第5話

「まぁ、今は相方の魔法使いの魔力切れを考えなくていい事を喜びましょう。さぁ、ついて来てください」


魔力を回復させる魔法が存在するだなんて気にならない訳が無い。闘気使いの闘気だって魔力を変換したエネルギーだし。


だけど。詳しい話は一旦保留にして敵工作員の拠点殲滅優先みたいだ。


まぁ、聞かれたところで教えないけど。

と言っても権力にものをいわせて強制された場合は魔法陣を提出せざるを得ないだろう。


その時は……まだ未完成で1度発動させちゃうと一切制御出来ないヤバい魔法発動してこの国からトンズラさせてもらうか。


と言っても俺より強い人は5万といるだろうしそんな事したところで、俺が無駄死にするだけか……


現状権力に逆らえる力は俺にない。


最終的にはのんびり魔法の作成をしながらファンタジーな世界を楽しみたいんだけど……


その為には他人に邪魔をされない力が必要か。


焦っても失敗するだけだろうし。焦らず着実に力をつけていくしかないか。

今は逆に権力者を利用するぐらいの気持ちで行くしかない。


スレイさんを先頭に進むと人が集まって警戒している場所に辿りついた。


襲撃を受けている事は既に察知されて警戒されている訳か……

不意打ちを避けるために全員背中合わせに固まっているな。


360°目を光らせていると言っても広範囲を攻撃する魔法とか撃ち込まれたら一網打尽じゃん。


「俺が先制攻撃します〈影の毒蛾〉」


影から蛾が何匹も飛び上がり警戒している人達に向かって鱗粉の雨を降らす。


鱗粉を浴びてしまった敵は麻痺して倒れてしまう。


「闘気を纏っている人もいたのに全員麻痺で行動不能ですか……」


この世界で広く知られているオーソドックスな麻痺魔法は、闘気を全身に纏ったり。

何かしらの属性に適性が有れば使える

魔力で全身をコーティングする魔法を使っているだけで回避出来てしまう。

闇属性魔法が最弱と言われる理由の一つだな。


「秘密です。と言いたい所ですが。通常の麻痺魔法は条件が緩すぎるんですよ。そのせいで対処しやすくなっている」


何もかも秘密ってのは良くなさそうなので軽く説明して上げよう。


「条件が緩い?」


「それはそうでしょう。視界に入れるだけで相手を麻痺させる事が出来る。こんな魔法が対処が難しかったら強すぎでしょう」


「確かに……では、さっきの魔法は蛾の鱗粉に触れると麻痺すると言う。視界に入っているだけより条件が厳しくなっている代わりに防ぎにくくなっていると言う事ですね」


「まぁ、そんな感じです。それで無力化した人達はどうするんですか?」


「折角生きたまま無力化する事が出来たので、このまま連れ帰って情報を吐かせます」


「10人ぐらいいますけど。連行できるんですか?」


この人どうやってここまで来たのか知らないけど。10人以上の人を輸送できる手段は持ってないと思うんだけど……


もしかして影狼に運ばせるつもりなんじゃ?



「これが有りますからね。捕らえた工作員事王都に直帰です」


そう言って鳥の風切羽のようなものを取り出した。


何あれ?

見た事ないものだけど。スレイさんの発言的に転移アイテムって事?


そんなアイテムの存在聞いた事無いけど。

まぁ、10年間軟禁生活をしていた訳だし知らない物が存在するのは当然だろう。


「〈帰還の翼〉を見るのは初めてですか?

これは予め登録した場所に一瞬で移動できる使い捨てのアイテムです。品質によって一緒に移動できる人数が変換しますが。これは最高品質の帰還の翼なので同時に20人まで移動できるので、ここにいる全員移動可能です」


そんな便利なアイテムも開発されてるんだね。


「そうなんですね。それなら心配いらないですね。それじゃ俺はこれで」


俺の仕事は終わったはずなので離れようとしたらスレイさんに止められる。


「何処に行くつもりですか?貴方も一緒に王都まで来てもらいます。お願いしたい仕事もありますので」


マジかよ……


まぁ、でもフィレーム領から王都はそれなりに離れている王都に行けるってのは悪い話じゃないかも知れない。


「分かりました」


仕事の内容を先に教えてくださいって聞いても教えてくれなさそうだしな〜


「説得する手間が省けて良かったです。それでは移動しましょう」


視界が真っ白になり浮遊感を感じる。


浮遊感がなくなり視界が元に戻ると知らない部屋の中にいた。


帰還の翼の効果で王都にある家の中に転移してきたって事か。


「申し訳無いが。少しここで待っていて欲しい。先ずは捕獲した工作員達を引き渡さないといけないからな」


確かにそれが最優先か。


ここは何処なのかとか聞きたい事もあるけど

椅子も有るし大人しく座って待っていよう。


暇を潰す物を何も持ってないので椅子に座ってただボーッとしてスレイさんが帰ってくるのを待つ。


他国の工作員を捕らえて来たとなればそれなりの大事だ。

スレイさんは中々帰って来ない。


途中メイドさんが紅茶とお茶菓子を持ってきてくれたけど。既に1時間半ぐらいたっている気がする。


もう外は真っ暗だろうしそろそろ眠くなってきたんだけど……


そう思っていたらドアが開き中に人が入ってくる。

スレイさんがようやく帰ってきたのかな?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る