Day23 静かな毒
「アンドロイド、反対!」
「アンドロイドは職業泥棒!」
「アンドロイドを撤廃しろ!」
昼下がりの閑古な住宅街でも騒がしい時間が不定期に訪れる。反アンドロイド住民のデモ連中は、アンドロイドによって不幸を強いられた腹いせのように、この社会からアンドロイドを排除しようとする。私は幸いにもアンドロイドを活かす側の職に就いているので、彼らがどうしてそのような意見を持つのかが理解できない。
「まったく。こんなところから行進するんじゃなくて、会社に直接乗り込めばいいものを……」
「いや、まだ良心があるからデモ行進だけで済ませているのだろう」
「それは皮肉?」
「率直な感想だ」
「ジェフはあんなこと言われ続けて、何とも思わないの?」
率直な疑問をジェフの問う。人間はネガティブな言葉にはとても敏感で、時に異常な行動を起こす。それはアンドロイドにも適応されているのだろうか。
「アンドロイドに感情という機能は備わっていない。本来は人間の生活を健康に保全するために存在する。だがネガティブな言動を吐き続けられると、アンドロイドが人間に対し暴力を働くという報告が数例ある。故にアンドロイドも異常な行動を引き起こす可能性は十分にある」
「アンドロイドも少なからずはダメージを負っているのね」
「ああ。だが私自身はどう言われようが構わないが、あなたが傷付いていることが耐えられない」
「あら、惚れるようなこと言ってくれるじゃないの。どこで覚えたのそんなこと」
茶化すように言ったが、ジェフは本気でそう思っているらしく、どう返答しようか悩ませてしまった。
感情という毒は時にアンドロイドをも侵すことを、初めて知った。
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