Day19 爆発

 今晩は映画を見たい気分なので、仕事をさっさと終わらせてプライベートモードに切り替える。ついでに縦長のグラスいっぱいに氷を詰め、スコッチをジンジャーエールで割って、嗜みながらフライパンでポップコーンを作る。キッチンに立つのは何となく久しぶりな気がする。ジェフが毎日、私の食事を作ってくれるのでここに立つのは滅多にない。そんな私を珍しく思ったのか、ジェフはフライパンを覗き込んで様子を窺う。

「何をしている?」

「酒のつまみを作ってるの。ポップコーン。映画でも見ようかと思って」

「言ってくれれば私が作るのに」

「今日は作りたい気分なの。――そうだ、ジェフはポップコーンが弾ける瞬間って見たことある?」

「いや」

「じゃあガラス蓋から見てるといいわ。ちょっとびっくりするけど、楽しいから」

 私はジェフにも見えるように場所を少し空ける。フライパンを水平に回しながら、全体に熱が行き渡るようにトウモロコシの実を転がす。やがて一つが大きな音を立ててポンッと爆裂すると、ジェフの肩も一緒に飛び上がる。

「ふふ。びっくりしたでしょ?」

「あ、ああ……」

 ジェフはたまに子供っぽいところがある。知らないことを間近にする時が一番可愛い。

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