第25話 「圧勝」

軍を率いているガゼルとギゼルは、困惑していた。


「なんだったんだ?あれは?」


「まるで上位魔物そのものだ」


「なんであんな奴が人間ごときの見方をしているんだ?」


「わからぬ」


そこへ伝令が彼らのもとへ駈け込んで来た。


「ガゼル様!!敵援軍へ向かわせた兵1000が全滅しました」


「何!!」


「どういうことだ?」


「はっ?敵援軍は約100程でしたが、我が軍が攻撃した瞬間に大爆発が起き、一瞬で全滅したとのことでした。


「一瞬で?全滅だと?」


「いったい何が起こったのだ?」


「これ以上の報告は」


「見たものは?」


「直接見たものはおりません。現場へ行くと焼け野原だけがあったそうです」


「なんだと?」


ガゼルとギゼルはこの出来事に驚いていたが、そんな時に目の前の人間どもも中継基地をもう少しで落とせそうだという一報が入ってきた。


「そうか?先に中継基地を総攻撃じゃ!!」


こうして、魔物軍約1万9千は、中継基地を目指し進軍を始めた。丁度その頃、フリージアたちは、中継基地に到着していたのだった。


「マーリン様、ご無事で」


「フリージア。何故出てきた」


「はい。多くの人たちが傷ついているのには耐えれなくて」


「そうか?わかった」


するとマーリンは、ライデンにひそひそと話しかけた。


「ライデン、フリージアは無茶な魔法を使っただろう」


「はい…実は、禁止されていたエナジーボールを使って、20キロ四方、森ごと吹き飛ばしております」


「そうか、やはりあのキノコ雲はフリージアの仕業じゃったのか」


「その通りでございます」


「わかった。しかし、これだけの軍勢じゃ、今は、禁止などと、言えぬ状況じゃ。フリージア」


「は…はい」


「これまでの修行の成果を存分に見せるのじゃ」


「はい!!」


その時だった。一人の兵士がマーリンの前に駆け込んできた。


「マーリン様!!魔物がこちらへ向かってきます。その数、約2万」


「わかった。フリージア!!行くぞ」


「はい」



次の瞬間、ガゼルとギゼルは地獄を見た。金色に輝く一人の魔導士は、魔物たちのすべての攻撃を受けてもダメージゼロで前進をしてくる上、次々と繰り出される常識を超えた魔法になすすべなく魔物たちは、散っていったのだった。


『ウィンドカッター』


『ファイヤーボール』


『ライトニング』


『エナジーボール』


特に最後のエナジーボール20連発で、魔物軍は壊滅したのだった。


「こんなバカな…」


「あの女、血祭りにせねば!!」


ここで負けるわけにはいかない。ガゼルとギゼルは、彼女の前に現れたのだった。


「貴様!!」


ガゼルの叫び声にフリージアは立ち止まった。


「え?わたし?」


「は?なにがわたし?だ!!貴様しかおらんだろ!!」


私はあたりを見回して自分の位置を確認した。本来フリージアを護衛するはずの近衛騎士団ですら、私の後方で待機している。マーリン様も少し離れたところにいた。


「確かにそうだけど…」


「貴様!!バカにしているのか?」


「そんなつもりはないですけど、あなたたちはあの魔物のなんなんですか?」


ガゼルとギゼルは目をひん向いて叫んだ。


「なんなんですかだと!!本当に馬鹿にしてくれる!!」


「所詮は人間、儂らが殺してくれるわ!!」


するとガゼルとギゼルは、それぞれ、黒い炎のファイヤーボールを放ってきたのだった。それを見たマーリン様は叫んだ。


「いかん!!伏せろー!!」


「ふえ?」


二つの黒い炎のファイヤーボールが私に直撃して大爆発が起こって大きな音には驚いたけど、私は無傷。しかも、爆風は私の後ろへはそらすことなく受け切れたのだった。


「ん?何かあったの?」


無傷の私を見たガゼルとギゼルは口を大きく開け、鼻水を垂らして驚いていた。


「へ?」


「う・・・うううう・・・うそだ~!!」


ガゼルはブチ切れたように私の方へファイヤーボールを放ってきたんだけど、全く私には通用しない。いい加減、目の前で爆発するのがうざいので、


「もう!!うるさい!!」


その攻撃を手で受け止めると手の中でジュゥーーと言って消え去った。


「こうすればいいのか?」


私は新しいスキルを身につけたと喜んでいると目の前のガゼルとギゼルは、何故か震えている。


「あ…ああ…あ…あれをす…素手でうけとめる?」


「ば…ばけもの!!」


この時、頭で何かがプチンとはじけた。


「失礼ね!!誰が化け物だって?今度はこっちの番だからね!!お返しだよ」


『ファイヤーボール!!』


私の手からは漆黒の炎が青い稲光を上げて現れた。その大きさ直径20mだと思うんだけど、私の怒りもあって、更に大きくなっていった。


それを見たガゼルとギゼルは、恐怖のあまり身動き一つとれなかった。私の後ろではマーリン様がいかん!!バリアーを張れと叫んでいた。


「いっくーよーーー!!」


「ひぃぃいいいい!!」


私のファイヤーボールはこの日最大の50キロ四方の森林を消滅させたのだった。当然、ガゼルとギゼルは消え去ってしまったのだった。そう…何も残らずに


こうして、私たちの軍が魔物たちを撃退したのであった。



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