第32話 「開発の手伝い」

私が放ったエナジーボールのせいで20キロ四方の森がなくなって、長さ40キロ、幅20キロの広大な土地ができたのだった。今回、ここへ来た目的は、この広大な土地開発だった。


私はというと魔法の練習もかねて土木工事を行うことだった。まずは、外周に濠を作ることになった。いくら魔法でも40キロもの長さの濠はできない。しかも、深さ10m幅100mの濠をつくり、掘った土は内側へ壁のように積み上げる。これを土魔法を使って行う。


「いいか、フリージア、こうやって、掘った土を積み上げるのだ」


『ディグ アンド スタック』


流石、マーリン様、幅100mの濠を長さ500mを一気に掘り出したのだった。


「わかったな。これはイメージが大事じゃ」


「はい!!マーリン様」


「よし、やってみろ」


イメージね。マーリン様が掘った場所をイメージして、掘った場所の続きへ


『ディグ アンド スタック』


ズババババ――――ン


私が魔法をかけた途端、一気に土が掘れていった。その距離約10キロ


「・・・」


それを見ていたみんなは絶句していた。


「フリージア、よくやった。後を頼む」


「わかりました」


私は、掘った先へテレポートをして


『ディグ アンド スタック』


ズババババ――――ン


小一時間ほどで、濠を作り上げたのだった。


「うーん…いい仕事をした」


後は、堀の内側には葺石をして、石垣を作るそうだ。これは職人技になるから私は石を運ぶ手伝いをしていた。こうして、石垣が完成するまでの10日ほど開拓の手伝いをした後、首都へ戻った。



***


教会では、大司祭を中心に幹部会議が行われていた、もちろん、議題は偽聖女の件であった。


「残念な知らせですが、パートが殺られました」


幹部達はざわついた。さ


「そうか…偽聖女はそれほど強いのか」


「影からの報告によると、偽聖女の名前はフリージア、22歳独身、女」


「年としては、女盛りだな」


「しかし、22歳で独身ということはほぼ行き遅れにちかいな」


「そうだな…大した女じゃないな」


「ははは」


などと談笑が始まったころに、説明をしていた人がコホンと咳払いをすると、一同が話をやめた。


「魔力5、その他は一般女性くらいです」


「魔力が5だと」


「大したことないな」


「そうだな」


「だったら、なぜ、パートが負けたんだ?」


すると報告者は話を再開した。


「物理的攻撃、魔法攻撃が通用しない。物理攻撃ではミスリル製の剣が折れています」


「ミスリル製の剣が通用しないだと?」


ミスリル合金、この世界では、オリハルコンに次いで強固な金属だ。しかし、オリハルコンは伝説の金属である為、実質、ミスリル合金が最強となっていた。


「ミスリル合金ががかけるというは?オリハルコン級の強度を持っているのか?」


一同が再びざわついていた。


「静かに」


「それで魔法攻撃が効かないとはどういうことだ?」


「それは、アルティメットホーリーサークルは効かない・パートのエナジーボールも効かない」


「なんと?」


「で?偽聖女の魔法は」


「ラムちゃんアタック・エナジーボールを確認しました」


「なんだ?そのラムちゃんアタックというのは?」


「攻撃の様子から電気系の攻撃かと思われます」


「そうかということは、大したことないな」


「そうだな。エナジーボールなんて誰でも使える技だ」


「しかし…」


「しかし、なんだ?」


「エナジーボールなのですが」


「どうした」


「攻撃範囲は20キロ四方」


「は?」


「なに?」


「どういうことだ?」


一同は驚愕の表情を浮かべた


「エナジーボールにそんな力があるはずはない」


「魔力は5なのだろ」


「はい。影からの報告では」


「一体どうなっているのだ」


「パートはそのエナジーボールで死んだのか?」


「それが…」


「どうした」


「自壊でございます」


「どういうことだ?」


「エナジーボールを避けた後、その爆風で吹き飛ばされ気を失ったところを捕まり、最後は偽聖女を巻き込み自壊をされましたが、偽聖女は無傷」


「は?」


「自壊の破壊力はかなりのものだぞ」


「しかし、事実であります」


一同は、戸惑っていた。現在の情報だけを見ると、訳が分からない。それがここいる全員の見解だ。


「これからどうするのだ?」


「聖騎士団を送り込みますか?」


「いや待て、クラリスを出そう」


「クラリスをですか」


「確かに彼女は、教会最強の騎士」


「偽聖女に最強の騎士とは」


「よくわからない。偽聖女、まさに、悪魔の手下かもしれないのだから」


すると一人の少女が呼ばれた。


「大司祭様、お呼びでしょうか?」


「クラリス。偽聖女を倒してこい」


「かしこまりました」


「護衛に騎士団のホーリをつける」


「では、行って参る」





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