第20話

「お前、何で?」

「何で?何か疑問か猿渡。」


ニヤニヤと醜悪な顔を歪ませたゴリ豚は傍らのナースを引き連れて俺の元へと歩いて来る。


意表をつかれた俺は咄嗟に立ち上がる事もできずに接近を許してしまった。


だがゴリ豚は暴力を振るってくることはなくただ俺のベッドの近くにあった椅子に座る。


「俺がシャバに出ている事が不思議か?それともお前にこの時間に会いに来た事か?それとも…」


奴は座る自分にしなだれかかるナースを引き寄せて自分の膝に座らせるとその女の胸を揉みしだき首筋を舐める。


「やぁん♡」

「俺がいまだにメスを服従させられていることが疑問か?」

「…全部だよ、お前の下劣な犯罪行為は2、3年で出て来れるもんじゃねぇだろ」


こいつは懲役40年で実刑となったはずだ。

まさかあの痴漢野郎と同じ様に脱獄したのか?

いくらなんでもガバガバヤリ◯ン過ぎるだろ。

俺が知らないだけで刑務所には性犯罪者専用のファストパスでもあるのか?


そして、何故こいつは俺の病室へ来た?

俺が入院した事をどうやって知ったんだ?


ゴリ豚は見せつけるように指を二本たてた。


「2つ…、まずは疑問に答えてやるよ」

「…」

「1つ、俺が外にいるのはな。刑務所を抜け出してきたからだ。猿渡、お前、五指ごしにあっただろう。」

「五指?」


やっぱ脱獄してきたのかよ。

そしてここに来て新キャラの名前が出てきた。


「お前がまた豚箱に叩き込んだゴッドハンドと呼ばれる男だ。」


あの痴漢野郎か。


「俺は奴と協力して刑務所を抜け出した。40年も野郎に囲まれて生活するなんざ真っ平御免だったならな。同じ敵を持つ者同士意気投合をするのは早かった。」


遠くを見つめるようにしみじみと語るゴリ豚。

きっと脱獄するまでの間に多くの困難があったのだろう。

だが俺はそんな事には一切興味がない。


「奴の窃盗能力と俺が力を合わせる事で何とか刑務所を抜け出す事が出来た…。そして俺がここに来た理由だが…」


奴は言葉を区切ると俺の頭を掴む。

頭皮が痛みを俺の身体に伝える。


「ヤリ残した事をヤリに来たんだよ」

「予想通りすぎて面白くねぇよ、ゴリ豚。痴漢野郎と同じ様に俺が家までまた案内してやるよ。」


奴を出来るだけムカつかせるように顔を作って煽ってやる。

だがゴリ豚は怒るでもなくただニヤニヤするだけだ。

自分が圧倒的に優位だと思っているのだろう。


「まあ、そう喧嘩腰になるな。猿渡。俺はお前と仲良くなりに来たんだ。それにお前とはある意味兄弟じゃないか」

「ああ?俺の三親等内の親族にてめぇみたいな性犯罪者なんかいねぇよ。」



「オレの中古オナホの具合は良かったか?猿渡?」



ぶっ殺す。



毛布の中で隠し持っていたボールペンを振りかぶり奴に襲いかかる。


だが奴の膝の上にいたナースに阻まれた。


「邪魔だっつの!」

「ご主人様に近づくな粗チン野郎!」


俺とナースの攻防を他所に奴は椅子を立って俺から少し離れる。


「おお、怖い怖い。流石に1人じゃ荷が重そうだな。おーい、メス豚共入ってこい。」

「はぁ〜い♡」


ゴリ豚が呼びかけると病室に数人のナース達が入室してきた。

そして俺の事を協力して取り押さえてベットに押さえつけてくる。

ボールペンも取られてしまった。


「やはり、お前は油断ならないなぁ。猿渡。あの時も俺の計画が阻止されるとは思っていなかった。」

「そりゃてめぇが間抜けだからだろ豚野郎。」


俺は喋りづらい中で奴に負け惜しみを言ってやる。


「まあ、そうだな。魅李や璃々みたいなバカなメスの相手ばっかしてたから俺の脳もすっかり退化してたんだろうなぁ。」


あくまで余裕そうに勝ち誇り魅李達を侮辱する豚野郎。

頭が沸騰しそうになるが我慢する。


状況は圧倒的に不利で、助けを呼ぶことも難しい。

何故ならこの病院の職員が俺の敵になっているからだ。

どいつもこいつも俺を押さえながらもトロンとした目で豚を見つめてやがる。


どうなってやがる。


俺はあの日奴の股間に執拗な攻撃をしかけた。

後々に禍根とならない様に不能にしてやろうとしたのだ。

玉を潰すことは出来なかったが奴の棒を俺はへし折ってやった。


だが奴は今も得意気に女を侍らせてやがる。


見た目と性格でこの男に心酔するなどこいつが催眠おじさんでない限りありえない。

そしてこいつは催眠おじさんではない。


「さて、じゃあ落ち着いた所でお前の最後の疑問に答えてやろう。」


勿体つけてそういうと奴はベルトを外す。

俺の周囲の女たちの興奮が伝わってくる。


そして奴はズボンを下ろした。


「な、んだよ、そりゃあ…」

「何ってペニスだよ。お前の股にも付いてんだろ?俺のと比べたらそりゃあ無いも同じだと思うかもしれんがな、ぐひゃひゃ♪」


俺が折ってやった奴の物はまるでそんな事など無かった事のようにそそり立っていた。


「俺が折ってやったはずだろうが!」

「ああ、折られたな。…あの時の痛みと絶望、それが俺に更なるパワーをもたらした。見てみろ猿渡!俺のチンコをよぉくな!」


仕方がなく俺を押さえつける女達の様に奴のチンコを観察する。


昔、奴が魅李に襲い掛かろうとした時よりそれは黒く、大きく、太い様に見える。


というか黒過ぎて周囲の肌の色から浮いている。


「ま、まさか…」

「気付いたか…、そうさ!移植手術で取り付けたのさ!…俺は脱獄して直ぐにタイへと飛んだ…。そして絶望の中にいた俺は出会ったのさ新たな相棒と。」


前世ではタイはおちんちんを取る手術が発達していると聞いたことがあるが取り付ける事も出来るとは知らなかった。

それともエロゲ世界故の下関連の技術発達によるものなのだろうか。


「元々の俺の金玉による無限の精液生成能力!そして黒人チンコを移植した事によって俺は以前の俺より更なるパワーを手に入れた!」


ゴリ豚は腕を組んでふんぞり返る。

奴の周りに看護師達が集まり、密着する。


「感謝するぞ!猿渡!お前のおかげで俺は真の強者男性へとなったのだ!」

「犯罪者がチンコ丸出しでふざけた事言ってんじゃねぇぞ…」


最早俺の言葉は奴を調子に乗らせるスパイスにしかならない。

奴はニンマリと笑って下劣な計画を話す。


「この後は魅李の家に行く。あの女と…そうだな、母親も歳の割になかなか美人だった。母娘丼で堕とした後に璃々、お前の妹、母親。全員俺が抱いてやる。」

「出来るわけねぇだろ…クソ野郎」

「出来るさ、メス共は俺のこのチンコに逆らう事は出来ない。メスなんざ穴に突っ込んでやりゃ従順なもんよ。…お前には分からないだろうがな!ぐっひゃ」


奴は俺の目の前まで歩いてくる。


「だが俺はお前には本当に感謝してるんだ。だから、お前も楽しませてやるよ。おい、牝豚共。」


奴は下衆な笑顔を俺に見せると看護師達に指示を出す。


右腕の袖を捲られ強く押さえつけられる。


ゴリ豚は懐から注射器を取り出した。


「は、離せ!やめろ!」

「なぁに、安心しろ。ちょっと気持ちよくなるだけのお薬だ。」


俺は暴れ回ろうとするが女達に体を押さえつけられて抵抗ができない。


無理矢理体内に謎の薬を注入される。


「ぐぅっ…!」

「なあ、猿渡。人間ってのは快楽の為に生きるもんだ。」


体温が上昇していく、動悸が激しくなる。

下腹部に熱が溜まっていくのが分かる。


「だが、最近のメス共と来たら自分の役割を忘れて無駄な社会活動に精を出してやがる。特にフェミニスト?なんて連中は不愉快極まるよなぁ?」


持論を得意気に語り始めるゴリ豚。

こんな異常者の話など耳に精液が掛かるから聞きたくないが俺には何もできない。


「女共の役割は俺の様な真の男に奉仕する事だ。俺は哀れな豚どもに快楽を与えて気づかせてやってるのさ。こいつらみたいにな。」


とんでもない侮辱の言葉を口にしながら両脇に侍らせた女の胸を揉みしだく。


両脇の女共は快楽に堕ちきった顔でゴミの話を心酔して聞いている。


「お前はあの時魅李や璃々を助けたと勘違いしてるんだろうが、逆だ。あのメス共は俺に服従する機会を逃してしまったんだ。今度こそあいつらに本当の幸せを与えてやるよ。」


奴は態々足を大きく開き俺の顔を踏みつける。


「てめぇみたい粗チンじゃあ出来ないから俺が仕方なくなぁ。」

「くたばれ、ゴミやろぉ…」


俺の弱々しい反抗を鼻で笑って奴は病室を出て行こうとする。

魅李達の所に行く気だ。


クソが、せっかく前向きに皆が動き出したってのにこんな奴にまためちゃくちゃにされてたまるかよ。


「まあ、お前も楽しめ。この女共を貸してやるからよ。自分を助けた男が快楽に蕩け切ってる姿を見てあいつらはどう思うかな?いやいや、男の寝取られを企てた事はないから楽しみだよ。ぐっひゃひゃ。じゃあまたな、次会う時はビデオ通話だ。」


「待てっ!ゴリ豚ぁ!」


奴は悠々と病室を出て行った。

それと同時に俺を押さえつけていたナース達が服を脱がせようとしてくる。


「や、やめろ!」

「無駄な抵抗しないでよっ!あんた犯せばご主人様に抱いてもらえるんだから、本当はあんたみたいな粗チンの相手なんかしたくないんだけど」

「本当にめんどくさいわぁ、まああの薬で直ぐに腰振ることしか考えられなくなるでしょ」


ゴリ豚の野郎、俺を看護師達を使って押さえつけて尚且つ魅李達を寝取る時のスパイスにする気か。


ふざけやがって。


だが以前体は熱いままだがこの看護師達が言う様な理性を失う程の効果はまだ現れていない。


今のうちにこの看護師達から抜け出して奴の下に行かなければ。


だがいまだ痛んだ身体に多勢に無勢。

彼女らから逃げ出すのは難しそうだ。


くそ、何か良い手はないのか。


「あ、あんたらあんなゴリ豚に付き合ってこんな事して良いのかよ!これは犯罪だぞ!」

「だから?ご主人様のチンポを頂けるなら何でもするわ」

「粗チン君には分からないんでしょうねぇ、女の本当の幸せが。」


この色ボケ共が!

彼女らの倫理観は完全にゴリ豚のチンコに破壊されてしまった様だ。


…いや、待てよ?


俺はかなり馬鹿馬鹿しい手を思いついた。

正直一か八かだがこの女共の様子を見て成功する可能性があると思った。


「わ、分かった。大人しく脱ぐ。だから少し離してくれ。」

「はぁ…ようやく?こっちはご主人様の命令じゃなきゃあんたなんかとSEXしたくないんだから早くしてよね、どうせ大したもの持ってないのに、勿体つけちゃっ………って………」


俺は彼女らの拘束が弱まるとズボンを脱いで自分の息子を晒した。

薬によって俺のチンコは完全に臨戦態勢となっていた。


さっきまで冷めた顔でこちらを罵倒していた女達はそれを見て一斉に黙った。


俺は押さえつけられた手に最早何の力も掛かっていない事が分かり立ち上がる。


「どうした?急に黙って」

「あ、んた…それ、何?」

「何って、チンコだが?お前らの好きな」


俺は慄く彼女達にドヤ顔で自分の息子を見せつける。

このシチュエーションにオレの息子の硬度が更にプラス3になった。


「そ、そんな!ありえない!だってそれじゃあご、ご主人様のより」

「ご主人様のより…なにかね?」

「すごく…大きいです。」


この女共の価値観は完全に男根至上主義になっていてゴリ豚のチンコを求めて犯罪行為すら厭わなくなっている。

なら更なる上位のチンコによって従わせるまでだ。


オレのチンコはまだ成長期の今ですら、ゴリ豚のチンコを大きさ太さの面で凌駕していた。


「どけっ!看護師共っ!俺は奴と決着を着けにいく!」

「ご、ご主人様の邪魔は、邪魔はぁ…!」


何とか俺のチンコに逆らって対抗しようとする奴もいたが結局は何も出来ないでいた。

ゴリ豚の命令に逆らうイコール奴のチンコ至上主義を否定する事に繋がるからだ。


お父さん、お母さん。

ありがとう。


大きなチンコの子供に産んでくれて

おかげで助かったよ。


俺は今も自宅で幸せそうに寝ているであろう両親に感謝する。


俺はフリーズした女達を置いて病室を出た。



ゴリ豚。


お前はやり残した事があるって言ったな。


俺もあの日やり残した事がある。


俺はあの時お前を殺すつもりだったんだ。


出てきてくれて好都合だ。


俺もやり残したことをやりに行こう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る