第19話

あの日から土日を挟み3日後。

俺は病室で暇を持て余していた。


退院まで2週間弱。

それが医者が俺に伝えた入院期間だ。


あの後の事は昨日見舞いに来てくれた純一達から聞いた。


警察達は俺が気絶した後に店内の人間を片っ端から署に連行し取調を行った。


結果、奴らの凌辱パーティーは白日の下に晒されて関係者は留置所で日々取調を受けている様だ。


そして俺の行い(器物損壊、住居侵入罪)は緊急避難に値するとして無罪放免となった。


それには脱獄犯を無力化して警察に引き渡した事で心象が良かった事も影響しているだろう。


「ほら、先生。リンゴだ。」

「ありがとぉ〜、白峰ちゃん!」


見舞いに来てくれた白峰からりんごを受け取り頬張る。


傷付き、入院する羽目になったが結果的には魅李が寝取られていなかった。

彼女が2ヶ月も原作の寝取られシチュを回避していた事は驚嘆に値する。


おかげで俺は命の危険を感じる事なくベッドの上で今もゆっくり出来ている。


「しかし、あの日にそんな事が起きていたとは。助けは必要ないかと聞いたじゃないか。何で教えてくれなかったんだ。」

「ははは…」


白峰は誰かに聞いたのか俺が怪我した原因である出来事を知っていた。

彼女は俺が助けを求めなかった事に対して不満を持っている様で拗ねたように非難してくる。


俺は苦笑いしか出来ない。


「本当に無事で良かったです…」


白峰と一緒に見舞いに来てくれた黒岩は相変わらず色褪せない関西のイントネーションが入った萌え萌えボイスで心配してくれていた。


「ありがとう。2人とも見舞いに来てくれて。ところで…」


学校が始まり俺が入院したことを知って直ぐに見舞いに来てくれた彼女達にお礼を言った俺は白峰の顔を見て思い出したことを尋ねる。


「白峰ちゃんってさ、毒島って人知ってる?昔馴染みとかでいたりしない?」

「ん?毒島?」


俺の質問にしばらく考え込む白峰。


「知らないな。珍しい名前だが記憶してない。どうかしたのか?」

「あー、そっか。ごめん気にしないで!」


彼女はあっさりと毒島の事を知らないと言った。

俺はそれで奴に対しての溜飲が多少下がった。

奴にとって特別な思い出でも彼女にとっては記憶すらされない出来事だったのだろう。


まあ過去の思い出などそんなものだ。


それは彼女に対しても言えるのだけどな。


純一も彼女との結婚の約束など覚えていまい。


暫く歓談した後彼女達は帰って行った。


「早く元気になってくれ先生!次の授業待っている!」

「ま、また来るね…」

「2人ともありがと〜。またね。」


2人がいなくなった後に俺は暇つぶしに本を読んでいたら今度は璃々が見舞いに来る。


「先輩の璃々が只今参上!先輩のあそこは勃っちまって調子どう、先輩の症状には私の愛情を処方!いぇあ!」


彼女は最初からフルスロットルだった。


あの日から璃々は何だがずっとテンションが高かった。

躁鬱の躁状態かと疑ってしまうがどうやら開き直って明るくなっただけの様だ。

妙に悪ぶって意味深に笑ったり人を小馬鹿にする様な言動が落ち着いている様に見える。


それにより愛陰会からは璃々の調子が悪いと心配のメッセージがドシドシと来ている。


「無視しないで何か言ってくださいよぉ〜、恥ずかしいじゃないですかぁ!」


俺が何の反応も示さないと璃々が泣きついて抱きついてくる。

本当にテンション高いなこいつ。


「悪かった悪かった。また林檎持ってきてくれたんだろ?剥いてくれよ」

「任せてください!私が愛情込めてむきむきしてあげますから、ね♡」


可愛らしくウィンクをした後に璃々が林檎を剥き始める。

先程白峰達にも林檎を三つぐらいもらい食べたがまさか持って帰れとは言えない俺は璃々が剥いた林檎を食べさせてもらう。


「はい、あ〜ん。ゆっくり私の愛情を感じながら食べてくださいね!」

「さんきゅー」


本当に彼女の愛情のおかげかそれとも単に彼女が持ってきた林檎が良いものだったのか、先程の林檎より美味しく感じた。


璃々と愛陰会について話し合う。


奴らは俺に対して騙されて謀反をした事を申し訳なく思い全員でこの病院に押しかけて土下座しに来ようとしたらしいが璃々が止めてくれたらしい。


その時は殺意がMAXになるほどムカついたが奴らは普段から都合よく動いてくれてるんだ。

これくらいは当然許そう。


「今度久々に決起集会でもするか。」

「分かりましたぁ!お店探しときますね!」


その後も色々話ていたが璃々が急に無言になってモジモジしだした。

なんだ?


「せ、先輩。あの…退院したら、良かったらピクニック、しませんか?」

「え、ああ良いぜ。」


何を言うかと思ったらデートのお誘いだった。

今更何を恥ずかしがってるのかと思ったがそういえば璃々と2人で純粋に遊びに行くなど一回もなかったかもしれない。

やはり歪な関係だな。


俺は内心苦笑する。


俺が了承すると璃々が顔を赤くしたまま俺の耳元に顔を寄せて囁いてくる。


「それで…あの、私我慢しますから先輩の体が欲しくなっても我慢しますから。一緒に日陰で食事して散歩したりフリスビーとかで遊んだりしましょ?そして、私を、私の事をもっと知ってもっと好きになってください。私も絶対に先輩の事を知れば知るほど好きになりますから…」

「えっ?」


ほのかな熱を持って俺の耳元に届けられた彼女の言葉にくすぐったくなる。


思わず聞き返す俺に彼女は顔を離すと穏やかに微笑む。


「先輩の言う通りです。私達の関係は不健全でした。分かっていて、でもそれでも良いと思ってました。先輩が私のものになるなら…。でも私、今は本当の意味で先輩に私の事を求めて欲しいって思ってます。先輩と一緒に幸せになりたい。わ、私達の子供が羨ましがる様な恋愛をしたい。だから、私これからはちゃんと我慢します。先輩が私を求めてくれる日まで…」


彼女の語る話に俺は彼女との性による主従関係が終了した事を理解した。


曇りのない顔で満足気に笑う彼女に対し俺は嬉しい気持ち二割、惜しいと思う気持ち3割、あなたとはもうSEXしないからってなんか寝取られみたいなシチュエーションで興奮するなって気持ちで5割だった。


本当に俺はどうしようも無いやつだな。


「だから、覚悟していてくださいね先輩!璃々の事を一生忘れさせてなんかやらないし、私も先輩の事絶対に忘れないですから!」


彼女はそう俺に宣言すると最後の林檎を俺の口に押し付けて病室から出て行った。


俺に依存はまだしているのかも知れないが前向きに俺との関係を進めていこうと思っているのが伝わった。


残念な気持ちと寂しさに蓋をして俺は外の景色を見る。

色々あったが結果オーライだったな。


璃々が出て行って数分しないうちに彼女からメッセージがきた。


【そういえば今度美咲ちゃんに会わせてください。謝りたい事があるんです。】


璃々と美咲に接点などあっただろうか?

俺は疑問に思いつつも了承の返信をする。


「縁助くん、こんにちは。」


そして、今度は魅李が病室に訪れた。


「これ良かったら食べて。」


そう言って彼女はメロンを渡してくる。


「え、悪いなぁ。こんな高いもの。」

「気にしないで…また私迷惑掛けちゃったし…」


また林檎持ってくるという三段オチかと思っていたので予想外だった。

魅李は元気になった璃々とは対照的に落ち込んだ様子だった。


「暗い顔しないでよぉ〜魅李ちゃん。結果的に皆無事だったんだし!」

「縁助くんは全然無事じゃないよ…」


俺からすればあれだけの事が起きたのに誰も寝取られていない。つまり俺が死ぬ事態にならなかったので大変満足行く結果だったのだがそんな事情を知らない彼女は意気消沈をしている。


「心配かけたくなくて黙ってたのに結局また縁助くんに、皆に迷惑かけて…私って本当にダメダメだね…。」

「魅李ちゃん…」


どう考えても彼女は被害者でしかないのだが優しすぎるためか、それとも精神的に落ち込んでおり全てのことを悪い方向に考えているためか彼女は強い自責の念を感じている様だ。


魅李に対して俺は心の中で雑魚モンスターだの全自動寝取られガールなど好き放題言っているが大前提として彼女は一切悪く無い。

彼女はこのいかれた世界の被害者だ。


「私はいつまでも縁助君に助けられてばかりで変われてない…。璃々とは大違い…。」

「えっ?」


魅李がこの前の璃々の様な事を言い出したので思わず聞き返す。


「この前の璃々、凄かったな。縁助君と協力して。すごい息があってたね。」


あの大立ち回りの事を言っているのだろう。

確かに俺と璃々は愛陰会として長い時間を共有し、色々な事をした経験からかコンビネーション技を10数個保有してたりするベストタッグだ。


「璃々、昔はあんなに活発じゃなかったんだよ?…縁助君が変えたのかな?私は璃々に良い影響を与えられなかった。昔も、今も。」


魅李は俯いた自分の手元を眺めていた。


「あの時の2人、すごく良かったよ。2人とも信頼しあってて、対等にお互いを助け合ってて…。守られてばかりの私とは大違い…。」


魅李はそういえば俺と対等な関係になりたいと言っていた。

彼女を色々な事から守ってきたのは俺の命の為だ。

だがそれによって彼女の自尊心は深く傷ついてしまっている。

彼女は他人に守られてそれを良しとする性格ではない。

だが俺はそれを知っていながら自分の命の為と言い訳してみない様にしてきた。

その結果彼女はこうやって落ち込んでしまっている。


「魅李ちゃん、ごめんね。」

「えっ?な、なんで縁助君が謝るの?」

「俺さ、魅李ちゃんが俺にバイトしている事隠してた事を聞いた時凄い落ち込んだんだ。みんな知っているのに何で俺には教えてくれなかったんだろうって」


俺の言葉により暗い顔になる魅李。


「でもよく考えたら当たり前だよね。俺に知られたら止められるって思ったんでしょ?俺が…魅李ちゃんを信用してないって思われたんだ。」

「いや、その………うん。」

「ごめん!」


俺は頭を下げる。


「そんなつもりはなかったけど、俺は魅李ちゃんの事を守る対象としてか見てなかったかも知れない。魅李ちゃんからしたら不快だよね。守られるほど君は弱くないのに」

「あ、頭を下げないで!…私が弱いのが悪いんだから…」

「魅李ちゃんは弱くなんかなかったよ。だからごめん。俺、魅李ちゃんの事ちゃんと見れてなかった。」


俺の言葉がそこまで響いてなさそうな表情をしている魅李。

おそらく俺の言葉がただの慰めだと思っているのだろう。

だが、実際俺は魅李の事を見直していた。

そして俺が彼女を下に見ていた事を反省した。


「俺さ、魅李ちゃんがあそこでバイトしているって聞いた時にすでに取り返しのつかない事態になってると思ってたんだ。あそこの悪い噂を知ってたからさ。」


だから一部本当の事を言って俺の本心を伝えることにした。


「でも魅李ちゃんは2ヶ月もあんな環境でちゃんと自分を守っていた。それは俺の予想外だったんだ。」

「それは、私がちょっと変な勘違いをしていたのが上手くいっただけで…」


店の人間からしたらちょっとではないと思うがな


「いや、それでも魅李ちゃんは俺が諦める様な環境で自分を守り切ったんだ。魅李ちゃんは俺が思ってるより全然強かったんだ。だから…」


魅李の目を見つめる。

大きくてくりくりとした可愛らしい目だ。


「俺も魅李ちゃんの事、これからは偏見とか昔の事を通してじゃなくて今の魅李ちゃんをちゃんと見るよ。今までごめんね。」


寝取られゲームのヒロインとしてひたすらに庇護対象として彼女を一方的に俺は守ってきた。

彼女が俺のためにしようとした事を余計な事と思ったり彼女の成長する機会を奪ってしまった。


それは俺の大きな罪だ。


きっとこれからも彼女を放っておくことは出来ない。


だけど俺は彼女を本当に真の意味で現実世界の友人として、親友として見るべきだ。


彼女は俺の奴隷じゃないのだから。


彼女の俺に対する想いを利用して行動を制限するべきではない。


彼女は変わった。

なら俺も変わるべきだ。


「縁助君が謝る事なんて、一つもないよ。けど…」


彼女は俺の言葉を聞いて下を向いてぽつぽつと話し始める。

そして言葉を区切って顔を上げた。


そうして見えた彼女の少し赤くなった目には曇り一つなかった


「ありがとう…、私縁助君のその言葉があればもっと頑張れるよ。」


気持ちのいい返事に俺も顔を綻ばせる。


「ま、もっと自信持ってって事!魅李ちゃんにはそんな最終兵器が二つもついているんだからさ!」


俺は良い雰囲気を台無しにする様な事言うと魅李は苦笑いをした。


「えっ、ええ?」


俺が女王様のムチを待ち構えている豚野郎の様な顔で彼女を煽ると困惑を消して少し頷く。


「もう!殴るよ!………で良いのかな?」


そう言って照れ笑いをした。

俺はそれに満足気に笑う。


この世界はゲームとは違う。

俺がもう少しちゃんとそう思えていたら今回の件もここまで大事にならなかったかも知れない。


俺も魅李もお互いに対する感情等に折り合いをつけるのは難しいだろう。

だがゲームみたいに数時間で全てが終わるわけじゃない。

この先の長い人生の中でお互いの良い着地点というのが見えてくるだろう。

それまでお互いを尊重すれば良いだけの話だ。


「じゃあね、縁助君。」


メロンを一緒に食べながら会話をした後、彼女は帰って行った。


悪いな魅李。

これからは組織的なストーカー行為は自重するよ。

最早俺の指示とは関係ないところで彼女に対する付き纏いが発生している事も大変申し訳ない。


「おーい、元気かぁ?」


そして本日最後に病院の受付時間ギリギリに来たのは我が友、純一君だった。

俺はため息を一つ吐く。


「見舞いの品もなしか!気が利かんなお前は!菓子折りの一つでも持ってこんかい!」

「無茶苦茶だなお前…、ほらよ。」


文句を言う俺に純一は紙切れを一つ渡してくる。

ん?なんだこれ。


「何だこれ、停学通知って書いてあるんだが?」

「そりゃ停学通知だからな」

「誰の?」

「縁助の。」

「…なんで!?」


身に覚えは死ぬほどあるが俺は納得ができなかった。


「お前この前、腹増のチャリパクって燃やして、しかもあいつぶん殴っただろ?」

「だから何だ!」

「だから…停学。」

「それだけで!?」

「それだけって…結構な大事だと思うんだけど…」


純一の話ではこれでも事情を鑑みて温情を掛けられているらしい。

何故俺が2週間も停学にならなければいけないのだ!

俺は薬蔵に対する復讐計画を高速で立て始める。


「まあ、入院期間も2週間くらいなんだろ?丁度いいじゃん。先生の話だと入院期間も停学期間に含んでくれるらしいしさ。」

「納得行かん!あの豚の首を獲ってこい!」

「どこの武将だよ…」


俺の猛りに苦笑いで対応する純一。


ひとしきり馬鹿騒ぎした後に純一が話を切り出してくる。


「お前って定期的にボロボロになるよなー」

「他人事みたいに言いやがって!お前のせいだ!お前はさっさと魅李ちゃんと付き合え!」

「何の関係があるんだよ!…あー、それとさ縁助。」


純一は気まずそうに俺の顔を伺ってくる。

なんだ?


「俺、これからはお前の手を借りない様にするわ。」

「はあ?」


急に頓珍漢な事を言いだす純一。


「色々考えたんだけど、俺お前に甘え過ぎだわ。自分の惚れてる女が惚れてる男に恋愛の手助けしてもらうって…ダサすぎだろ。」


今頃気づいたのかこいつは。


「お前も魅李の事嫌いじゃないんだろ?やっぱりさ、幼馴染同士変に1人に隠し事してやってくなんて俺には無理だわ。だからさ、何がどうなっても恨みっこなし!それぞれがそれぞれに頑張る!…そっちの方が健全だし俺もやりやすい。」


純一は白い歯を剥き出しにして笑う。


「最近色んなやつと絡む様になってやっぱ俺らの関係って貴重で大切だって再認識したよ。俺はこの関係を大事にする為にそうしたい。」

「純一…」


純一も純一で思う事があったのか奴にとっては一大決心なのだろう、そんな事を言ってくる。


そうか、純一もか。

なるほど。


「てめぇ、この前少し活躍したからって調子乗ってるじゃねぇぞ!それはちゃんと出来る奴が言う事だろうが!」

「え、ええー!?」


奴の覚悟の言葉を一周すると純一は驚愕の声を上げる。


「何驚いてんだ、俺がうん!そうしようと言うとでも思ったか?」

「いや、何か今日は縁助にこれからの事について前向きなアドバイスが貰えるような感じが何故かしたんだけど…」

「それはちゃんと頑張ってる奴専用のサービスだ。お前はまだその基準に達していない。」

「え、ええー?………ていうかお前の許可なんいらないっつーの!とにかく俺はそう決めたからな。」

「いや、ダメだ!お前は俺の操り人形となるのだ!」

「ふざけんな!」



病院の職員に怒られる程騒いだ後、純一は覚えてろよという捨て台詞を残して去って行った。


ふぃー、今日は一日中寝たきりだったのに何だか疲れた。

俺はベッドに寝転んで目を閉じる。

今日はこのまま寝てしまおうか。


「猿渡さん、面会の方です。」

「んん?何ですか?」


うとうとしていると急に看護師から声をかけられる。


面会?こんな夜中に?

病院の受付時間はとっくに終わったはずだ。


「ふあ〜、えーっとどなたですか?こんな時間に」


両親か?

美咲は今日は来ないって言ってたし…


俺はしょぼしょぼとした目で病室の入り口を見る。


そこには可愛らしいナース服を来た女性とその肩を抱く大男がいた。

様子がおかしい。


「なん、だ?誰だお前…?」


俺はその大男に尋ねたが代わりに隣のナースが答える。


「面会に来られたのは鬼頭様…いえ私のご主人様です♡」

「よぉ、久しぶりだな猿渡ぃ〜」

「お、前は、ゴリ豚?」


俺がいつか棒を折ってやった男がそこにはいた。


「てめぇの全てをぐちゃぐちゃにしに地獄から戻ってきたぜ」


排除したはずの間男が俺を尋ねてきたと言う事実に思考がフリーズする。


まだあの日から続く間男ボスラッシュは終わっていなかった。

こいつこそが最後のボス。ラスボス。


本編前に女を唯一寝とったという設定があるクソ男中のクソ男。

このリアル世界では魅李の自尊心を傷付け彼女の誇りを汚し、純一と魅李、彼らの関係に大きな影を落とした男。

俺の大切な後輩に決して消えない傷を残した俺の仇敵。


ゴリ豚。


あの日の悪夢が形を持ってまた俺の前に現れた。

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