Day13 流しそうめん

 いつも買い物に行くショッピングモールで、今日は騒がしいほど子供たちが多く集まっている。外に繋がる広場では何やら催し物をやっているらしい。物珍しさに惹かれて近くのドアから外に出ると、東の島国では有名な大道芸と呼ばれるものを披露していた。派手な格好で一人サーカスを演じてみせる滑稽さには拍手を送りたくなるほど。

「さーて皆さん、今日のメインコーナーは『流しそうめん』だよー! 僕の国では夏になると竹を半分に割って道を作り、そこに水を流してそうめんという細くてつるつるの麺を流すんだよー!」

 私は聞き馴染みの無い単語をジェフに聞く。

「流しそうめん?」

「アーカイブによれば、東の島国では竹を川に見立てて小麦粉を原料にした麺を流す文化があるらしい。なんでも見た目から涼しさを得るためだとか」

「へえ。変わった文化ね」

 大道芸の人がいろいろな道具を取り出すと、五分もすればあっという間に組み上がる。子供たちがはしゃいでいる後ろで私もそれを食べてみたいと思うものの、大人気ない行動を取りたくないという葛藤がくすぶっている。

「食べたいのか?」

「結構です。買い物に済ませて帰るわよ。アンバーも待ってる」

「いつかやりたいものだな」

「どうやって材料集めるのよ」

 物珍しさにはアンドロイドも興味を惹くのだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る