Day19 爆発
今晩は映画を見たい気分なので、仕事をさっさと終わらせてプライベートモードに切り替える。ついでに縦長のグラスいっぱいに氷を詰め、スコッチをジンジャーエールで割って、嗜みながらフライパンでポップコーンを作る。キッチンに立つのは何となく久しぶりな気がする。ジェフが毎日、私の食事を作ってくれるのでここに立つのは滅多にない。そんな私を珍しく思ったのか、ジェフはフライパンを覗き込んで様子を窺う。
「何をしている?」
「酒のつまみを作ってるの。ポップコーン。映画でも見ようかと思って」
「言ってくれれば私が作るのに」
「今日は作りたい気分なの。――そうだ、ジェフはポップコーンが弾ける瞬間って見たことある?」
「いや」
「じゃあガラス蓋から見てるといいわ。ちょっとびっくりするけど、楽しいから」
私はジェフにも見えるように場所を少し空ける。フライパンを水平に回しながら、全体に熱が行き渡るようにトウモロコシの実を転がす。やがて一つが大きな音を立ててポンッと爆裂すると、ジェフの肩も一緒に飛び上がる。
「ふふ。びっくりしたでしょ?」
「あ、ああ……」
ジェフはたまに子供っぽいところがある。知らないことを間近にする時が一番可愛い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます