第10話
「ではセックスと受精についての講義を終了いたします。」
黒板を叩く。
「特にコンドームの話と処女信仰と童貞無価値論についてはテストに出すので覚えておいてください。」
そう言葉を締めくくり第1回セックス教育を終わらせる。
俺の目の前には顔を真っ赤にした女生徒二人。
白峰と黒岩だ。
俺は彼女らに約束通り性教育をした。
第1回は早速SEXについて教えた。
人間が繁殖をコウノトリにアウトソーシングしていると思っていた白峰にとっては
衝撃な話だったのか締めくくりの言葉から数分フリーズしていた。
白峰の脳内ファンタジーでは男女がえっちなちゅ~をした後にコウノトリが女性に子供を授ける。
しかし今日の講義で男の下半身についたロッドで女のホールに出すもの出して作成する物だと教えた。
てれれれん!
白峰の性知識が5増えた!
これで近所のおじさんとトレーニングと称してSEXする事はなくなったぞ!
「じゃあ今日の事は家でよく復習する様に。先生は帰りますからね」
「・・・あ、先生!質問があります!」
帰ろうとする俺に気付いた白峰が焦った様子で手を挙げて質問をしてくる。
俺は手で続きを促す。
「先ほど、先生は男は全員。お爺ちゃんでも女性とSEXしたがると言いましたがそれは純くんもでしょうか。」
真剣な顔でふざけた事を言う白峰。
「あ?当たり前だろ。純くんなんてSEX大魔神だよ。あいつは脳内で常に最低3人の女を犯している。」
「そんな・・・、そうだったのか。」
「冗談だ。」
「貴様っ!」
俺の小粋なジョークに激昂する白峰。
「これは冗談だが、純一も普通の男子生徒だ。やりたいって感情はそりゃあるよ。だけどあいつも経験豊かって訳ではない。仮に純一とそういった場面になっても未経験を恥じる必要はない。ドンと行け!」
「んなっ!ち、違うっ!私はただ」
わたわたと焦った様子の白峰。
一応釘を刺しておかないと白峰は自分の性経験の薄さを気にして野良試合で経験を積もうとするからな。
白峰と話をしていたが黒岩も慎ましく手を上げた。
「はい、黒岩君。」
「先生は、その、経験ありはるんですか?」
「…追加講義となりますが性別問わず人に性経験を問うことは大変失礼な事に当たります。軽々しく聞くことはやめましょう。」
「あぅ…」
俺の厳しい言葉に落ち込む黒岩。
その様子を見て勝ち誇った様子で指を刺してくる白峰。
「ふん!貴様も経験なんてないんだろう!スポーツ経験もないのに顧問する先生みたいだな。ふふん!」
ふんふんうるさい女を無視して黒板に書いた男性器と女性器の絵を消す。
あるわい!と怒鳴りたかったがまさか一個下の女の子に調教されてるのでむしろそこらの変態より性経験は豊富ですとは言えなかった。
「人の性経験を笑う事は殺されても文句言えないぞ…なんにせよ、SEXなんて生物が何億年もしてきたただの行為の一つ。過度に忌避する必要も経験がないからって焦る必要もない。ただ重要な事で、だから悪い人は性行為を使って他人をコントロールしたりする。」
俺は真剣な顔で2人を見る。
「だから自己防衛の術は持っておきな。あと心もね。SEXに操られるのではない!むしろSEXを利用してやるって気持ちで行くのだ!我が生徒達よ!」
璃々ちゃんみたいになられると困るけどな。
俺はそう言って改造スタンガンと催涙スプレーを2人に渡す。
「では質問がない様なら今度こそ解散!」
第一回の講義は終わった。
2回目はまた来週である。
…
学校から帰り際に愛陰会からの報告を受け取る。
ふむ、魅李に異常なしか。
魅李のうなじが綺麗だった事や不必要な盗撮写真などノイズが多かったが結論今の所問題ないようだ。
にくいあんちくしょう共も近づいていないみたいだ。
俺は報告書に花丸マークをつけて幹部達に書類を返した。
「あっ!元締め!写真はどうしたんですか!」
「これからも励めよ。」
写真は貰っておく。
べ、別におかずにするわけじゃないんだからね!
魅李と純一の部活動が終わるまで校内をプラプラしていると嫌な顔を見た。
腹増だ。
奴も俺の顔を見てうげっとした顔をしている。
「うーす、腹増先生。今日も開発に忙しそうですね。」
「な、なんの話だ。」
「惚けないで下さいよぉ〜、あのどんな女でも一粒で発情期のワンちゃんみたいにしちゃう媚薬のことですよぉ〜。げへへ。」
何故それをと驚いた顔をする腹増。
マジで作ってんのかよ。
俺は奴と無理矢理肩を組む。
「先生〜、黙っててあげるからちょっと俺にもくれよぉ〜。」
「や、やめろ!そんなものはない!って、ぬぁ!身体をまさぐるな!」
強情な腹増の身体検査をする。
何だよ持ってんじゃねぇかぐへへ。
気色悪い喘ぎ声をあげる腹増を無視して奴のケツポケットから薬剤をぶんどる。
使い道があるかもしれんし貰っとくか。
そうして俺が他にもないか腹増をペッティングしてると撮影音が後ろからした。
振り向くと白ギャルちゃんの明菜がいた。
何故か真っ赤な顔で携帯をこちらに向けている。
「か、勘違いするなしっ!」
そして見つめる俺に対して謎の言葉を残して走って去っていった。
勘違いするなっていうか彼女が明らかに勘違いしているっぽいが。
俺は顔を青くする腹増の耳に囁く。
「ふふ、先生…僕たち勘違いされちゃったみ・た・い。」
「…あの、すみません。お金なら払うから身体だけは勘弁してください。」
何やらこちらも勘違いしているデブハゲを無視して俺は次の純一と魅李のラブラブ作戦の策を考える事にした。
もうこの手に入れたクスリを二人に飲ませて個室に閉じ込めてしまおうか。
その前に人体実験しとくか。
俺はクスリを取り出して薬蔵の口に放り込もうとする。
「馬鹿!やめろっ!死ぬ!」
薬蔵が大暴れしだしたので奴を解放する。
俺は異常な薬蔵の抵抗に冷や汗が出る。
「なんすかその暴れ様・・・、これってもしかして毒物?」
「人聞きの悪いことを言うな!・・・ただ使用量を守らないと死ぬ可能性が高いだけだ。」
「なんてもん持ち歩いてんだ!」
エロゲ世界の倫理観はどうなっているんだ。
一粒以上服用させない方が良さそうだ。
というかこれで告発したらこの男を危険薬物所持の容疑で豚箱にぶち込めるんじゃないか。
俺はクスリを取り返そうとする薬蔵を躱して逃げる。
「貰ってくぜとっつぁん!」
・・・
引き続き校内をプラプラして物陰でいちゃいちゃしていた1年のカップルを見つけて冷やかしたりと有意義な活動をする。
今日は璃々からの呼び出しもないし大分暇だ。
部活は何時ぐらいまであるんだ。
そこで俺は見知った顔を見かける。
愛陰会の一年の構成員の1人だ。
一年の中でも取りまとめ役を担わせている。
「おい、志島。美咲はどうした。」
「あっ、元締め。」
身長はそれほど大きくないが甘いマスクの持ち主で頭がよくスポーツマンのこいつは女生徒から人気が高い。
俺の信頼も厚く美咲のボディーガードをさせている。
しかし今は美咲といなかった。
美咲と志島は仲が良く同じ部活に所属している。
フルコンタクト空手部だ。
いずれその鍛えた拳が俺を向くんじゃないかと戦々恐々と俺は妹に対して怯えている。
「探しましたよ、元締め。」
「お前が俺を?電話すればいいだろ。まさか美咲に何かあったのか?」
「丁度電話しようと思って部活を抜けたばかりなんですよ。携帯は更衣室に置いてたから取りに来てました。美咲さんなら大丈夫です。俺以外の構成員が見てますし、部活で元気に組み手してますよ。」
志島はそう言うがでは何故美咲から離れて電話を取りに来たんだ?
美咲より俺に連絡する事で重要な事柄など無いはずだ。
「それより、元締め酷いじゃないですか…。」
「あん?」
空手着を着たそいつは俺に対して構えを取る。
「聞きましたよ、あの腹増先生と公衆の面前で青姦してたって!」
「ぐぉっ!」
そして俺に対して飛びかかってきた。
俺はギリギリ奴の拳を避ける。
志島はヤバい目をして俺を見つめている。
しかも片目から涙すら出ている。
マジで頭いっちゃってる感じだ。
というかあの白ギャルめふざけた噂流しやがって。
「元締めがゲイに目覚めたらまず最初にぼくに貸してくれるって約束だったじゃないですかぁ〜!」
問題。僕は彼に対して何を貸す約束をしていたでしょう。
正解したあなたにはワセリンをプレゼント。
俺が男であるこいつに美咲を任せているのは彼が女性に興味がないからだ。
逸材だと思った俺が愛陰会にスカウトしたがその際にとんでもない約束を取り付ける事になった。
「ちょっ!勘違いするな!」
「黙れっ!元締めは僕の気持ちを弄んだんだ!」
俺の言い訳を聞かずに追撃を仕掛けてくる志島。
逃げようとしたがいつのまにか周りはギャラリーに囲まれて逃げきれない。
「いいぞ!志島〜!そいつを殺せ!」
「志島くん!頑張ってぇ!」
先程俺に邪魔されたカップル達も志島を応援している。
教師も遠くからその光景を見ていたがスルーしていずれかに行ってしまった。
そういえば格闘系の部活は愛陰会への武力の行使を許可されているんだったか。
お前らはこいつを応援するが俺が負けたらこの場で志島による俺へのレ◯プショーが始まるんだぞ!
事情を知らないギャラリーにヤキモキする。
まずい。正直言って志島と俺が本気でやった場合俺が勝つのはかなり難しい。
こいつは俺がほぼ負けていたチンピラの毒島を無傷で倒せるレベルだ。
勝つにはこれしかないか。
俺は嫌々衣服を脱ぎ捨てパンツ一丁になる。
ギャラリーから悲鳴が上がる。
志島は血走った目で俺の股間を見つめる。
「も、元締め。何を…」
「志島…、かかってこいや。」
俺は奴に突進していく。
虚を疲れた奴の腹に俺の拳がめり込む。
ちっ、浅いか。
奴も反撃してくるが俺のパンツに気を取られて攻撃がおぼつかない。
この作戦はかなり馬鹿馬鹿しいが効果的だった様だ。
さっさと志島を無力化しよう。
俺は奴に対してカウンターで蹴りをかまそうとしたタイミングで聞き慣れた声が耳に入る。
「な、何してんの。2人とも…」
美咲だ。何故ここに!?
美咲の方をつい向いてしまった俺はふいをつかれてしまい志島の正拳突きが腹に突き刺さる。
「ぐはぁ!」
壁へと吹き飛ぶ俺。
周囲から歓声が沸きあがる。
志島が俺へと近づいてくる。
ま、まずい。こんな衆人環視の場で、妹が見ている前で志島に犯されてしまう。
「兄貴に何してんだっ!」
だがそこに美咲が割って入って志島に殴りかかる。
「み、美咲…?」
この場で唯一俺の味方をした美咲は周囲の困惑の目も気にせず志島と戦い始める。
ゲイではあるが本来根が優しい志島が手加減しているというのもあるが妹はかなり強く。奴に対して優位を取っていた。
「どんな理由があろうと兄貴を傷付ける奴は許さない!」
「美咲さん…、君も邪魔だねぇ…!僕と元締めの間に割り込むな!」
最近反抗期気味だった妹の言葉を聞いて俺は泣きそうになった。
やっぱ妹しか勝たん!
しかし手加減していた志島の目が怪しく光り始めたので隙を見て俺は奴の側頭部に蹴りを当てて気絶させた。
兄妹のコンビネーション技だ。
「兄貴っ!」
「ありがとう、美咲。」
俺はとりあえず美咲に感謝するがどうしたものか。
志島には今後も美咲の護衛を頼みたい。
ここで関係性を壊すのは得策ではない。
「兄貴、なんで志島くんと戦ってたの?」
「ええと・・・、実はこいつとお前が仲が良いって聞いてな。」
仕方がないので俺はこの同性愛者で妄想気質でそして尚且つ強いという現代の怪物を庇う事にした。
「我が妹の友人として相応しいかテストしてやってたんだ。」
我ながら最悪の理由だ。
周囲からも非難の声があがる。
だがそれとは対照的に美咲の顔が赤くなる。
「えっ?それって・・・兄貴、嘘。志島くんに嫉妬したの?」
そして何やら勘違いした事を言いだした。
俺が嫉妬したのではなく。このゲイが俺と薬蔵というおっさんとの仲を邪推して嫉妬したのだ。
口から出かかった言葉をなんとか押しとどめる。
美咲は両手をぶんぶん振って俺をなだめすかす。
「心配しなくて良いよ兄貴ぃ。志島くんとはただの友達だから。もう!相変わらずシスコンなんだから!」
気持ちいいくらいの満面の笑みで美咲は俺の肩を叩く。
理由を聞いた美咲は志島の安否を確認した。
学内での俺の評価が落ちたが何とか美咲と志島の関係は破綻しなかった。
「ところでなんでパンイチなの?」
「・・・」
それは俺と志島の頭がおかしいからかな。
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