Day24 ビニールプール

 子供たちが夏休みに入る時期になると、庭にビニールプールを広げて遊ぶ光景がよく見られる。私も子供の頃はビニールプールで遊んだことを覚えている。なんと言っても父がバスルームの窓からビニールプールにいる私に目がけてシャワーを出してきたときは、よく母に怒られていた。水道代の無駄遣いだって。歳を重ねるに連れて親から離れたい気持ちが増し、反抗する時期が長かったように思えたが、今は亡き両親を思うと、ビニールプールは一番楽しかった思い出だ。

「どうした? 子供たちが気になるのか?」

 買い物帰りにたまたま通り掛かった、ビニールプールで遊ぶ家族を反対側の道路から見ていると、ジェフが不思議そうに言ってきた。

「なんでもない。ちょっと思い出に浸ってただけよ」

「珍しいな。あなたが思い出に耽るのは」

「あら。私だって思い出の一つや二つは語れるわ。帰ったら教えてあげる」

「そうか。これで一つあなたのことを深く知れる」

 その夜はジンジャーエールで割ったハイボールとアンドロイド補給剤で乾杯し、私の楽しかった子供時代を語った。

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