第6話
「やぁ、初めまして。私の名前はエラルド・ランケア。新しい魔法を使う君と直接話して見たくてね」
顔を見た事は無かったけど。王族の名前ぐらいは知っている。
スレイさんが帰ってきたのかと思ったのにこの国の第1王子が来るとか想定外ってレベルじゃねぇぞ…
「そうでしたか。エラルド殿下にそこまで評価して頂き光栄です」
何のために王族がわざわざ俺のところに?
やっぱり魔法陣を教えろって言いに来たとか?
と言っても不人気属性の闇属性の魔法だからな。
闇属性の魔法を使うぐらいだったら闘気使いになった方が良いと言われるレベルの不人気具合だ。
いくら俺が作った闇魔法の魔法陣を知ったところで、それを行かせるのか?って話だよな。
闇属性の適性を持っている人って意外と少ないし。
一応、闇と光は希少属性だからな。
「あぁ、先に言っておくけど。君が作った魔法陣を教えろと言うつもりは一切ないよ。私も魔法使いだ。新しい魔法を作り出す事がどれだけ大変な事か理解しているつもりだ。それをよこせなんて言うことは出来ない。純粋に魔法について話し合いたかったんだ。魔法使いとしてね」
なるほど。完全に信用する訳じゃ無いけど。
本当に魔法が好きなんだなって感じがする。
「私なんかで良ければ。是非」
ーーー
「全く新しい魔法文字か。王城に勤めている魔法使いたちが必死に研究しているけど。ここ50年成果は出ていない筈だ……」
「運が良かったと言うのも有りますけどね」
地球で生きていた前世の知識があって、しかもルーン文字について学んでいたと言う物凄い幸運のおかげだからな。
「運も必要か…確かにそうかもな。そう言えばシャン。君は火、闇、光属性にも上位属性が存在すると思うかい?」
上位属性か。上位属性とは水だったら氷
風だったら雷、土だったら金属と言った感じに強力な属性の魔法を使うことが出来る。
火、闇、光属性に関しては上位属性が判明していない。
判明していないんじゃなくて存在しないんじゃないか?と言う人もいるな。
「そう……ですね。存在するとは思います。そこでエラルド殿下にお手伝い頂きたい事が有るんです。エラルド殿下は火属性の適性をお持ちですよね?」
「確かに私の適性は火だけど」
「でしたら。暇つぶしで作った溶岩で作られた槍を飛ばす魔法を作ったんですけど。俺には火の適正が無いので。本当に使えるか確かめる事が出来なかったんです」
最初の頃にこれを餌に味方を増やせないかな?と思って作ったけど。
フィレーム家には使用人含め信用出来そうな人がいなかったので使う事無無かったんだよな。
ランス系の魔法陣は誰でも知っているし。
何属性のランス系なのか決定させる魔法文字のところをルーン文字で溶岩って書き換えただけなので、そこまで時間かからなかったし。
魔法陣全体のバランス調整とか必要だとは思うけど。ランス系の魔法陣の傾向から発動するとは思う。
改良はエラルド殿下にしてもらうって事で。
その方がエラルド殿下の功績になるし。
エラルド殿下からしても悪い話じゃないだろう。
まぁ、話をした感じ。エラルド殿下は魔法大好き見たいだから最低限使用ができる魔法陣で自分で改良する必要が有る方が喜びそう。
「上位属性の魔法陣の研究を一緒に出来たらと話を振るつもりだったけど。既にプロトタイプが完成してるとは!!」
なんと言うか前世の知識をフル活用しているだけなので、凄く申し訳ない気持ちになってくるな。
「まぁ、作っただけで実験を一度も出来てないんで。使う時は注意をして下さい」
基本は発動しないだけ何だけど。稀に想定外の効果を発動させたり、爆発したりする事がある。
まぁ、そう言う時は魔法陣を作っている途中で様子が可笑しいと気づけるし実際に新し魔法陣を試して爆発事故を起こすって事は稀…のはずだ。
書くものを用意してもらって溶岩の槍を飛ばす〈マグマランス〉の魔法陣を書き渡す。
この国で暮らすなら王族と仲良くしといて損は無いだろう。
その分頼られた時に断れないとかデメリットもゼロでは無い。
現在、後継者争い中のはずだし。色々頼まれる事が多くなるかも?
でも、手伝ばその分正式に後継者になった時に色々優遇してくれる可能性だってある訳だし。
完全にデメリットとも言えないか。
メリットになるかデメリットになるかは王族次第だろう。
その点エラルド殿下は良さそうだけど。
王族だし腹芸は得意だろうからな。
「もうこんな時間か。そろそろ戻らないと怒られてしまうから。今日はこれぐらいで失礼するよ。また今度、魔法について意見交換をさせて欲しい」
「機会が有れば是非お話させて下さい」
懐中時計で時間を確認したエラルド殿下はもう時間だとまた今度と言って部屋から出て行った。
エラルド殿下なら〈マグマランス〉を上手く活用してくれるだろう。
フィレーム家は火属性のオリジナル魔法を秘匿して魔法使いとして力を持つ貴族家だ。
そんな中。新しい火属性魔法が現れたとなると心中穏やかでは無いだろう。
俺が秘匿魔法を勝手に持ち出したとか騒ぎ出すかも知れないけど。
なら〈マグマランス〉の魔法陣を書いて見せろって言うだけで、黙らせる事が出来る。
あいつらは俺が作った魔法陣を知らないから
〈マグマランス〉の魔法陣を書くことなんか出来ないからな。
魔法陣を秘匿する魔法文字を作り出した神様に本当感謝だな。
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