第20話
「申し訳ございませんご主人様」
「まぁ、このぐらいは気にしなくても大丈夫だよ」
ゴブリン程度、歩いてれば直ぐに遭遇できるだろうし。
カレアを発情した目で見たゴブリンたちのバラバラになった残骸を眺めながらそう返事をする。
いや〜闘気使いって凄いね。マジでゴブリンが細切れだからな。
残念な事にこのゴブリンたちの体内に魔石は生成されて無かったようだな。
ゴブリンの体内に魔石が生成される確率は数百匹に1匹ぐらいの確率だから、なくて当然では有るけど。
ゴブリンって魔石以外に活用出来るもの取れないし、その魔石を持っている確率は低い。
そのクセ数は多いし女性を攫う。まじで害悪でしかない。
この世界にレベルの概念は存在しないから初心者の経験値集めに最適なんて感じでもないし。
五匹ぐらいなら放置したままでも肉食の魔物が綺麗に食べてくれるので後処理はせずに先に進む。
「それじゃ気を取り直して、クリス、ゴブリンに向かって魔法を使って」
ゴブリンの惨殺現場から歩いて数分、またゴブリンと遭遇したので今度こそクリスに戦って貰う。
数は、さっきと同じ5匹だったけど。
既に俺が〈影の茨〉で4匹締め上げて倒して数を減らして有るので、クリスとゴブリンの1VS1だ。
「分かった〈パラライズランス〉」
クリスは、ゴブリンがいることをカレアが察知したタイミングで事前に魔法陣を作成して発動を待機させていた魔法をゴブリンに向けて発動させる。
クリスは魔力操作の腕がまだまだだから、単純な〈パラライズランス〉の魔法陣でも完成させるのに一分近く時間がかかる。
まぁ、このまま魔力操作の腕を上げて〈パラライズランス〉の魔法陣ぐらいなら一瞬で作れるようになってもらわないとな。
〈パラライズランス〉は名前の通り刺さった相手を麻痺させる槍を飛ばす魔法だ。
闇だけじゃランス系の魔法を作る事は出来なかったけど。闇と麻痺を混ぜる事で闇属性のランス魔法を作ることができたんだよね。
他の属性のランス系の魔法に比べて威力は低いけどその代わり麻痺効果がついているって感じの魔法だ。
威力は低いと言ってもゴブリンぐらいだったら当たれば一発で倒せる。
クリスが放った〈パラライズランス〉が当たったゴブリンは胴体に穴を開けて地面に倒れる。
「後は〈パラライズランス〉を短時間で発動できるようになれば。複数のゴブリンと戦えるようになるな」
今は一回発動するのに一分ぐらいかかっちゃうからな。魔法だけで戦うなら、攻撃魔法を数秒で発動できるようにならないと。
クリスの場合黒狼族だから生まれ持った身体能力を活かせば、魔法使わなくてもゴブリン程度なら倒せるけどね。
それじゃ魔法の練習にならないから禁止しているけど。
「師匠。もっと威力の低くて、魔法陣が単純な攻撃魔法作ってくれよ」
「何を言ってんだ。オリジナルの魔法ひとつ作るだけでもとてつもなく大変なものなんだぞ!と言いたいところだけど……確かにゴブリンレベルの敵に使うには威力が高いよな。麻痺効果の意味が無いし」
ランス系より威力が低いとなるとアロー系の魔法か……
と言ってもそれじゃ単純すぎてつまんないよな〜
全く新しい魔法を考えるか。
何となく構想は有るからそこまで時間かからないだろうし。
「ってことで、考えては見るけど。あんまり期待するなよ?後〈パラライズランス〉だってかなり単純な魔法陣だからな?この程度の魔法陣一瞬で作れるようにならないと〈影収納〉を使うなんて夢のまた夢だぞ?」
クリスが魔法を一生懸命勉強して練習している理由の一つとして〈影収納〉が使えるようになりたいというものがある。
便利な魔法だけど。その分魔法陣は複雑で〈パラライズランス〉の魔法陣に手こずっているようではいつまでたっても使えるようにならない。
「グッ」
まぁ、〈影収納〉が使えるようになるレベルまで魔力操作の腕をあげるとなるとかなり時間がかかると思うけど、クリスなら頑張るだろう。
クリスに魔法の練習をさせながら村を作るのに良さそうな場所を探しているけど、特に良さそうな場所を見つける事は出来なかった。
そこそこ時間も経ったので疾風迅雷の皆さんと野営をしている場所まで引き返す。
なんだかんだ言って今野営している場所が一番いい気がする。
木が結構な密度で生えているから軽く野営するぐらいなら問題ないけど。村を作るとなるとかなりの木を切り倒さないといけないので、結構大変そうだけど。
未開拓領域に生えている木を含め植物は光合成だけじゃなくて大気中の魔力を吸収して育つので、地球や未開拓領域外で育つ木に比べて成長が早くて太い木が多いから尚更大変そう。
でも、飲み水として使える川が近くに流れているし。木を切るのが大変そうっていうのを除けばいい場所だと思うだけど……
いや、〈影の茨〉で木を地面から引っこ抜くかへし折るかして〈影収納〉に仕舞えば案外楽に木を除去出来るんじゃないか?
土ごと収納しちゃえば〈影収納〉のみでもいけるかも?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます