第4話 戦う美少女は…… その5
まずは大きな盾を構えたビヒーダが前に出た。
「……………………」
無言だがその背中は見ていて頼りになりそうだ。肩甲骨の間の谷間が色っぽい。
————見てたら背中をツーーとなぞりたくなってきた。
やっちゃダメ?ダメですか、残念。
ビヒーダは鉄板を張った盾の表面を拳で叩いて音を出し、敵の注意を引き付ける。
蜂はそんなビヒーダの上を飛び越そうとするが。
「【ウインドカッター】」
クーリエの放った魔法が直撃した。
ダメージエフィクトが散るが蜂をしとめることはできなかった。
それでも進路を遮ることは出来て蜂は上に上がろうとはしなくなった。
高く飛ばないのなら戦士職の2人も出番がある。
A君とツンデレさんは左右から回り込んで挟み撃ちする。
ショートソードで切り付けられた蜂はよろめいているが健在だ。蜂の羽が緑色の光を帯びるとさっきクーリエが放ったのと同じ魔法が放たれた。
風の刃はA君に向かうが。
「……………………」
間に入ったビヒーダに防がれた。
そして背後からツンデレさんが斬りつけて蜂の注意が変わる。そこをクーリエが魔法を放つ。
1撃の重さは低い様だが、被弾せずに危なげなく囲んでいる。
駆け出しに毛が生えた程度と言っていたがそこそこやれているようだ。
そんな事を戦闘を見ながら思っている。
ん?俺?俺は何やってんのかって。
もちろん観察だ。よく見てチャンスを探る。
俺の攻撃力は大したことないだろうし、やっつけのメンバーが出張っても連携は上手くいかないのがお約束だ。
ゆえに観察に徹する。
パーティーに入っていたら経験値が入るって仕様ならパワーレベリングするのもありだが、それは面白くない。
だから俺は観察して――――弱った所を襲う。つまり美味しいところ取りだ。
ふっ――――これも作戦。世の中賢いやつが勝つのだ。
卑怯だって言うかい?いいや、だが底は見えた。
はい、俺は底の浅い人間です。懐が深い主人公?そんなのはフィクションだ。そんな奴いるか!はい、だから俺はモテないんですね!
おっと、そんなことより蜂が弱って来たぞ。そろそろ俺の出番かな。
皆さん真打の登場です。俺の活躍を刮目して見よ。
ところで皆俺が何処にいるか気にならない?
気になるよねぇ。うんうん、仕方ないから教えてあげよう。
俺がいるのは木の上だ。
戦闘が始まると同時に木に登って頭上で待機してたのだ。ここからならば戦闘が良く見えるし、素早く戦闘に介入できる。加えて落下の勢いを使えば攻撃力を上乗せできるという寸法だ。
俺ってば頭いい。
こういうところがゲームというより現実よりだというところだ。そうこれは現実だ。
「……………………」
現実問題として5mほどの高さから飛び降りてタダで済むと思うかい?
俺は思わないね。
そして俺はそんくらいの高さに居るわけだけど…………さぁどうする。どうする、アイフル~~~~。
とりあえずこの戦いは回避して次は普通に戦おう。
そうと決まれば早くこんなところから降りよう。
「——————ぅわ!」
回れ右しようとしたら、木の幹に蛇が居た。白い蛇は俺の目の前にぶら下がっていて、2股に分かれた舌で俺の顔を舐めてきた。
別に大きくはなかったんだけど、いやこれは本当、嘘じゃないって。嘘じゃないけど、突然だったからびっくりした。びっくりドンキーはサルだけに木から落ちましたとさ。
この場合、サルは俺ね。
つまり俺は木から落ちましたとさ。
めでたしめでたし。
何がめでたいって、そりゃもちろん最初の予定通り木から飛び降りられたところさ。
ただし、問題点は何も解決していないモノとする。
その結果は?DEAD ENDデス。
俺の戦いはこれからだ。作者の次回作にご期待ください。
「————じゃねぇよ!」
よし、死んでいない。生きている。やった~~~~~~。
って素直に喜べない。
理由は俺のお尻の下。まぁるくて可愛いお尻の下。男の多くが敷かれたいと思う美少女のお尻の下。
そこに大きな蟲、蜂がうごめいています。
4人に攻撃され弱っているにもかかわらず、頭上から落ちてきた俺に下敷きにされながらもまだ息がありやがる。
よく訓練された男なら昇天してるはずなのにこいつはしぶとく生きてやがります。
ブブブッ、と羽を動かそうとするんだけどアソコに当たっているから痛みより気持ちよさが―――――って、エロ本の処女ビッチみたいなこと言いてられるか!
俺は必死になって股下の蜂に手にしたナイフを振り下ろす。
イトウ君に包丁を振り下ろすセカイちゃんの様に何度も何度も。
おかげで無事に蜂にトドメをさせた。
ケッカオーライ、とか言ってられない。
後になってからお尻が痛くなってきた。
ダイジョウブ?お尻割れてない?
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