Day05 蛍
夕暮れの庭にチラチラと黄色く光る何かが飛んでいる。昔はよく両親と見ていたそれは何だったか忘れてしまった。
「ジェフ、あれは何?」
「ファイヤーフライ。この時期にはよく見られる普通の虫だ」
そうだ、ファイヤーフライ。こうしてゆっくりとくつろぎながら見物するのは何年ぶり、いや、それ以上だろうか。
「もう随分昔だけど、両親とこうして窓から足を放り出して眺めてたわ」
「とても幻想的だ」
「あら、ジェフがそういう感想を言うの珍しい」
「夜の暗がりの中、点滅させながら飛ぶ光景は滅多に見られない。私たちは運が良い」
「そうね」
思考しない生き物は気楽だがつまらない。しかし平々凡々な日常に華を添えるファイヤーフライは、人やアンドロイドに癒やしを与えていることにも気付かずに今を飛び回る。
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