第26話 「勝利宣言 えっ?やっちゃった?」
「勝ったぞー!!」
「おーー!!」
勝利を宣言する王子様の言葉に戦場にいた人たちは、呼応して勝鬨の声を上げていた。しかし、一方で多くの方々がなくなられていた。流石に亡くなられてしまうと私の能力でも生き返らせることはできない。
勝ったとは言え、別な意味で悲しみがのこっている。
「国の為に犠牲になった者たちへ敬意を」
「黙祷」
この後、マーリン様が犠牲になられた方々の追悼の儀を執り行う。鎮魂を意味する『レクイエスカス』これを唱えると亡くなられた方々の霊を沈めることができる。これは王宮筆頭魔導士の務めであるので私の役目はこれで終わりと思っていると
「フリージア、君にお願いしたい」
「へ?」
「わ、わ、わわ私がですか?」
王子様は軽く頷いている。
「これってマーリン様が執り行うべきなのではないのですか?」
するとマーリン様は首を横に振って
「フリージア、この度の戰を勝利に導いたのは、他ならぬお前じゃ。ここにおるもの全てが認めることじゃ」
「そうだ。そうだ!!」
「聖女様。皆もきっと望んでいます」
「お願いします。聖女様」
こうして、多くの人たちの声もあり、私が執り行うことになった。
ドキドキしながら、みんなを見ている
「私に務まるのでしょうか?」
横におられるマーリン様も軽くて頷くて
「心配するな、わしも横におる」
「はい」
「それと呪文を間違うなよ、レクイエスカスじゃぞ、ラ行の呪文は多いのでなリラックスとか、レイアップとか、いいな!レクイエスカスじゃぞ」
あー!ただでさえ、緊張しているのに、そんなこと言わないでよ。ただでさえ、レクイエスカスって覚えにくいのに、パニック気味の私に
「ラルフとか言うなよ」
「クラウス様!!」
「レグザとかいうなよ」
「レオン様!!」
私はパニックになった状態で祭壇に向かうことになった。
祭壇の向こうには今回亡くなられた方々の遺体が置かれていた。ここにあるのは全てではないようだけど、一部は遺品だけというものもある。
「聖女様に鎮魂して頂ければ、この者たちも浮かばれるでしょう」
私は既に聖女扱いとなっている。
「いや、あの攻撃を全て受け止めたお姿は聖女そのものです」
私はどうしたらいいのかわからないけど、とりあえず、鎮魂の呪文を唱えることになった。
「それでは、やってみますね」
『リザレクション』
するとマーリン様が
「呪文…呪文」
私の体からは、金色の光が蛍のようにふあふあと飛び回りひとつづつ飛び出していた。
「マーリン様?何か?」
「呪文を間違えている」
「えーーーうそーーー!!」
驚いている私なんだけど、未だに光の球が次々と飛び出して、遺体の中へ吸い込まれていった。そして。全ての遺体に行きわたった後、その輝きはおさまった。
「フリージア!!呪文を間違えておるぞ!!」
「すみません」
「しかも、リザレクションって一体何の魔法だ!!」
「えーと、なんでしたっけ?」
「いい加減にしろ!!そんな呪文はない!!」
「すみません」
「いいか、鎮魂の魔法は”レクイエスカス”だぞ、わかったな」
「はい!!」
「では、もう一度」
そこまでマーリン様が話してくれた後、周りが騒がしくなった。
「マ…マーリン様!!大変です」
「何が大変なんだ?」
「い…いいいいいいいい」」
大変と言っていた人物が指をさした方向は遺体がある場所だ。よく見ると、遺体となった者たち動き出したのだった。
「行かん!!ゾンビかしているのでは?」
「そ…それが…」
「ええーい!!いい加減にはっきりと申せ」
「死んだ兵たちが生き返っているのです」
「「へ?」」
マーリン様と私は思わず変な声を上げたのだった。
その後、今度は、魔物に向けて鎮魂を行うことになった。それは、ゾンビ化させないためであった。
『レクイエスカス』
こうして、魔物のゾンビ化を防いだ私なんだけど、今回のことにかん口令を引かれたのは言うまでもなかった。
***
戦いが終わって、しばらくして、一体の魔人が辺りを見回していた。
「これは一体…」
不思議そうに思った魔人は私を見つけて驚いていた。
「なんじゃ?あいつは」
この世界における能力値はせいぜい千の位までだそうで、許容値を終えるとバグが出るという。私の場合は、”0000”と見えたそうだ。因みにこれは上位の魔物がもつ鑑定能力だそうなんだけど、ライデンはもっと高い値も見えると言っていた。
「これは、ルーベン様に報告せねば」
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