第10話 「王子様の恋 1」
「はぁ~」
王子は溜息をついていた。何故なら瀕死のクラウスを一瞬で治しただけではなく、彼自身の失った片腕をも再生したあの女性のことが頭から離れないことに、彼が好きな相手は、クラウス。
思春期によくある気の迷いではない。本気で好きだと言い切れるくらいだったはずが、なぜか、あの瞬間から金色に輝く聖女、フリージアの姿が頭から離れない。
絶妙に崩れた心のバランスが妹に対して行った行動がいつもと違ったことすら覚えていない。
フリージア
こう呟いたのであった。この呟きを妹に聞かれたとも知らず、彼は心の中で、一度会ってみないとそう思ったのであった。
一方、私はと言うと、王様のカウンセラーの真っ最中、王様の話では、王女さまが小さい頃に、母親、つまり、お妃様は亡くなられた。当然、第二夫人が正妻についたそうだ。だから、王様は。現在の王子様と王女様をいたく可愛がられていたと言っていた。
「しかし、あのバカ息子は、何で男なんかにうつつを抜かすんだ?」
王様の言葉に私は驚いた。それは、王女話の話と異なるから、ちょっと、どう言うことよ。王子様は確か私の事を気にしているはず。けど、王様の話だと王子様はBLだと言う。腐女子魂がウズウズとしてきまますが、ここは、それを置いといて、ますます、謎が深まってきたんだけど、とりあえず、王様を何とかしないと
「陛下、王女様は、思春期に入っています。そっとしてあげて下さい」
すると王様は予想通り溜息をつかれた。
「最近は、オジン臭いから添い寝もダメと断られてな。わしの楽しみもなくなってしもうた」
オジン臭いね。というより、楽しみって何?
「一緒に寝れないのは、寂しいでしょうに」
「そうなんじゃ、一緒にお風呂に入れなくなってから、一緒にに寝ている時に、オリビアの成長を確認していたのじゃが、それができなくなってな」
まさか寝ている時に変な事をしているのではと思える言動を、そこまで言って、ようやく気付いたようで、いきなり刀を抜いて、私の首元に突き付けた。
「あわわわ」
「このことは、他言無用じゃぞ」
「は…はい」
うーむ、困ったぞ。下手な質問をするとわたしの首が飛ぶかもしれない。だって、ここは結界の中、魔法は当然使えない。とりあえず、今まで情報をまとめよう。
依頼者
アーノルド国王 33歳
身長180cm 体重はわからないがお腹が出ていて、いわゆるおっさん体型。
お妃 1人 第2妃から昇進
子供6人
内容
娘オリビア王女(10歳)が最近冷たくなったこと息子エドワード王子(15歳)が好きな相手が男であること
ん?王子様の年は15歳なんですけど、ということは、17歳で子供作ったの?そう言えば、座学だと陛下のお子様は、合計6人の子供達がいる。ちなみに、一番下の子供の年齢は7歳、今のお妃様が22歳の時の子供、オリビア王女が生まれた時のお妃の年齢も22歳、ちなみに私の年齢も22歳なんだけど
「ところで陛下は、ここ5年子供が産まれてないようですが」
「ん?それがどうした?」
「いえ、言いにくいのですが、年齢的にはまだお若いので」
すると私をじっと見て
「確かにまだ朝立ち_もあるし、性欲もある。しかし」
「しかし?」
「妃に魅力を感じないんだ。何というか、よくわからないけど、彼女もオバサンになったってことかな?」
私も同じ22歳、ということは、王様はロリコン?いや待て、まだ結論を出すのは早い。それは、20歳を超えて子供ができているということからしても、まだ、正常な感覚と言えるから判断が難しい。
まずは王様は、正常な方と信じて対応策をお伝えしよう。大体、オッサン臭いからの脱出が第一よね。
「王様、まずは、カッコよくなりましょう」
「どういう意味じゃ?」
「先ずは、そのお腹をなんとかしましょう」
「何故?」
「思春期の女の子はカッコイイ人を好みます。つまり、お腹が出ているのはNGです」
「そんなものか?」
「はい。それと毎日、お風呂に入って体と髪の毛をしっかりと洗って下さい」
「それは何故じゃ?」
「先程も体の臭いが嫌と言われましたよね」
「おお、そうじゃ」
「実は、思春期の女の子は、オヤジ臭いを感知すると自己防衛本能として、近づいてはいけないという反応を示します。これは、本能的な事ですので仕方ありません。しかし、その臭いがなく、カッコいい人間には惹かれるようになります」
「わかった。お主のいう通りにしよう。しかし、その間、どうやって過ごせば」
たぶん、性欲をどのように発散させたらいいのかという問題は、どうにもできないし、これは本人の問題。
「すみません。それだけは」
「わしを慕ってくれる者が欲しいのじゃ」
「それなら国民の為に何かすれば良いのではないですか?」
「何故じゃ」
「いいことをすれば、国民から好かれますよね」
「わしはそんなことはせずとも国民から慕われておる。わしが欲しいのは、耳を貸せ」
国王の話を聞いて私は絶句した。当然、他言無用の話に私は提案をした。
「おお!!その手があったか、確かに、それだと国民も納得する。わしも慕われるな」
「御意」
「聖女様、ありがとうな」
こうして王様の治療は、無事に終わった。この後、王立の孤児院ができたのだった。
あー疲れた。私は、治療室を出ようとした瞬間、扉がいきなり開いた。
「フリージア!!」
そう叫んだのは、エドワード王子様だった。
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