第27話
「なら。ストーンアントを倒しに行くんですよね?」
「あぁ。だが、巣にはどれぐらいの数がいるのか見当もつかない。1体1体は強くなくても数は力だからな。巣を直接叩くのはもっとこっちも人数を集めてからってのが普通なんだが……」
「フェンリルにヨルムンガンドは疲れ知らずですし。場所を教えれば殲滅してくれると思いますよ。継続的に建材を確保するために殲滅はしないってのも頼めば行けると思いますよ」
フェンリルとヨルムンガンドなら問題なく殲滅してくれるだろう。
影で作られた義体の耐久度と言う問題はあるけど。
義体が壊れてしまった時はまた魔法を発動させて作り直せば良いだけだし。
問題ないだろう。
「いや、やるなら殲滅だ。アリ系の魔物の繁殖スピードはかなり早い。開拓地近くにストーンアントの巣があるってのはあまりよろしい状況ではない。例え優秀な建材になるとしてもな」
それもそうか。開拓地に人が増えた結果敵と認識されて、ストーンアントの大群に襲われるとかシャレにならないよな。
出来る時に殲滅しておくに限るか。
「それじゃ、フェンリルとヨルムンガンドに頑張って貰うか」
現在は昼を少しすぎたぐらい。
フェンリルに暗くなる前に殲滅できる?と聞いたら、ブレスで凍らせるだけの簡単な仕事だからすぐに終わると返事が帰って来た。
流石フェンリル。なんならヨルムンガンドも必要ないと言っている。念のため一緒に言ってもらうけどね。
ヨルムンガンドはフェンリルみたいに自由に動き回って運動したいって言う性格ではないので、夜の見張り要員として夜の間だけ召喚している。
と言うか朝になったら自分で魔法を解除して帰って行く。
どのタイミングでも魔法を発動させれば召喚に応じて助けてくれはするけどね。
と言う訳で、〈影の蛇王〉を発動させてヨルムンガンドの義体を影で作り出すと義体にヨルムンガンドの魂の一部が宿り動き出す。
後はもう、ヨルムンガンドが全部やってくれるので俺は、何をしてもらう為に呼んだのか説明するだけだ。
と言う訳で、ストーンアントの巣を殲滅する為に呼んだことを説明する。
後は甲殻は素材として使用するから残して欲しい事もつたえる。
ヨルムンガンドが強力な毒を使ったら甲殻が使えなくなっちゃうだろうし。
こう言う事は先に伝えておかないと。
「散歩に行くような感じで出てったけど大丈夫なのか?」
ダルクルにストーンアントの巣の大体の場所を聞こうと思ったら。フェンリルとヨルムンガンドは既にストーンアントの巣の場所を把握していたらしく。
教えて貰う必要はないと言われた。
知ってたけど俺の指示がないから手は出さなかったって感じか。
今度、周辺にどんな魔物がいるのか一度詳しく教えて貰おう。
聞かなかった俺も悪いし。
「大丈夫ですよ。視覚共有でフェンリル達が何をしているかもリアルタイムで確認できますし。やばそうだったらすぐに報告します。その場合は〈影の茨〉で防壁を作って開拓地を簡易防衛拠点にして戦う感じになると思います」
視覚共有は俺が使っているのでは無く、せっかくだし俺も行こうかなって言ったらフェンリルが守りながらは面倒臭いからヤダと答えてコレで我慢してと使ってくれた魔法だ。
無いとは思うけど。フェンリルとヨルムンガンドがストーンアントの殲滅に失敗した場合の作戦も伝えておく。
疾風迅雷からしたらあの義体を操縦しているのは神獣だって知らないわけだからな。
ちゃんとフェンリルとヨルムンガンドの突撃以外にも作戦を考えてありますよアピールをして、安心してもらう。
実際に〈影の茨〉を使って開拓地を囲む防壁を作って見せて、防衛戦時の動きを確認していると、フェンリルとヨルムンガンドがストーンアントの巣に到着したようだ。
巣というか洞窟の入口のようなものが見える。
その入口にフェンリルが氷のブレスをはいた。
出口が別にあるならそこから逃げられるだろうけど……
ないならここからフェンリルがブレス攻撃をしているだけで終わりだな。
と思ったんだけど。フェンリルは中に入って行くようだ。
入口でブレスを吐いてるだけだと時間がかかると思ったのかな?
ヨルムンガンドはフェンリルの取りこぼしが出ないように待機しているらしい。
フェンリルが巣の中を進むとすぐに全長1mぐらいのアリが氷漬けが現れた。
氷漬けになったストーンアントはフェンリルの影にドンドン収納されていく。
絶対俺より〈影収納〉を使いこなしている。
相手は神獣だとしても、自分で作った魔法を自分以上に上手く使われるのは悔しいな。
この後も氷漬けになっていないストーンアントが現れたらブレスで氷漬けにして〈影収納〉に仕舞うと言う作業の繰り返しだ。
正直、負ける要素が見当たらない。
俺が心配してた数で責められて義体がダメージを受けて破壊されるって事も無いだろう。
それにしても巣の中なのに昼間の外のように視界がクリアだ。
まぁ、フェンリルだし。そのぐらい当然か。
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