Day28 方眼

 久しぶりにDIYで拾い猫アンバー用にキャットタワーを作ろうと思い、学生時代に使っていた方眼ノートを開く。懐かしい記憶がノートを捲る度に蘇ってくる。

「あーこれ、授業の課題で通信プロトコルを書けって内容だったっけ。頭使いすぎて知恵熱で倒れてすごく心配されたなー」

 そんな独り言を呟いていると、ジェフがノートを覗き込んできた。

「見る? 私の拙い知恵の残骸」

「人間の知恵はアンドロイドには必要不可欠だ。些細な知恵でも残さず糧になる」

「嬉しいこと言ってくれるじゃない」

 ノートを差し出すと、ジェフは画像処理と高速読込機能を組み合わせて情報を素早く領域メモリに書き込んでいく。

「これだけの知識があれば、私ではない、アンドロイドを生産できるはずだが?」

「私はジェフがいいの。それに知識があればアンドロイドとの交流に役立つのよ。私利私欲のためには使わないわ」

「そうか。ところで、このノートは何に使うものだったのだ?」

「アンバーの居場所よ。ずっと床で生活させるのも、猫っていう生き物には悪いから、設計して、材料揃えて、キャットタワーを作ろうとしていたの」

「なら手伝おう」

「ありがとう」

 こうしてジェフやアンバーのために行動を起こしていると、私だけの家族構成が形成されているみたいで、嬉しくてつい口角が緩んでしまう。ジェフにバレていないだろうか。恥ずかしくて、まだ言えないでいる。

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