第21話
「ダルクルさん達も帰って来てたんですね。ここより良い場所見つかりました」
「いいや全く。シャンの方はどうだった?」
「こちらも全くですね。ってわけで魔法で楽に木を除去出来ないか試して見ようと思うんですけど……やってみて良いですかね?」
「ダメとは言わないが。未開拓領域に生える木は魔力を吸収して育つからか魔法に対する耐性があって魔法で切り倒すより、斧とかで切ったほうが早いと思うが……」
切るならダルクルの言う通りだよ切るならね。
未開拓領域で育つ木は魔木と呼ばれていて魔法に対して高い耐性を持っている。
打撃に対する耐性は普通の木より少し高い程度なので、防具に使われたりって事は無い。
「まぁ、見ててって〈影の茨〉」
〈影の茨〉を発動させて茨を木に纏わせて思いっきり引っこ抜く。
根っこごとなのでかなりの力が必要だったみたいだけど。〈影の茨〉なら問題なさそうだな。
途中でちぎれた根っことかも結構ありそうだけど。流石にそれの駆除まではしなくて良いだろう。やれって言われても無理だし。
「それじゃ根っこについた土を払ってから〈影収納〉」
茨で掴んでいる状態のままブンブン振って根っこについている土を払ってから木を〈影収納〉にしまう。
かかった時間は一分かからないぐらい。
木を1本除去する時間としてはかなり早いだろう。
無理やり引っこ抜くから地面がボコボコになっちゃってるけど。後で軽く踏み固めれば問題ないだろう。
「よし。上手くいった。それじゃどんどん木を抜いて影収納にしまっていくので、他の人は、木を引っこ抜いてボコボコになっている地面を軽く踏み固めておいてください」
そうお願いして片っ端から木を引っこ抜いて影収納に仕舞っていく。
最終的に大体100m四方の範囲の木を全部引っこ抜いた。
今いる人数で野営するだけの場所としてならかなり広い範囲なきもするけど。
村を作るわけだからな、まだまだ広げる必要があるだろう。
まぁ、焦らずゆっくり広げればいいだろう。
「一瞬で家を建てられる土地が用意できたな」
「明日からは建築も始められるな。俺の出番って訳だ」
疾風迅雷のメンバードワーフのガルッロさんだな。
今回の建築担当でもあったんだな。
建築は本陣が来てからになるのかと思ってたけど。
因みに俺が引っこ抜いた魔木を使ったログハウスになるみたい。
丸太に加工したとしてすぐに使えるもんなの?と思ったけど。問題ないらしい。
何はともあれテントじゃなくてちゃんとした家に住めるのはいい事だ。
と言っても1軒目は王女様が到着した後住むための家だけどね。
まぁ、仕方ないだろう。
「明日からはここでガルッロを中心に建築をするメンバーと今まで通り周囲の把握の為に探索するメンバーに別れて活動するぞ」
俺が建築に必要な木を影収納に仕舞っているので、俺は自動的に建築班となるとカレア、クリスも建築班になるので。
ガルッロさんを含めたこの4人が建築班、残りが探索班と言うことに。
俺は探索したいって訳じゃないし問題ないけど。
カレアは魔物と戦闘したいみたいで少し不満そうだったけど。
この子実は戦闘狂だったりするのだろうか?
そのあとは、同じテントで寝ようとするカレアを疾風迅雷の女性メンバーのテントに押し込んだ。
夜の警戒に関してはフェンリルとヨルムンガンドがしてくれるので見張り番は無しだ。
と言うかフェンリルとヨルムンガンドが魔物が入って来れないように結界を張ってくれている。
滅茶苦茶弱体化している分体だとしても流石神獣、なんでも出来ちゃうらしい。
最初の方は見張り番をしていたんだけど。
必要ないだろうと言うことで無しになった。
ーーー次の日ーーー
探索班を見送ってから、昨日引っこ抜いた木を丸太に加工していく。
枝打ちって以外に疲れるんだな。
4人の中で俺が1番体力ないからな。
一旦休憩させて貰おうかなと考えていたら、フェンリルの吠える声が聞こえて来る。
どうやら俺を呼んでいるようだ。
「成程。フェンリルが吠えて俺を呼んだのはこの人たちが原因か」
フェンリルの所まで歩いていくと冒険者?と思わしき人達がその場にいた。
「初めまして。この先はマエル王女殿下主導の開拓村予定地になるんですが。皆さんはどう言った御用で?」
「そんなに警戒しないでくれ。特に用があって近づいた訳じゃない。金を稼ぐ為に未開拓領域に素材を採集しに来て歩き回ってたら偶然近寄ってしまっただけだ」
成程。確かに有り得ない話じゃない。
と言ってもこの未開拓領域は一番近い村でも歩きだと一月かかる。
まぁ、だからこそここでしか手に入らないようなものもあるし。そう言ったものを手に入れる事が出来ればかなり稼げるので、冒険者がこの未開拓領域にいることはおかしい事じゃないけど……
怪しいよなぁ〜
フェンリルが敵だと認識しているし。
俺にはただの冒険者にしか見えないけど。
フェンリルが敵だと認識しているなら間違いなく敵だと思う。
まぁ、警戒はしておくけど。今すぐに拘束するのは逆にこちらが悪者になりかねない。
「そうですか。なら出来るだけここら周辺に近づかないように。怪しい行動をされると拘束する必要が出てくるので」
「あぁ、わかった。それじゃあな」
今回はアッサリ引いて行ったけど。
今後なにか仕掛けて来るか……面倒な事になって来たな。
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