もちろん、魔物たちの姿はどこにも見当たらなかった。


「なんと、一撃で」


この光景を見た近衛兵達は


「せ…聖女様、万歳」


こうして、私の伝説が始まった。

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