第13話
「と言う訳で、申し訳ないんだけど。後、1時間ぐらいしたら未開拓領域に向かって出発する事になっちゃった」
カレアとクリスが居る従者が泊まる部屋に到着してすぐ説明を始める。
時間をかけると準備する時間無くなっちゃうからね。
と言っても奴隷の2人は持ち物無いし、俺もここに住んでいる訳じゃ無いので荷造りする程ものを置いてない。
なので俺を含め長距離移動をするからって焦って何かする事無いんだけどね。
「分かりました。旅に必要な物の用意はどうなっていますか?」
「そこら辺は俺の事を雇っている王族の方が用意してくれるから俺たちは出発する準備が整うまで俺が借りてる方の部屋で大人しく待っているだけだね」
流石に準備を今から自分たちでして今日中に出発してくれってのは鬼畜だからな。
いやまぁ、相手は発言力をほぼ持たないとは言っても王族だし。そういう事言ってきても可笑しくないと言えばそうだけど。
魔石生成魔法の研究を始める前にマエル殿下には挨拶しに行ったけど。
そう言った考え無しの行動をするような人では無さそうだったので、今のところは大丈夫だと思う。
まぁ、足りなかったら途中の街や村で買い足せば良いだろう。
それにしても王都から数ヶ月単位の移動か……
未開拓領域は魔力濃度が高くて魔物が出現する場所の事を言うので、そこまで離れた場所に向かわなくても存在するんだけど。
開拓は出来なくとも、冒険者の狩場として利用されてるし。魔力濃度が高い場所でしか育たない薬草があったりと活用されているし。
そもそも。国土の外にある未開拓領域じゃなきゃ王領か貴族の領地内だからね。
勝手に開拓する事は出来ない。
マエル殿下がもっと発言力を持っていれば何とかなっただろうけど。
そうだったらそもそも未開拓領域の開拓なんてしないんだよな。しかも本人も現地に行って開拓に参加するって話だし。
自分の発言力を高めたいのかそれ以外の理由があるのか。詳しくは聞いてないけど。
割とガッツのある姫様だなと思う。
「そうなんですね。それでは私たちはご主人様が泊まっていた部屋で時間になるまで待機しているだけで良いんですね」
「まぁ、そうだね。相手が信用出来ない場合準備に立ち合う必要があるだろうけど。今回いい加減な準備をするメリットが相手側にないからね。ゆっくり準備が終わるのを待たせて貰おう」
魔石生成魔法の存在が未開拓領域を開拓して村を作るには必要不可欠。
神官魔法に分類されているから、月の女神の神官なら魔石生成魔法を使う事も出来るけど。
開発者である俺と揉めたとなれば、良くて凄い金額の寄付が必要になったり。最悪の場合魔石生成魔法の使用を断られる可能性もあるからな。
ここで俺と仲違いするような事はしないだろう。
カレアとクリスを連れて俺が泊まっている部屋に戻ってくると既に40分程経過していた。
この世界、時計は普通に存在している。
神が時計の魔導具を作る為の魔法陣を神官を通じて広めたおかげだな。
自動で時間を合わせてくれるし、物凄く便利。
1時間って長いと思ってたけど、案外短いな。
「中途半端に時間が残ったな。……そう言えばクリスは自分の魔力を操作出来る?」
「した事ないけど」
「そっか。それじゃ、まずは魔力操作を覚えないとな」
魔法を使うには魔力操作をして魔力で魔法陣を構築しないといけないので、魔力操作が出来ないと魔法を使う事が出来ない。
「それじゃ手っ取り早く魔力を動かす感覚を覚えようか。手を出して」
クリスが出した手を握って魔力を流す。
「うわぁ何かムズムズする」
「それが魔力を体の中を動く感覚。覚えて自分で魔力を動かせるようになろう」
こうやって既に魔力操作が出来る人に自分の中で魔力を動かしてもらう。これが1番早いんだけど。
俺にこうやって手伝ってくれる人がいなかったから、魔力を感じれるようになるところから1人でやって大変だったな。
魔力操作が出来ない理由に、そもそも魔力を感じる事が出来てないってのがある。
魔力操作が出来る人に手伝って貰えれば、魔力も強制的に感じられるようになるし魔力が動く感覚も覚える事が出来るからな。
「魔力操作が出来るようになったら本格的に魔法を教えるから頑張って」
「わかった。そう言えば魔法を教えてくれるって俺にもあの影に物を仕舞えるようになるのか?」
「あ〜アレね。無理とは言わないけど。魔法陣も複雑だし、魔力操作を覚えたての魔法使いに使えるような魔法じゃないから、今後のクリスの頑張り次第かな」
今のところ教える予定は無いけど、こう言っといた方がクリスのやる気も上がるだろう。
わざわざ聞いてきたって事は興味があるって事だろうし。
クリスに魔力操作の指導をしているうちにあっという間に20分が過ぎスレイさんが部屋に迎えに来たので、指導を中断して未開拓領域に向かうために用意された物資が集められた場所に向かう。
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