Day22 賑わい

 気温上昇や日の長さが本格的な夏に近付く。そして私の楽しみも近付く。インターネットで野外フェスの開催情報を検索し、壁掛けのコルクボードに日程とお目当ての出演者を記録した紙を画鋲で留める。

「野外フェスか」

 アンドロイドは便利だ。常にネットワークに接続しているので、インターネットなんてものを使わずに情報を得られる。

「そうよ。外で酒飲みながら大音量の音楽に身を任せて、日頃の鬱憤を晴らすのよ」

「大音量の音楽か。あなたはどういう音楽が好みなんだ?」

「そうね……やっぱりロックバンドかしら。バンドはリズムが分かりやすいし、コールアンドレスポンスもあるから楽しいわ。今度広場であるみたいだから、ジェフも一緒に行かない?」

「ああ。楽しみだ」


 夜の広場は音楽フェスを楽しもうとしている人で賑わっている。出店もそれなりにバリエーションがあって何を頼もうか悩んでしまう。でもビールだけは外せない。始まる前にまずは一杯頂く。

「くー! 仕事を忘れて音楽に浸りながら飲むビールは格別だわ!」

「人格が変わってないか?」

「エンジンかけてる最中なの」

 正直、今はジェフの面倒も忘れて音楽に浸りたい気分。もう何杯か飲んだところでフェスのオープニングが始まった。それからはアルコールの酔いと場酔いが合わさって良い気分になり、ジェフを忘れて音楽で賑わう人たちと一緒になって眠らない夜を楽しんだ。

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