Day25 報酬
今日は待ちに待った給料日でもあり、年に一回しかない業績報酬の振込み日でもある。私の業績だと、例年では月給の三倍は受け取っているが、今年はやれプロジェクトリーダーだの、やれ企画推進だので、それなりに活躍する機会はあった。一応、担当営業に自己評価シートと面談を通して、自分自身の評価を伝えてはいるが、それが他人の目にはどのように映っているかは分からない。
「そんなに画面を睨んで、何か待っているのか?」
「いいえ。この額面が果たして私の結果なのか、疑っているところよ」
インターネットから見れる銀行通帳には、例年の業績報酬よりプラス一ヶ月分多く振り込まれていた。その額面を見たジェフは私とは違い、大層嬉しそうに私を激励する。
「企業に利益をもたらし努力が認められている、ということだ。素直に喜んでいいのではないか?」
「今まで三ヶ月分の報酬だったから、一ヶ月分の上乗せの理由が見当付かないのよ」
「フィードバックはないのか?」
「基本はね。でも自分から聞きに行けば聞けるかもね」
「そうか。聞けるといいな」
次の日、リモート勤務なので空いている時間にチャットを入れる。
<お疲れ様です。一つお伺いしたいことがあるのですが、評価について人事部は何か言及されていましたでしょうか? 次回の自己評価の参考までに教えてくださいますと幸いです。よろしくお願いいたします。>
在り来たりで入社三年目がやるような行動に我ながら幼稚だと思った。けど気になるのもまた事実。返信は思ったより早く届いた。
<お疲れ様です。人事部長は絶賛していましたよ。提携先も徐々に増えているので、これからも頑張ってください、とのことです。アンドロイドを良く思わない人は大勢いますが、あなたのようにアンドロイドを親身に思って業務にあたってくれていることにとても感謝しているようでした。これからも頑張ってください。私も力になります。>
営業スマイルさながらの返信文。やりがい、とまでは言わないけど、こうして誰かの役に立っているのなら本望だ。
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